バスラは家を追われた人々に対して門戸を閉ざしている
IRIN報告
2007年11月14日
Electronic Iraq 原文
バスラ(IRIN発) 「保健サービスは悪化し、学校には生徒がいっぱいで、人々にちゃんとしたサービスを提供することができない。新たに多くの人々が流入してきたため、状況は悪化している」とアブドゥル=カレームは言う。
バスラ市議会および強制退去・移民省によると、バスラには毎日40家族以上の家を追われた家族が到着していると彼は続ける。家を追われてバスラに来た人々の数が増えるにつれて犯罪率も上がり、治安は悪くなり、性産業で働く人々の数が増えている。
「無理なものを提供しようとすることはできません。資源がないのです。暴力を逃れたいという家族の絶望的な気持ちはわかりますが、中央政府は、家を追われた家族をもっと公平に分散させるべく緊急の手だてを取るべきです」と彼は言う。
「自宅を離れ、より安全な地域に避難する家族の数は増えています。暴力は少し沈静化したと言われていますが、そうなのです」とアブドゥル=カレームは言う。
二百万人以上が家を追われている
国連難民高等弁務官事務省(UNHCR)が9月19日出した報告によると、国内避難民となっているイラク人の数は220万人で、そのうち30%は南部にいる。
バスラにある「南部平和組織」(SPO)の報道担当マヤダ・オベイドはIRINに対し、バスラ地方に暮らす何百もの家族が、生活必需サービスがまったく提供されていない状況にあるという。
「バスラ県に避難している家を追われた子どもたちのうち少なくとも60%は学校に行っていません。70%以上の子どもたちが急性あるいは慢性の栄養失調を煩っており、保健医療サービスにも、痛み止めや熱冷ましといった必需の医薬品がないのです」とオベイドは言う。
「バスラ県が新たにやってくる人々に対して扉を閉ざすことを残念に思う。けれども、すでにバスラ県に来た人々に対処することさえ、県当局もNGOも出来ていないので、事情はわかる」と彼女は言う。
国内避難民が追い返される
11月9日と10日にバスラ県に到着した数十家族は、バスラの治安組織が家族を検問で止め、バスラ市入りを拒んだため、無理矢理追い返されたか、南部の別の県へと向かった。
「私たちの鞄を見て、警察官が私たちを止め、私と家族7人に、引き返さなくてはならない、というのも、市議会が新たに来た人々の市内入りを禁じたからと言ったのです」とラジブ・ムハンマドは言う。バスラに避難しようとバグダードからやってきた43歳である。
「混乱しています。行き先はありませんから、バスラ県の周辺部に即席でテントをたて、誰かが助けてくれるか、どうすればよいかヒントをくれるのを待つしかありません。私たちはバグダードの惨劇から逃げだし、ここに平和を求めてきましたが、私たちの問題は始まったばかりのようです」とムハンマドは言った。
オベイドによると、地元のNGOは南部諸県に接触を開始し、難民キャンプに新たに来た人々を受け容れるよう求めている。しかしながら、どの県にも十分な資源がないため、状況は困難であると彼女は言う。
「解決策が見つかって、家族に、寝泊まりと食事を安全に平和にできる場所が見つかることを望みます」と彼女は言った。
この記事は国連人道問題調整局の人道関係ニュース・分析サービスであるIRINが提供している。記事中の見解は国連やその加盟国の意見を反映しているものでは必ずしもない。再掲載、再利用は、非営利目的に限り、ニュースの元を明記すれば行ってよい。条件。
投稿者:益岡