5年、そして継続中
ダール・ジャマイル
2008年3月19日
ZNet 原文
3月18日ワシントン発(IPS)。現地の荒廃と、イラク人のほとんどが抱く見解は、3月20日のイラク侵略5周年に向けて米国政府関係者が述べた主張と対立している。
米国のディック・チェイニー副大統領は、3月16日(月)にイラクを突然訪問した際、2003年に米国が中心に行なったイラク侵略は「成功した試み」だったと宣言した。
「公正な外交政策」という団体によると、米軍のイラク侵略と占領の結果100万人以上のイラク人が死亡した。占領は今や6年目に入る。英国の政策団体ORBの調査では、死者数は推定120万人を超える。
ノーベル賞受賞者で元世銀の主任エコノミストであるジョセフ・スティグリッツは最近、ハーバード大学のリンダ・ビルムスと共著で『三兆ドルの戦争』という本を出版した。三兆ドルというのは、イラク侵略占領がもたらす長期的なコストの「控えめな推定」だという。
この本の著者たちは、ブッシュ政権がくり返し戦争のコストを「低く述べ」、米国市民の目から記録を隠してきたと述べる。
米国国防総省によると、殺された米軍兵士は4000人に上る。英軍の犠牲者数は175人である。
「イラクでの戦争は、英国が戦った中で最も破滅的なものだ」と3月17日、ロンドンのインディペンデント紙でジャーナリストのパトリック・コックバーンは書いている。「避けることができた紛争としてクリミア戦争およびボーア戦争と肩を並べるもので、また、最初から最後まで無能さがあからさまである」。
国連難民高等弁務官によると、400万人以上のイラク人が自宅を追われた。そのうち約半分は国外で難民となっている。
イラク赤新月社は、6百万人の人口を擁するバグダードでは、4人に一人が自宅を追われていると推定している。
国際赤十字は3月17日の報告で、飲み水と医療ケアにアクセスできない人々が今も数百万人いると発表している。
イラクのインフラは、測定可能なあらゆる点で、サダム・フセインの独裁政権下でよりもひどい。12年にわたった史上最も過酷な経済制裁下でのインフラよりもひどい状況である。この経済制裁の時期には、100万人以上のイラク人が、栄養失調や病気、医療の欠如により命を失った。
国際的な援助団体であるオックスファム・インターナショナルは昨年7月に発表した報告の中で、緊急支援を必要とするイラク人が400万人いると述べている。子どもの栄養失調は9%増加し、イラク人の7割が安全な飲み水にアクセスできない状態にあると述べている。
イラクの平均的な家庭では、ブッシュ政権が成功例として取り上げた北部のクルド人居住地域を含め、一日平均5時間未満しか電気が来ない。
イラクが収入の8割を依存している石油輸出は、占領が始まって移行、戦争前のレベルに達した日はただの一日もない。
侵略前にすでに32%に上った失業率は、イラク政府の発表によると、占領下で40%から70%のあいだを揺れ動いていた。
100万人以上が命を失い、400万人以上が家を追われ、さらに400万人が緊急支援を必要とする状況。すなわち、イラク人の3分の1が、家を追われたか、緊急支援を必要とするか、死亡したのである。
チェイニーが「成功した試み」と述べたのは、こうしたことである。
チェイニーがこう述べた直後に、バグダードの南方にあるシーア派の聖なる都市ケルバラのモスク近くで、自爆爆弾が少なくとも32人を殺し、51人を負傷させた。チェイニー到着直後にバグダードのグリーンゾーン近くで爆発した爆弾によりさらに4名が殺され、13名が負傷している。
バグダードは世界で最も危険な都市となったが、その大きな理由は、米国が様々なエスニック・グループおよび宗教派閥をお互いに争わせる政策をとったためである。今日、バグダードはスンニ派とシーア派のゲットーに分断され、米軍が構築したコンクリート壁に分断されている。
それらの地域では、それぞれの旗をかかげてさえいる。スンニ派地域では以前のイラク国旗を、シーア派は新国旗を、そしてクルド人は自分たちの旗を。
占領軍が後押しするエスニック・クレンジングと宗教クレンジング戦略は、バグダードから異なる民族/人種/宗教の人々が混在して暮らす地域を無くしてしまった。
米国共和党の合州国大統領候補ジョン・マッケインもイラクを訪れ、上院軍事委員会事実調査使節団の一部としてイラクの指導者たちと面会した。彼もまた、チェイニーと同様、イラク政府を支持し、米国は長期にわたりイラクで軍事的なコミットを行うと述べた。
「この軍増派はうまく行っている」とマッケインは記者団に語った。バグダードにおける米軍の増派のことである。
イラクに「永続的な」米軍基地が作られ、バグダードの米国大使館がバチカン市国と同じ大きさを誇る中、米国のイラク占領は終わりが見えない状況にある。
投稿者:益岡



