2007年06月03日

米軍の「サージ」下でのイラク民兵:好き放題の殺人

米英のイラク占領下、民兵たちが行う拉致や殺人。パトリック・コックバーンの報告。
米軍の「サージ」下でのイラク民兵
好き放題の殺人
パトリック・コックバーン
2007年5月31日
CounterPunch原文

19台の車に乗った40人の警察官がイラク財務省建物の前を冷静に封鎖し、財務省を襲撃して5人の英国人を拉致した事件は、米軍が増強され新たな治安計画が導入されたことによってもイラクの首都の状況がほとんど変わっていないことを意味する。

これまでも「警官の制服を着た」男たちが「警察の車に乗って行き来している」という、殺人者たちが警官を装っているとでも言いたげな表現は、まったく馬鹿げたものだった。「もちろん、彼らは制服を着ているし、警察の車両に乗っている。本物の警官なんだから」と、昨年、首都バグダードで高等教育省から150人の人々が拉致された同様の事件が起きたときに、あるイラク人閣僚は語った。

この誘拐を行っている部隊はほぼ確実にシーア派部隊であり、おそらくメフディ軍かバドル旅団の支配下にある。財務省があるバグダード東部はシーア派が支配的な地域で、石油省と内務省から遠くない場所にある。周辺にはたくさんの検問所があるため、スンニ派の分遣隊が看過されることはありそうにない。

拉致の動機は政治的なものである。バグダードにいる金目当ての誘拐団は、数も多く暴力的で組織化も進んでいるが、こうした規模で作戦を行う必要もなければ能力もない。襲撃の実態は、それが十分な情報を把握した上で、財務省に侵入し撤退するまで注意深く計画されていたことを示している。

この誘拐の理由としてもっともありそうなのは、先週、英軍が手助けして行われたバスラでの軍事作戦により、メフディ軍の司令官アブ・カデル----ウィッサム・ウィアリという名でも知られている----が殺されたことへの報復であるというものである。英国の行動に対してはどんなものであれ報復するというメッセージを送るためのものかも知れない。

このような襲撃を行うことのできる民兵としては、イラク・イスラム最高評議会(SIIC)の軍事部門であるバドル旅団が支配する警察および警察奇襲部隊がある。現在でも内務省はSIIC配下の者たちにほぼ支配されている。米国と英国の指導者が常に非難の対象として選び出すのはメフディ軍であるが、2005年と2006年に行われたセクト的殺害で中心的役割を果たしていたのはバドル旅団である。

イラクで米英要員を大量に拉致する行為についての第三の容疑者は、イランが手引きする部隊であり、イラクには確かにそうした部隊が存在する。クルド人地域の州都アルビルで1月11日、米軍ヘリの襲撃によりイラン人政府関係者5人が拉致されて以来、イラク内でイランが扇動する報復作戦の数は増えたようである。

財務省で起きたこの拉致事件は、イラクについてもう一つの真実を強く示している。イラクのアラブ人地域で、米英には同盟者などまったくいないという点である。4年間にわたり、スンニ派のコミュニティは抵抗活動を続けてきた。けれどもイラクのシーア派も、米軍主導の占領を指示するのは、目的を果たすための手段である限りであって、合法的に選挙を通して実権を握るためであった。結局のところ、シーア派は、外国の占領者たちと権力を分け合う意図など全くない。

イラクで外国の治安要員を莫大な資金を投下して大量に雇用している理由の一つは、米国政府も英国政府もイラク政府も、自分たちの護衛としてイラク人を信頼することはできないと知っているからである。

パトリック・コックバーンは「The Occupation : War, resistance and daily life in Iraq」の著者で、この本は2006年全国書評サークルのベスト・ノンフィクション・ブック最終選考に残った。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(1) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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