2008年01月24日

民間人を殺す、それも、注意深く

「精密爆撃」により民間人犠牲者を減らす、というプロパガンダについて。インドネシアによる東チモール侵略と不法占領を報じ続けてきたジャーナリスト、アラン・ネアンの文章。
民間人を殺す、それも、注意深く
イラクとアフガニスタンにおける「精密爆撃」
2008年1月18日
CounterPunch 原文

CNNのホワイトハウス担当特派員エド・ヘンリーは、最近、アメリカ合州国大統領が「ガリラヤ湖に沿ってイエスの足跡をたどっている」ことに気付いた(CNN国際、2008年1月17日[WIB])。

ワシントン・ポスト紙は、大統領が歩くにつれて、彼の司令下にある兵士たちはイラクとアフガニスタンをいっそうひどく爆撃していると報じている(ジョン・ホワイト「米国はイラクでの空爆を強化」ワシントン・ポスト、2008年1月17日(火))。

これは、ベトナム以後の戦略への回帰の一環である。米軍兵士のかわりに米軍の爆弾を使うという手法は、米国政府にとってとてもうまく行った。爆撃先の物理的ダメージを増大させる一方、米国の政治的ダメージを軽減したのである。

(ワシントン・ポストは、ジョージタウン大学の治安研究部門享受コリン・カールが、最近、米軍の爆撃手たちを訪問して、「米軍の規模が縮小するのに対応して、空爆がさらに多くなるかも知れない」と述べた言葉を引用している)

ワシントン・ポスト紙は、空軍中将ゲイリー・L・ノースの言葉を言い換えて、米軍は「250ポンドのGBU−39小半径爆弾を使って爆撃が民間人に危害を与えないように」精密爆撃を行っていると述べている。

精密爆撃に関しては、ヒューマンライツ・ウォッチの軍事アナリストマーク・ガルラスコの言葉が引用されている。「イラクで起きていることをめぐり最も心配なのは人口密度が高いことだ・・・・・・民間人犠牲者が非常に多くなる可能性があるので、何を攻撃するかについての情報を正確に把握する必要がある。だが、米軍が注意を怠っているとは思わない」。

この論理に従うならば、イラクのゲリラ部隊が注意を怠りさえしなければ、人権の観点から、米国のホワイトハウスを爆撃してもまったくOKということになる。ブッシュ大統領が座っている場所について「情報を正確に把握」し、「民間人に危害を与えないように」250ポンド爆弾を使えばよいということになる。

給仕がコーヒーをブッシュに持って来たときでないことを、姪たちやカブ・スカウトのグループがブッシュを訪問中でないことを、さらに、ペトラウス将軍の顧問として活躍したり、不法に侵略された国(英国外務省の元法律顧問副主任は、「これほど大規模に武力を不法行使することは侵略の罪に相当する」として、抗議辞任している)を爆撃するという考えは、爆弾の片側に「精密」と書いてありさえすれば合法のものであるとする人権官僚がブッシュを訪問中でないことを祈ろう(英国の弁護士による、参照:ステファン・マークス「戦争の合法性」エコノミスト誌への手紙、2008年1月5日)。

精密爆撃のポイントは、殺害半径を狭め、空から(あるいは遠くの潜水艦や船から)発射された金属片が、暗殺者の弾丸のように働くことにある。

理論的には、一件一件を細かく見れば、民間人を救うこともときにあるかも知れない(爆撃しないことと対比してではなく、大きな爆弾で攻撃することと対比しての話しである)が、巨視的に言えば、民間人犠牲者を増加させる可能性が高い。というのも、爆撃者が、一発一発の爆弾投下をより合法的なものと見なすため、より多くの爆弾が投下されることになるからで、しかも最も熱狂的な精密爆撃手たちさえ、250ポンド爆弾が民間人を巻き込むことを認めている。

実際、ワシントン・ポスト紙は、米国のイラク支援団による「地上部隊の拡大と同期して空爆を大規模に強化し始めた昨年4月上旬から昨年末までに、米軍の空爆によって200人以上の民間人死者が出た」との推定を引用している。さらに、アフタニスタンについては「人権団体の推定によると、2007年に、空爆によるアフガニスタンの民間人犠牲者は3倍以上になり、300人を超えた。そのため、この強引な爆撃は罪のない人々に破滅をもたらす恐れが広まっている」。

イラクについて言えば、米国の戦略は「連合軍兵士が、まず敵対的な地域を完全に片づけたあとで、そこ奪取し、再建を始める戦略を提唱している」とワシントン・ポスト紙は述べる。けれども、そんなことは不可能である。ガラリヤのブッシュ様といえども、200人以上の死者を「再建」することはできないのだから。

アラン・ネアンのブログを参照。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 09:05| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般
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