米国の秘密空中戦がアフガニスタンとイラクを粉々にしている
コン・ハリナン
2007年9月16日
フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス
ZNet 原文
パキスタンの北ワジリスタンにある町ダッタ・ケルの住民たちによると、6月、アフガニスタンのパキタ地方にミサイル三発が撃ち込まれ、マドラサ(イスラム学校)に命中した。煙が消えたあと、30人の遺体が発見されたとアジア・タイムズ紙は報じている。
この殺人を行ったのはジェネラス・アトミクスMQ−1プレデターというロボットである。プレデターが攻撃に用いたAGM−114ヘルファイヤー・ミサイルは、ネバダ州南部の砂漠の奥にある米軍基地から指揮されていた。
プレデターの攻撃が行われたのはこれが最初ではない。昨年、CIAのプレデターがアルカーイダのナンバー・ツー、アイマン・アル=ザワヒリを狙って発射されたが、はずれた。このミサイルは、かわりに18人の人を殺した。アジア・タイムズの記事によると、パキスタンの北部国境地域で少なくとももう一人、アルカーイダのメンバーと疑われた人が暗殺されているし、2002年には、イエメンで「アルカーイダ容疑者」6人をプレデターが殺している。
これらの攻撃は、イラクとアフガニスタンに対する攻撃の中で最高機密とされているものの一部かもしれない。すなわち、イラクやアフガニスタンそして地域の他の国々に対する米国による爆撃の大規模な強化、そのような戦略がもたらす民間人犠牲者の増大、そして紛争における無人殺人兵器の役割の増大である。
AP通信によると、2007年上半期にイラクの投下された爆弾の数は、2006年の同じ時期と比べて5倍に増えている。そのうち30トン以上は、とりわけ民間人のあいだに大きな犠牲者を出すクラスター兵器である。
米国海軍は、ペルシャ湾の部隊に空母一台を増強し、空軍はF−16戦闘機をバグダード北部のバラッド空軍基地に搬入した。
バラッド基地は、現在一週間に1万回以上の空中作戦を展開しており、空中からの攻撃増加に対応するために滑走路を増強している。デヴィッド・レイノルズ大佐はAP通信に対し、「ラングレーのような飛行場にしたいと思う」と述べている。米国バージニア州ラングレーには、空軍最大最新の飛行場がある。
米国空軍は、確実に、長期の戦争のために腰を据えているように見える。地区空軍司令官ガリー・ノース准将は「イラクが十分な力を持つ空軍を手にしたと判断するまで」、「それを手助けするために連合軍部隊はここに留まることになると思う」と語っている。
イラク空軍などというものは実質上存在しない。戦闘機を持たず、輸送機を一握り持っているだけである。
滑走路を改良することにより、米国空軍は、インド洋のディエゴ・ガルシア島からバラッド基地へB1−B爆撃機を移動することができた。バラッド基地から巨大な爆撃機B1−Bhは毎日の攻撃を行っている。B1−B機一台で24トンの爆弾を搭載できる。
空からの攻撃強化は、部分的に、米軍の地上兵力が消耗し、限界に達していることの反映である。陸軍は15カ月の任務であるが、空軍の派遣は4カ月であり、兵士によっては2カ月である。そしてイラクとアフガニスタンのゲリラは、2万フィート上空を飛行し、レーザーと衛星が誘導する兵器を使う航空機に対抗する力をほとんどまったく有していない。これは、米軍地上兵にゲリラたちが加えている深刻なダメージとは対照的である。
F−16、B1−B、A−10攻撃機の数を増やすことに加え、イラクとアフガニスタン両国に対するプレデターの飛行時間数は2005年と比べて2倍に増えている。「プレデターは兵器として重要な役割を果たすようになった」と第46派遣調査中隊司令官のジョン・ダグレー少佐は自慢する。
空軍もまた、大規模・高速・強力版プレデターであるMQ−9「リーパー」を導入している。これは、ヘリファイヤー・ミサイルに加えて500ポンド爆弾を搭載する能力を備えたロボットである。
プレデターとリーパーにはいくつかの有利な点がある。最も明らかなのは、パイロットがいらないことである。「リーパーをもっとたくさん導入すれば、有人戦闘機を米国に戻すことができる」とノースは言う。
一機850万ドル----小型のプレデターは一機450万ドル----なので、Fー16(1900万ドル)やB1−B(2億ドル以上)よりも遙かに安く、A−10(980万ドル)と比べてさえ安くつく。
米国空軍は、今後3年間で、プレデターを170機、リーパーを70機導入しようと計画している。「我々が生きているうちに、米国を離れることなく戦争を行うことさえ可能になるだろう」とデヴィッド・ブラナム中佐はニューヨーク・タイムズ紙に語っている。
ロンドンを拠点とする組織イラク・ボディ・カウントによると、米国が空からの攻撃を強化することで、民間人の犠牲者が増大している。イラク戦争が引き起こした「過剰な死者」に関するランセットに発表された研究によると、2006年6月の死者7万6000人のうち、空襲による死者は13%を占め、また、15歳未満の子どもたちの犠牲者のうち50%は空襲により殺されている。
アフガニスタンでは、空襲による民間人犠牲者が多いことが、NATOと米国との間に分断を引き起こした。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、「ある英軍上級司令官が」、アフガニスタン南部を立ち去るよう米軍特殊部隊(SF)に圧力をかけた。というのも、SFが空襲を行っていることに地元の人々が反感を抱いているからである。SFは小規模なチームで行動するため、空軍力の支援に依存している。
SFは、昨年11月、カンダハールの近くで31人の遊牧民を殺した空襲で非難されている。今年4月には、西アフガニスタンでも同様の攻撃で57人の村人を殺害した。そのうち半分は女性と子どもだった。連合軍は、今や、タリバンが殺すよりも多くのアフガン民間人を殺している。< /b>死者が急増しているため、ハミッド・カルザイ政権は危機に陥り、NATO参加国政府に騒動がもちあがっている。「国民の支持を維持するためには、民間人犠牲者を避けることが決定的に重要であることを理解しなくてはならない」と英国国防相デス・ブラウンはフィナンシャル・タイムズ紙に語った。
民間人の殺害により、連合国は戦争犯罪による告訴の対象となっている。最近、アフガニスタン南部での空襲で25人の民間人が殺されたが、それについてNATO報道官のマイク・スミス中佐は、タリバンの責任だ、タリバンが民間人の陰に隠れているからだ、と主張した。
けれども、ジュネーブ条約第48条は、はっきりと、「紛争の当事者は、いかなるときも、文民と戦闘員を区別しなくてはならない」と明言しており、第50条は、「文民からなる人口の中に文民の定義に属さない者がいることによってその人口集団が文民の性格を失うわけではない」と述べている。
イラクとアフガニスタンにおける空からの攻撃の増強は、戦略的な軍事決定というよりも、占領がぼろぼろになっているという現実により大きく関わるものであろう。
イラク駐留米軍は、ほぼ崩壊し、繰り返される派遣と不十分な部隊、イラク戦争の現実----ローテクだが極めて有効な路上爆弾、占領に敵意を持つか、あるいは少なくともレジスタンスに共感を抱く人々----の中で犠牲となっている。
アフガニスタンでも事情はほぼ同じである。元英軍統幕議長のインジ卿は最近次のように述べている。「アフガニスタンの状況は、多くの人が考えるよりも遙かに悪い。・・・・・・人々が思いたがるよりも遙かに深刻である」。上級の軍関係情報源はオブザーバ紙に、「将軍たちと個人的に話すならば、彼らがとても憂慮していることがわかる」と述べている。地上で敗北やむごたらしい膠着状態に直面している中で、連合軍は空軍力に訴え始めた。米国がベトナムで行ったのと同様である。けれども、ベトナムでもそうだったが、空からの爆弾が生み出す恐ろしいまでの民間人犠牲者は、長期的に作戦が失敗することを保証するばかりである。
「占領に対する反感を弱めるどころか」、「爆撃により人々は自分たちの指導者のもとに終結するようになり、祖国を破壊しようとしている部外者----その部外者がどんな口実を持っていようと----に対して自分たちを守ろうとすることになる」とブルッキングス・インスティチュートのフェローであるフィリップ・ゴードンはアジア・タイムズ紙に語っている。
コリン・ハリナンはフォーリン・ポリシー・イン・フォーカスのコラムニスト。
民間人犠牲者が増えても増えなくても、侵略戦争は完全に不法ですが。。。「人道的介入」を唱えたハーバーマスやらイオネスコといった「リベラル」たちのおかげもあって、「先進国」では、そうした単純な原則さえ見えなくなっているようです。
投稿者:益岡



