2007年09月02日

イラク戦争と日本――『朝生』テープ起こしとソース探索

以下、私の個人ブログとの二重投稿。



昨晩の『朝生』で、衆議院議員の江田けんじさんが「テロ特措法でペルシャ湾に行っている自衛隊の補給艦が、誰に何のために補給しているのか」を説明なさったそうで。

# 以下、テープ起こしの部分、ご自由にお使いください。誤変換とか見つけたら修正してからお願いします(はずかしいから)。説明書きのところは再利用に際してトルなり何なりしていただいて問題なし。連絡不要。

【司会(田原総一郎)】
あのー、江田さん、もう一度さっき……

【江田けんじ】
ええ

【司会】
大事なことを実はおっしゃったんだけど

【江田】
(うなづく)

【司会】
補給していると、燃料を。しかしその補給の内容がどうだっていうのか。

【江田】
いやこれがねぇ、もう驚いたんですよ。

そのねぇ、私も耳には、噂では、してたんですけれども……あの(資料を用意しながら)実は、その補給の、さっき「情報公開」ってのがありましたけどねぇ、これはあのー、自衛隊、防衛庁が発表した資料でもですねぇ、それぞれカナダだフランスだドイツだってやってるんですけどね(カメラ、切りかわって江田氏の持つ資料を映す)、アメリカとイギリスだけにはですね、アメリカ、イギリスの補給艦に補給してるんです。


【司会】
えっ?

【江田】
要は、自衛カン[発言ママ]の補給船がですね、アメリカとイギリスだけにはですね、アメリカ、イギリスの補給艦に補給してるんです。

【司会】
補給艦? どういうことですかそれは。

【江田】
補給艦が補給艦に補給してるんです。これは自衛隊の資料でも明らかになってますね。

それで私も調べてみようと思ってですね、あのー、これなんですよね……

【司会】
アメリカの?

【江田】
ホームページ。要するに「第五艦隊」のホームページですよ。(資料を示す)

【司会】
第五艦隊、はい。

【江田】
第五艦隊の、アメリカの、海軍の。

で、そこに驚くべきことが書いてあって。これ「オペレーション・イラク・フリーダム」、要するに「イラクの自由作戦」で、その、「有志連合」が何をやっているかという項目がありましてね(資料をめくる)、で、そこにスペインだカナダだっていうっていうふうになった中にですね、こう書いてあるんですよ。

# 以下、しゃべり方の癖のところ(「あのー」など)は、何となく書き起こしちゃったものを除いては、書き起こさない。

「日本の政府はこれまでに、8,862万9,675ガロンの貢献をしてくれた」と、書いてあるんですよね。これね、「8,862万なにがしガロン」ってのはキロリットルに直すと「30万キロリットル以上」なんですね。

で、これとですね、防衛庁が発表しているこれまでのアメリカ艦船への補給が、「38万キロリットル」なんですよ。ということはどういうことか。

「38万キロリットル」自衛隊の補給船が米国の補給船に補給した油は、ですね、その8割以上は、イラクの戦争のために使われている、ってことがわかったわけです。

【司会】
つまりアフガン戦争じゃないんだ。

【江田】
アフガン戦争じゃないんです。

【司会】
アフガン戦争に補給するんじゃなくて、実は、アフガン戦争に補給すると見せかけながら、実はほとんどがイラク戦争への補給になってるんだ[語尾やや不明瞭]。(この間、映像では左側のほうで誰かが発言したそうにもぞもぞしているが、後姿みたいなものなので、誰なのかが私にはわからないが、映像のあとの部分から、たぶん森本氏だろう。)

【姜尚中ら@外野席】
イラクとアフガンはね、はっきりと分けられな……がやがやがやがや

【司会】
ちょっと待って。江田さんの発言は重大な発言で、日本人のほとんどは、イラクせん、うにゃあ、アフガン戦争のための補給だと思ってるのが、実はイラク戦争のための補給であった、と。

【江田】
そうです。

【姜尚中】
今の現状でですね、海上掃海はほとんど意味がないですよ。

【発言者不明】
人道復興支援……[聞き取れず]

【司会】
いや意味は……

【大勢】
がやがやがやがや、意味がないことはない……

【江田】
もう一回事実関係をちょっと。森本先生に反論するとねぇ、2003年にね、そのー、アメリカ軍の横須賀基地ありますね、そこの機関紙(機関誌)に「シーホーク」ってのがあるんです。

でその「シーホーク」の一面にね、えー、この、イージス艦の「きりしま」と護衛艦の「はるさめ」と補給艦の「ときわ」の写真が載っててですね、広報してるんですね。

(資料を音読して)イラクの自由作戦を支援するためインド洋に配備され、5月20日、母港の横須賀に戻ってきたと指摘。イラクの自由作戦における同盟軍の海上作戦を成功させる手段であったというふうに強調している、と。

でそのときにですね、それに乗って帰ってきた海上自衛隊の曹長[←漢字が違うかも]がですね、えー、「ときわ」は……「ときわ」ってのは補給船ですね、(「ときわ」)は同盟軍の艦船に230回以上の給油を行い、600人以上が、「イラクの自由作戦」に参加した。「きりしま」、「はるさめ」が持つ高度な通信能力は……「きりしま」ってのはイージス艦です……「イラクの自由作戦」の期間中、同盟軍の艦船を大いに助け、高い有用性を証明した、と報じているんですよ。(資料の音読ここまで)

で、これはね(脱力した笑い)、今みたいな言い訳(森本氏を指す)じゃあ通らない。

それから「キティーホーク」にも補給してて、「キティーホーク」ってのはイラク南部を空爆した空母ですから、当初。これはもう明らかになってますからね。「キティホーク」にも給油してるわけです。

ですからね、イラク戦争に「人道復興支援」だから許される、みたいなね、全然崩れちゃうんですよ。

【司会】
そういうことがぁ、当然防衛庁は知っていて……

【江田】
もちろん知ってます。

【司会】
国民を騙したって……(語尾不明瞭)。

【江田】
(うなづく)

【姜尚中】
「騙した」(いい声で苦笑する)

【発言者がわからない】
答弁とは完全に矛盾する。

――典拠:
テロ特措法:アフガンではなくイラク戦争への補給
http://www.youtube.com/watch?v=HKviUdWOUaU

# 数多くの「そのほかの発言者」のうち、姜尚中さんだけ特定できているのは、あの「いい声」は誰の耳にも明らかだからです。

江田さんの発言の直接のソースを探そうと、とりあえず米軍第五艦隊 ("5th fleet" で検索すればすぐにわかる)のサイトで「オペレーション・イラク・フリーダム」で「有志連合が何をやっているか」についてのページを探してみたが、見当たらない。5th fleetのサイトで、"Our Mission and Area of Responsibility" のところを見てみたが、見当たらない。自力で探すのは早々と断念。

一応、第五艦隊の「ニュース」一覧のページ:
http://www.cusnc.navy.mil/articles/index.html

以下、ブログ検索などで見つかったものをとにかく貼るだけ。

■海自の給油はイラク戦争向けが85パーセント
 @「ネットゲリラ」さん
http://my.shadow-city.jp/?eid=518289

■イラク戦争向けに給油していたらしい
 @「Jin and Tonic」さん
http://jinandtonic.air-nifty.com/blog/2007/09/post_11d9.html
……それで、米軍の第5艦隊のHPに書いてあったというので探してみたがここ?

Oiler Completes Japan's 700th Refueling in Arabian Sea
http://www.cusnc.navy.mil/articles/2006/224.html
5年以上にわたり700回もOperation Enduring Freedom 作戦で給油してくれたと書いてあるようだ。

上記の第五艦隊の記事、音声ニュースもついてます。一応中身も:
December 3, 2006
FOR IMMEDIATE RELEASE
Release # 224-06

Oiler Completes Japan's 700th Refueling in Arabian Sea
By Mass Communication Specialist 1st Class Kathryn Whittenberger

ARABIAN SEA Japanese oiler JDS Mashu (AOE 425), part of Escort Division 8, conducted a replenishment at sea with the German navy frigate, FGS Schleswig-Holstein (F-216), Nov 27, marking Japan's official 700th refueling of a U.S. or coalition ship since Nov. 2, 2001.

For more than five years, Japan has provided fuel for these vessels so U.S. and coalition ships can conduct operations in the Arabian Sea as part of Operation Enduring Freedom (OEF).

"We sincerely wish to continuously contribute to improving the operational efficiency of coalition ships," said Escort Division 8 Commander Japanese Capt. Koji Sugihara.

This was the sixth replenishment Schleswig-Holstein conducted with Mashu since the German ship arrived in the region in June.

"In the wide maritime area of operations we operate in, it's of utmost importance that we can rely on the availability of capable replenishment units," said Schleswig-Holstein Commanding Officer Cmdr. Eike Wetters. "Therefore, the continued support of the Japanese is very essential to the coalition's mission in the region."

んー、自衛隊が参加している作戦名が、Operation Enduring Freedomになってるのね。その点は日本政府の言ってること(つまり「アフガン戦争」との弁解)と一致している。また細かい数字も出てないから、江田さんのソースはこれではない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Enduring_Freedom
http://www.globalsecurity.org/military/ops/enduring-freedom.htm

同じ「Jin and Tonic」さんのエントリのもうちょっと下の方:
……第5艦隊の「Operation Iraqi Freedom」というページの下のほうにこう書いてあるのをようやく探した。
http://www.cusnc.navy.mil/Orders%20to%20Command/pages/oif.htm

The Government of Japan has contributed in excess of 86,629,675 gallons of F76 Fuel - worth more than $76 million dollars - since the inception of Operation Enduring Freedom.


アフガンから始まったテロ撲滅作戦である「Operation Enduring Freedom」ではなく、イラク戦争「Operation Iraqi Freedom」のページに書いてあるところで、まあ証拠といえなくもないな。

でも85%とは書いてないんだよね。どこに書いてあるんだ?と思っていたら、そのサイトはアクセス不可になっているんだそうだ。

江田さんの発言の「8,862万9,675ガロン」と "in excess of 86,629,675 gallons of F76 Fuel" は見事に一致するので、これですね。すばらしい。

なお、「85%」というのは、少なくとも上にある部分で江田さんが直接発言したものではなく(江田さんの発言は「その8割以上」。ただし番組の別の部分ではどうかはわからないし、私が聞き逃しているだけかもしれないので、その場合コメント欄でご指摘をお願いします)、算出は別の資料(たぶん自衛隊の資料で、補給した燃料の総量が明示されているもの)との突き合わせで可能。

# 英軍筋で探してみれば案外さくっと出てきたりしないかなあ。

# 米軍の資料の件、このエントリの一番下の「追記」を参照。

■テロ特措法で補給艦が行っている給油活動はイラク戦争に大いに荷担しているらしい
 @「Wind Park」さん
http://windpark.jp/diary/78

■イラク戦争に参戦していた海上自衛隊/テロ特措法でアフガンではなくイラク戦争への補給
 @「どこへ行く、日本。」さん(←名称が長いのですみません、最初の部分だけ)
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10045480511.html
ところで何と「しんぶん赤旗」が実は2003年5月23日(金)付けでこの事実をつかんでおり、すでに報道しているのだ。

↓その内容:

■イラク戦争に参戦していた海上自衛隊
 @「飛松武士の日記」さん
http://himatsuno.seesaa.net/article/53503920.html
昨夜、寝付けなくて「朝生」を観ていたところ、イージス艦「きりしま」、護衛艦「はるさめ」、補給艦「ときわ」がイラク戦争に参戦していたという人がいて、驚いて検索してみたら「赤旗」にこんな記事があった。


「しんぶん赤旗」の記事:
「自衛艦はイラク戦に参加」
アフガンテロ対策のはずが…
米海軍機関紙が報道
給油、情報を提供
2003年5月23日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-23/01_04.html
 “海上自衛隊艦船がイラク戦争から帰還”―。二十日にインド洋から海上自衛隊横須賀基地に帰港したイージス護衛艦「きりしま」など海自艦船三隻について、米海軍横須賀基地の機関紙「シーホーク」二十三日号は一面トップで、こう報じました。

この記事には「シーホーク」の1面の画像が掲載されていますが、ほんとにヘッドラインが、JMSDF ships return from Operation Iraqi Freedom となっています。

あと、江田さんの発言にあった記述:
 海自艦船は、「きりしま」のほか、護衛艦「はるさめ」、補給艦「ときわ」。同紙は、これら三隻が「イラクの自由作戦……を支援するためインド洋に配備され、五月二十日、母港の横須賀に戻ってきた」と指摘。「イラクの自由作戦における同盟軍の海上作戦を成功させる手段であった」と強調しています。

 さらに、海上自衛隊の曹長が「『ときわ』は同盟軍の艦船に二百三十回以上の給油を行い、六百人以上がイラクの自由作戦に参加した。『きりしま』、『はるさめ』が持つ高度な通信能力は、イラクの自由作戦の期間中、同盟軍の艦船を大いに助け、高い有用性を証明した」と述べた、と報じています。

「シーホーク」は下記でバックナンバーも読めます。当該の号は、May 23, 2003です。
http://www.cfay.navy.mil/seahawk.htm

ほんで、DLしてみたんですが、うはははっ!
may232003.jpg
# ノーコメント。(^^;)




■追記:
長野智子さんのブログ:
http://yaplog.jp/nagano/archive/300
江田さんは、番組の中で、アメリカ海軍中央司令部&第五艦隊のウェブサイトにこのように書かれていることを提示しました。

これがそのサイトのプリントアウト。
[画像がある]

「有志連合の貢献」という章です。

あったあった、これだ。
http://www.cusnc.navy.mil/Orders%20to%20Command/pages/oif.htm#global
一応ページ全体スクショしておいた(←重さ注意。減色してもなお1MB以上なので)。9月1日午後2時30分ごろ(日本時間)。

んで、そこには
The Government of Japan has contributed in excess of 86,629,675 gallons of F76 Fuel - worth more than $76 million dollars - since the inception of Operation Enduring Freedom.

とあるのだけども(上に書いた「Jin and Tonic」さんが探された文と一致)、問題は、Operation Iraqi Freedomについてのページに、Operation Enduring Freedomについての記載があるということかな。つまり、あまりに自明なことではあるが、両者の区別は米軍・米国政府としてはぐだぐだである、ということ。

なお、上記ページ、日本についての後はカナダについての記述があり、そこでもOperation Enduring Freedomなんだよね。

(どうでもいいが「カナダは洋上でイラク人を取り押さえた」のくだりで、そのイラク人が所持してたものを列挙した最後のひとつが「モロトフ・カクテルの材料」とあるのに脱力。「モロトフ・カクテル」が安全なものだとは言いませんが、尻すぼみ感が。北アイルランドでさえ、現在のReal IRAなどの活動について「モロトフ・カクテルの材料が見つかった」とか、あったとしても報道されない。まあ、警察の記録には残ってるのだろうけど。)



以上、私の個人ブログとの二重投稿。コメント、トラバは私の個人ブログのほうへ。こちらではコメントもトラバもクローズします(不必要な情報拡散を防ぐため)。

投稿者:いけだ
posted by いけだ at 01:40| イラク全般