2007年11月21日

ダール・ジャマイル:無気力の時代の憤り

ファルージャ2004年4月著者の一人、ダール・ジャマイルが新著『グリーンゾーンの外で』を出版しました。その紹介。
ダール・ジャマイル:無気力の時代の憤り
アーロン・ゴランツ
2007年11月15日
Electronic Iraq 原文

彼の新著『グリーンゾーンの外で:非軍属ジャーナリストによる占領下イラクからの報告」の中で、ジャマイルは、米国アラスカ州のデナリ国立公園で救援レンジャー隊のボランティアをしていたときに、イラク侵略占領のニュースをラジオで聞いたと書いている。

彼はアンカレジを出て、2003年11月、ヨルダンのアンマン行きの飛行機に乗り、数日後、タクシーを相乗りしてイラク西部の砂漠を超え、バグダードに入った。

「イラクに行ったのは絶望的な気持ちからでした」と彼は書く。「私は、自分の国の政府が1991年に爆撃を加えたその国を不法に侵略し、占領したという事実に苦しめられたのです」。

イラクに入ったジャマイルは、イラクに暮らす普通の人々の話を報道し始めた。イラクでは、病院やモルグ、モスクで何カ月も過ごした。彼の報道は、米軍のイラク占領の中で最もありふれた、けれども重要な側面を扱っていた。ガス供給、検問所、電話交換施設の爆破などである。彼のニュースは、IPSを含め、世界中の通信社により配信された。

最も重要なのは、ダール・ジャマイルが、2004年4月と11月の二度にわたる米軍によるファルージャ包囲攻撃を直接に記録し報じたことである。

ファルージャ包囲の報道の中で、ジャマイルは、米軍がジュネーブ条約違反を数多く犯したことを報じた。人口の密集した民間人居住地域にクラスター爆弾や白燐弾(ナパームに似ている)を使ったことから、救援物資のファルージャ搬入を妨害したこと、病院を襲撃し救急車を撃ったことなどである。ファルージャ攻撃により殺されたイラク人の数はあまりに多かったため、市営サッカー場を死者の墓地にあてなくてはならなかったとジャマイルは語る。

現地を訪れた彼は、「アメリカ合州国でサッカー場が墓石で埋め尽くされ、地下には榴散弾でずたずたにされた遺体が埋められている状況を懸命に想像しようとした。かつて子どもたちが笑顔で走り回り、サッカーボールを追いかけていた場所が遺体でいっぱいになる状況を。けれども、想像できなかった」と書いている。

ジャマイルにとって、ファルージャ包囲攻撃は、未だに処罰されていない戦争犯罪を現しており、彼の本は、部分的に、実行犯を裁くことに一歩近づくための試みである。ファルージャ包囲攻撃はまた、彼の新著のクライマックスでもある----彼の本は、基本的に、2005年2月、彼がイラクを去ったときで終わっている。

「何が起きているかを知るために、現在の出来事を追う必要はありません」とジャマイルはIPSに語った。「どうしてこのようになったのか、原因を知る必要があります」。

2005年以来、イラクでは多くのことが起きた。選挙、新首相、そしておそらくいっそう重要なのは、大喧伝された「兵士の大波作戦」など。この最後のものについて、ジョージ・W・ブッシュ政権は、イラクとりわけ西部のアンバル県----ファルージャはここにある----に「進捗」をもたらしていると言い張っている。

ジャマイルは、最近の展開を、米軍がそれ以前にやろうとしたことを通して見ている。

「アンバル県で起きていることは、2004年4月に米軍がファルージャでやって失敗した包囲の大規模版です」と彼は述べる。「米軍は失敗しました。ファルージャを制圧できなかったので、民兵に資金と武器を提供し、ファルージャに送り込んで自分たちは立ち去ったのです。兵士の死者数は減り、イラク人に統制をまかせて状況は良くなったという装いをもたせたのです。実際には、米軍はアンバル県でスンニ派民兵に資金を提供してこれを大規模に支援していますが、これは刻一刻と爆発に近づく時限爆弾です」。

『グリーンゾーンの外で』は、戦争のイラク側からの状況を示そうとして米国人ジャーナリストが書いた多数の本の一つとして今回新たに出たものである。ジャマイルが語る状況はいまでも米国の新聞で一面を飾ることはほとんどないが、一連の本----そのうち最も広く知られているのはピュリッツァー賞を受賞したワシントン・ポスト紙の記者アンソニー・シャディドによる『Night Draws Near』だろう----と相互に関連するものである。

私自身を含め、多くの独立ジャーナリストが、この問題について本を出版し、また、批判的なドキュメンタリー映像もいくつか出ている。

主要メディアの沈黙と独立系メディアによる優れた報道という組み合わせはパラドックスをもたらした。一方で、ジャマイルが『グリーンゾーンの外で』で書いている出来事のほとんどは、既に十分な記録がある。その一方で、米国の市民はそれらを覚えていない。

「大手メディアはイラクで実際にどんなことが起きているか、それを知らせはじめてさえいないのです」とジャマイルはIPSに語った。「ですから、ほとんどの人は何が起きているか何も知らないのです」。

「人々は、戦争がうまくいっていないことに気付いています」。「けれども、今日イラクという国の半分が、緊急援助がどうしても必要な難民か、けが人か死者になっているという事実の重大さを知りません。イラクで起きている状況がここ米国で起きたら、報道はどんな風になるでしょうか? 驚くべきものになるでしょう:『この破滅をご覧下さい! 人々の苦しみを。この家族で子どもたちに何が起きたかを、見てください!』といったものです。けれども、こうした報道ではなく、事態はうまくいっていないという事実にちょっと触れるだけで、実際にどれだけひどいかを示すことのない報道しかなされないのです」。

米軍占領下のイラクでかなりの時間を過ごしたジャーナリストの目で『グリーンゾーンの外で』を読むときに、二つのことがとりわけ心に突き刺さる。第一は、掲載されている写真で、各章の扉に一つずつ置かれている:年若いイラク人少年が米軍の戦車の近くでおびえたように立っている表紙の写真から、モルグの遺体の写真、ロケット・ランチャーを手にする対米戦士たちまで、ジャマイルの写真はこれまで私が見たどんなイメージよりも真実のように思える。

ジャマイルは冗談めかして自分の写真は「素人っぽい」と言う。経験を積んだ戦場写真家のような構図の複雑さがないからである。けれども、実際、イラク戦争の真実はそんなに複雑ではない。この戦争における最大の真実は、死である。ジャマイルの写真はこの真実を単純に示しており、普通の人々の目に、占領がどう映るかを示している。

帰国についての章も優れた洞察力を示している。第二のファルージャ包囲を直接目にしたのち、2004年冬にジャマイルは米国に戻った。

「アメリカに戻った私には違いが目に突き刺さりました」と彼は書いている。「アメリカ合州国には検問所がない。車を止め、銃口を自分と子どもたちに突きつけられて、身体検査をされ、車の中まで探されることはありません。軍の車両が道路を爆走し、それに乗った兵士たちが傍らでそれを眺める無力の市民に銃口を向けていることもありません。郵便サービスもあり、電話も一度でかかります。出前を頼んで自宅まで持ってきてもらうこともできます。市に雇われた人が道を清掃し、木々と草に水をやり、公園をきれいに保っています」。

イラクの破壊とアメリカ国内の静寂、このギャップはあらゆるところにある。戦地にいた記者や兵士のほとんど全員から、このことを聞くことができる。ジャマイルは一歩進んで、米国が戦争に対して無関心・無気力になっていることが、戦争を続けることにつながっていると述べる。

「アメリカ帝国主義の前線は恐ろしいものです」と彼は書く。「イラクでは、それが剥き出しになっています。残忍なイラク占領が引き起こす血と苦しみから利益を得る諸企業の醜い顔があからさまに見えています。けれども、侵略を始めて占領を維持している米国に戻ると、驚いたことに、そこで人々は日々の生活を普通に送っているのです。ニュースがあまりに激しくなれば、テレビを消して散歩や映画に行ったり、友人に電話をしたりするだけなのです」。

『グリーンゾーンの外で』はこの無気力を打ち破る試みである。

「ジャーナリストにとって、実際に起きていることを語るのは道徳的な義務です」と彼はIPSに語った。「人々がそれを見てテレビを消すのは、人々の判断ですが、私は自分の仕事をしなくてはなりません。人々に、こういいたいのです。『申し訳ないが、貴方の政府はいままた一つ別の国を侵略し、完全にその国をぐちゃぐちゃにした。何とかしてください』と」。

IPS版権所有。全部または一部の出版・転送・販売を禁ずる。

投稿者:益岡


posted by 益岡 at 21:55| Comment(1) | TrackBack(0) | ファルージャの状況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イラクの破壊を知らない。http://www.geocities.jp/wemustnotkill/main/Iraq-TheDevastation.pdf

知っても、別に何とも思わない。
たとえ思っても、反戦のために行動しない。

それが客観的に見て侵略戦争の継続を可能にしている条件なのでしょう。

Act Now to Stop War and End Racism
http://answer.pephost.org/site/PageServer?pagename=ANS_antiwar
が参考になるかも。
Posted by 反戦とうちゃん at 2007年11月22日 06:02
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