ブッシュとスンニ派の対シーア派同盟?
ゲリラに戦いを行わないよう金を払う
2008年2月19日
ポール・クレイグ・ロバーツ
CounterPunch原文
ブッシュ政権が次々と持ち出す嘘に追いつくのは不可能だ。ただただ、あまりにも嘘が多すぎるから。最近のもののなかで最大の一つは、「大波」(大規模な米兵の増派)がうまく行っているという嘘である。
昨年開始されたこの「大波」作戦では、2万人から3万人の米軍兵士がイラクに追加で増派された。この少ない人数の増派により、ついにイラクを平定するに十分な兵力を供給することができるだろう。アメリカ人はこのように聞かされた。
この主張は何一つ意味を持たなかった。増派した人数を加えても、イラク占領を成功させるために必要だと専門家の言う兵士数の3分の1には届いていない。
「大波」の本当の目的は、別の嘘を隠すことにあった。ブッシュ政権はスンニ派ゲリラに1日80万ドルを支払い、米軍兵士を攻撃しないよう頼んだ。そう、スンニ派ゲリラを構成する「覚醒グループ」、「イラクの息子たち」、新結成された「米同盟治安部隊」の8万人からなるメンバーは、米軍兵士を攻撃しないことと引き替えに一日10ドルを受け取っているのである。聞くところによると、「イラクの息子たち」は今やアルカーイダ部隊と戦っているらしい。
戦争を続けるための、とても安い方法である。ブッシュがどうしてもっと前にこれに気付かなかったのか不思議でさえある。
「大波」はまた、近所周辺の浄化がほとんど終わったタイミングでなされた。この5年間にイラク内部の対立で起きた暴力のほとんどは、スンニ派とシーア派が混ざって暮らす地域でお互いを追い出す中で起きた。二グループが団結して米軍兵士に対峙していたならば、米軍はずいぶん前にイラクから追い出されていただろう。その代わりにイラク人はお互いに殺し合い、暇なときにアメリカ人と闘った。
つまるところ、米兵の「大波」は暴力の減少とはまったく無関係だった。
スンニ派ゲリラが米国に雇い込まれ、住居は分離され、サドル派民兵が活動していない中、米軍兵士自身が行使している暴力以外に誰が暴力をふるっているのかはよくわからない。しかしながら、誰かが今でも戦っているに違いない。というのも、米軍はいまだに空爆を加え、いまだに敵と味方を区別できていないのだから。
2月16日、ロサンジェルス・タイムズ紙は、米軍の空襲はイラク人市民9人と「イラクの息子たち」兵士3人を殺すことを何とかやりとげたと報じた。
スンニ派はこれに抗議して、米軍の「常軌を逸した」空襲を止めるよう求めた。どうやら、スンニ派は、米軍兵士を攻撃しないことに対する支払い額をつり上げる機会を見て取ったらしい。近いうちに、スンニ派はコンサルタントを雇い、昔のように戦うために米軍兵士に米国政府が金を払う前に、賄賂としていくら要求できるかを計算し始めるだろう。スンニ派が賢ければ、賞金をうまく分けるだろう。現在のところ、米軍が戦争に支払っている1日の金額2億7500万ドルのうちわずか80万ドルしか受け取っていない。
これは、1パーセントのさらに約10分の3にすぎない。米国にとっては大もうけの一方的な取引である。
スンニ派が取り分を、米国が戦争に費やしている費用の4分の1から半分でうまく交渉するならば、スンニ派には石油収入の分け前は必要なくなり、3派が一つの国のもとで協力する可能性もできるだろう。スンニ派にとっては、日々の戦争費用の20%でもなかなかよい。米国にとってこの額で長期契約を結ぶことは高く付くが、ジョン・マッケインが主張する100年戦争よりははるかに安い。
ブッシュの戦争がトニー・ブレアにとってと同様にスンニ派にとって大きな恩恵であることがわかるならば、現代版「咆哮するネズミ」----貧しい国が負けて海外からの援助を受け取る目的で米国を攻撃する映画----になる。違いはといえば、今回は占領者と戦わないことと引き替えに支払いを受け取る点である。
今や誰もが知っているように、イラクが呈している脅威をされていたものをめぐるブレアの「イカサマ書類」は、中東におけるブッシュの侵略攻撃に仕えるためにブレアが英軍兵士を派遣することを可能にした計略の産物だった。英国首相の仕事を退いた今、ブレアはJPモーガンなどの金融企業から何百万ドルものご褒美をもらえる名誉職を与えられ、さらに講演により何百万ドルもを稼いでいる。ご褒美支払いの一環として、ブッシュと共和党はブレア氏に贅沢な講演ツアーを提供している。
考えてみてほしい。皆さんは、ブレアが、JPモーガンの顧問としてわずかでも価値のあるような専門知識を金融について持っているとお考えになるだろうか? あるいは、チューリッヒ・ファイナンシャルの顧問になれるほど気象変動について十分な知識があるとお考えになるだろうか? 首相を務めていた間にうんざりするほどくり返された空疎な演説のあとでなお、ブレアの話しを聞くために大金を払いたいと考える人間が一人でも存在すると本当に信じることができるだろうか? タダだとしても、人々は辟易しているのに。
ブレアは今、自分の国を売り飛ばし、米国の覇権のために英軍兵士を死地に追いやったことへのご褒美を回収しているだけなのである。
ブッシュが十分な金を支払うならば、スンニ派も同じことをするかも知れない。
イラク戦争の次の段階では、米=スンニ同盟がシーア派と戦うことになるのだろうか?
ポール・クレイグ・ロバーツはレーガン政権の財務次官補で、ウォール・ストリート・ジャーナル誌の編集員、ナショナル・レビューの編集員を務めたことがあり、「The Tyranny of Good Intentions」の共著者でもある。メールは、PaulCraigRoberts[atmark here]yahoo.com。
投稿者:益岡



