コンクリートのベールの陰で何とか生き延びている
2008年3月8日
ダール・ジャマイル
ZNet 原文
ワシントン発、3月6日(IPS)。
かつてアラブ世界の中で女性の権利と自由がもっとも大きかったイラクは今、教育を受けて専門的な職業の道を歩む夢を持つ女性たちにとって命さえ危険になるような地域になった。
元独裁者サダム・フセインはどちらかというと世俗的な社会を維持し、女性が教授や医者、政府官僚になることは普通だった。今日のイラクでは、厳格なイスラム主義に従わないと民兵団に殺される恐れがある。
昨年12月、バスラ警察署長のジャリル・ハンヌーンは記者団とアラブのTV局に対し、バスラだけでそれまでの5ヶ月間に40人の女性が殺されたと語った。
「家族の中に犠牲者が出てもスキャンダルを恐れて報告してこない場合がさらにたくさんあることは確実だ」とハンヌーン将軍は言う。
シーア派のバドル団とメフディ軍が支配する民兵は率先して厳密なイスラム主義の支配を押しつけている。シーア派が支配するイラク政府は、彼らに暗黙の、ときによっては直接の支援を与えていると見なされている。
バドル団はイラク政府のシーア派ブロックであるイラク・イスラム革命最高評議会(SIIC)に忠誠を誓っている。メフディ軍はシーア派聖職者ムクアダ・アル=サドルの反占領民兵である。
ヒジャブを身につけていない女性は、民兵たちの標的とされると、バスラとバグダードの住民たちは最近、IPSに語っている。従わないと殺すと脅されたと語る女性は多い。
「民兵たちが近づいてきて、ヒジャーブをかぶれ、化粧は止めろと言うのです」とバスラからバグダードに逃げてきた大学生のザフラ・アルワンは昨年12月IPSに語った。
バスラの壁に赤く書かれたグラフィティは、化粧をする女性に警告し、頭からつま先まで覆わずに外出する女性たちに警告を発しているとアルワンは言う。
「バグダードの状況もあまりそれと違いません」とバグダード大学で社会調査を行っているマジン・アブドゥル・ジャバルは言う。「大学はすべて、宗教的制約を使って女性に嫌がらせをし続けるイスラム主義の民兵に支配されました」。
ジャバルによると、「多くの家族が娘を高校や大学にやらなくなった」理由の一つはここにあるという。
2007年前半、イラク教育省は、少女や若い女性の7割が、もはや学校や大学に出席していないことに気づいた。
犠牲になった女性の中には、誘拐される前に「不良」と非難された人がいる。バグダードで住民がIPSにこう説明した。誘拐された女性のほとんどは、のちに遺体で見つかっている。
数人の女性の遺体は、ゴミ捨て場に捨てられていた。強姦と拷問を受けたあとがあった。遺体の多くに、その女性が「不良だ」という張り紙が貼られていたと、匿名を希望した住人たちが語った。
バグダードの北東40キロに位置するディヤラ県の首都バクバでも、女性は同じような問題に直面している。
「私の隣人は、ディヤラ警察所長室で働いていることを非難されて殺されました」。1月、住人のウム・ハイデルはIPSにこう説明した。「この女性は警察ではなく県知事局の受付で働いていたのです。そこで働く女性たちのチェックを担当していました」。
こうした殺人のために、数え切れないほどの女性が仕事をやめたり変えたりしている。
「私はある事務所で人事の部長をしていました」と匿名を条件にバクバのある女性がIPSに語った。「家族と親戚の意見にまけて、私は仕事をあきらめ、使用人になることにしました」。
女性の生活は変わってしまい、イラクのほとんどの地域で女性の姿も変わった。伝統的な服装以外は恐ろしくて着れなくなっている。現代風の服装は死を意味する。民兵が制圧する地域では、ヴェールが支配的になっている。
女性たちは、あらゆる面で、米軍の占領がもたらした状況の犠牲になっている。
「民兵が道を制圧すると、女性たちは大きな苦痛と危険を被ります」と3人の子の母であるウム・バシムはバクバで最近IPSに行った。「男性が自由に移動できなくなります。男が殺されると、遺体はモルグに運び込まれます。家族がとりに行かなくてはならないので、女性がモルグにいくことがよくあります。そのとき、民兵の標的にされることもあるのです」。
家に閉じこもらざるを得なくなった女性たちは、孤独と憂うつに襲われる。
「気晴らしをする場所はどこにもありません」とバクバに住む既婚女性のウム・アリは言う。「いつも家にいるのです。4年以上、バクバから外には出ていません。唯一、両親の家に行くことができるだけです。家事と子どもの世話だけが私の生活になっています。目標もなく、やり遂げる教育も受けられません。数週間にわたって一歩も外に出れないこともあります」。
クルド人が支配するイラク北部では「名誉の殺人」が続いている。「名誉の殺人」のいにしえの見解によると、家族の名誉が最も尊い。昨年12月の時点で、その前4カ月のあいだに、「不法な」関係を持ったと疑われたクルド人女性少なくとも27人が殺されたと、現地の人権担当官ユシフ・モハメド・アジズは言う。
イラクの女性はまた、米国の監獄にも入れられる。12月、女性と子どもの問題に関するイラク議会委員会は、イラクの刑務所と米軍が運営する刑務所から女性を釈放するよう要求した。
議会委員会の副委員長ナディラ・ハビブによると、イラクが運営するバグダードのアル=アダラ刑務所には約200人の女性が拘留されているという。ハビビはまた、米軍の監獄にも女性が拘留されているだろうと言った。「けれども、米軍が運営する監獄にどれだけの女性が拘留されているかは、今や誰にもわからないのです。委員会の訪問要請を米軍はいつも拒絶するからです」。
イラク中央政府が基本的に権限をもたないなか、そして宗教的原理主義がイラク全土にますます広まっている中、イラク女性の苦痛はこれからも悪化していくように見える。
投稿者:益岡



