2007年06月12日

検問所で何百人もが失踪したり殺されている

検問所で連れ去られ、失踪し、遺体となって発見される人々。2007年2月以来とりわけバグダードの検問所でこうした事件が増えています。警官や兵士が人々を殺す自由。とりわけ1980年代に米軍から訓練を受けた中米の軍が行っていた人権侵害を思い起こさせます。
検問所で何百人もが失踪したり殺されている
IRIN
2007年6月7日
Electronic Iraq 原文

バグダード発(IRIN)。サミール・ワレード(39歳)は、バグダードの道を使うのが怖いと語る。2週間前、兄が道路封鎖で止められ、連れ去られて殺された。治安情勢の悪化によりバグダードでは検問の数が増え、皮肉にも、それが住民にとって危険なものとなっている。

イラク警察とイラク軍兵士、場合によっては民兵が監視する検問は、バグダードの住人がこれまで抱えていた緊張に加え、さらに膨大な緊張を強いている。検問では人々が武装グループに協力していると疑われて拘束されることも多く、一度拘束されると何が起きても不思議ではないと住民たちは語る。

「兄は妻と子供たちとともに車に乗っているところをマンスール地区の検問で警官に止められました。警官たちは彼を逮捕し、それ以後、消息はわかりませんでした。一週間後、あらゆるところを探し回った末、市のモルグで頭に3発の銃弾を受けた兄の遺体を見つけました」とワレードは語る。

「義姉によると、警官たちに止められたとき、兄の髭が長いから警官たちは兄をゲリラだと非難したのです。兄は警官たちに、自分は薬剤師で、髭を伸ばしているのはそのほうが見栄えがするからだと説明したのですが、警官は彼を逮捕したのです」とワレードは続けた。

警察は不正行為を否定している

ワレードは警察に兄が殺された理由を問い合わせたが、兄が逮捕された地区の警察署職員たちはワレードに、彼の兄の逮捕に関連する情報はないと告げた。おそらくは警察が尋問後彼を釈放したあとでゲリラに殺されたのだろうと警官たちは述べた。

「彼ら[警官]が兄を殺したのはわかっていますが、それを証明することはできません。これがイラクの現実です。警官たちは好き勝手に人々を止め、そうしたら何が起こるかわかりません。三人のいとこと叔父の一人も同じ運命をたどりました。二人はイラクから出国しようとしたときにゲリラの検問所で殺され、二人は仕事に行く途中でバグダードの検問所で止められて失踪し、殺されて見つかったのです」とワレードは言う。

イラクの殺人率が高いため、治安部隊は誰であれ好きなように逮捕する権限を与えられている。市民は殺人者が逮捕されることを望むが、当局に対しても殺人者に対すると同様の怖れを抱いている。

「イラクでテロを防止するために検問は重要ですが、治安部隊は地元住民に妥当な振舞いをしていません。軍であっても検問を通過する人々にしかるべき敬意を払うべきですが、[検問で人々が殺される]事件は増加しており、分派的暴力も背景にあると言います」。ムスタンシリヤ大学の治安アナリストであるバクル・ムハンマド教授はこう語る。

セクトへの忠誠

「スンニ派はシーア派の検問を通ることを恐れています。逆も同じです。人々が殺されたり拘束されない日はまれで、犠牲者の多くはセクト的暴力の犠牲となった罪のない人々です。こうした虐待を認めることはできません。政府は何か対策を講ずるべきです」とムハンマドは言う。

こうした非難に対し、イラク軍と警察は、検問は暴力を激化させるためではなく地元住民の安全を維持するためにあると答えている。

「イラクの治安部隊はテロリストたちから住民の身の安全を守っている。警官と兵士はコミュニティに危険だと確実にわかったときだけその人物を逮捕する。そして尋問をしたときも、無実だとわかり次第、拷問も侮辱もせずに釈放する」と内務省の高官アリ・ハスナウィ大佐は言う。

けれどもムハンマドによると、実情はまったく違う。警官の多くがセクトの一方の立場を取り、逆側のセクトに属する住民を侮辱する。

「逮捕しない場合でも、家族にひどい言葉を投げつけたり暴力をふるったり、男たちが愛する家族の命を救うために侮辱を我慢しているときに妻たちに乱暴な言葉を投げつけたりして侮辱します」とムハンマドは言う。

失踪した人々

地元イラクのNGO「人権協会」(HRA)のムハレド・アル=アーニによると、バグダードの検問所で逮捕されたあと失踪する人々の数はこの2月以来増えているという。

「親族がバグダードの検問所で逮捕されたあと、その居場所を探す助けを求めて私たちのところに来る家族がたくさんいます。ほかに、愛する人たちが検問所を通過してそれから失踪したという情報を手に入れたけれども確かではないという人々もたくさんいます」とアル=アーニは言う。

「2月から、バグダードの検問所で兵士や警官に逮捕されたあと失踪した男性の事件を私たちは100件近く記録しています。他に、アンバル県でゲリラの検問所で拘束された[それから行方不明になった]ケースが25件あります」と彼は言う。「家族は、自分たちも標的になるのを恐れるため、治安部隊に行って親族の所在を聞くことができません。だから地元NGOの助けを求めるのです」。

イラク人権省は、検問所で止められたあと失踪しているケースを多数調査したが、人々の失踪に警官は関係していないことを示す証拠を警察は十分に示したと述べる。

バグダードで公正な調査や裁きがなされないため、住民の多くは、軍や警察、政府役人を含め当局を信じなくなっている。

「私の夫と息子はドーラ地区の検問所で逮捕されました。ゲリラだと非難され、家に戻ってくることはありませんでした。探し出そうとしましたが、他の息子たちも同じ運命をたどることが怖かったので、家にいて泣きながら失踪した夫と息子がドアを開けて帰ってくるのを祈るだけでした」とサミア・アル=ディン(43歳)は言う。夫と息子が拘束されたのは3月だった。

「セクト間の暴力はイラクのすべての人と地域に影響を与えており、どこにももう安全なところはありません。これまで私は爆弾のために外出を恐れていましたが、今では検問が他の何より危険なものになっています」と彼女は述べた。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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