2007年02月22日

イラクの食料危機

イラク侵略占領に加担し、イラクの人々の生活と農業生産を破壊することに加担したまさにそうした国々から、イラクの人々が質の悪い食料を受け取らなくてはならない状況に、まさに侵略占領によって追いつめられている状況について、そして侵略占領がもたらした食糧危機について、ダール・ジャマイルとアリ・アル=ファディリーが報じます。
イラクの食料危機
ダール・ジャマイル&アリ・アル=ファディリー
2007年2月19日
Electronic Iraq 原文

バグダード発(IPS)。イラクの治安悪化により、今や食糧供給が崩壊の危機に直面している。

「私たちには豊富な資源があるのに、今、食料を請わなくてはならない状況を見て下さい」。バグダードに住む60歳のウム・ムタンナはIPSにこう語る。以前のようには野菜が供給されなくなったバグダード中心部の野菜市場に立って、ウム・マフムードはイラクに対する絶望的な気持ちを語る。

「二つの大河を擁するイラクは、世界に向けた最大の食料輸出国だったはずです。けれども今や、私たちは、私たちを殺す行為に参加している者たちに食料を請わなくてはなりません」。イラクは石油も農業資源も豊富な国である。

侵略の翌年、2004年、地元の支援と国際支援がイラクに流れ込んだ。しかしながら、イラクで多くの援助活動家が誘拐されたために、そうした供給のほとんどが、遮断された。

イラクの人々が得る食料は、必要でなかったり、欲しいものでなかったりすることもしばしばある。

「イラクの人々は、これまでは食料を輸出していたのに今では食料援助を得ている立場に置かれていることを心地よく思っていません」。経済学者のジャシム・アル=リカビ博士はIPSにこう語る。

「米軍の占領が始まってから、イラクは援助NGOの草刈り場となってきました。そしてそれらのNGOの多くは、イラクの人々に馴染みのない食料を買い込みます。けれども、必要に直面しているのでそれらを受け取らざるを得ないのです」。

大麦、小麦、豆類、そして有名なイラク産デーツが主要な食事であり、輸出もされている。イラクでよくある食事にはまた、米と羊、鶏肉、そしてキュウリやタマネギ、トマトなど地元産の野菜もある。

占領下のイラクでは、人々が得る食料のほとんどは、オーストラリアをはじめ、米軍の侵略と占領を支援した国々の会社から来ている。そして、これらの食料は、品質が悪いことが少なくない。

2006年、貿易省は、汚染された食料と賞味期限切れの食料数千トンを受け取り拒否したり、破棄処分にした。こうした食料は、イラクで広範にわたり食中毒を引き起こしている。

リカビ博士は、イラクの食糧供給が崩壊している責任は、米国の支援を受けたイラク政府と米軍の占領にあると語る。「2005年の末までに、ほとんどの国際NGOが、自国政府の命令に従ってイラクから撤退しました。セクト的暴力が増大する予兆を見て取ったからです」。

治安状況が悪く、石油も不足しているため、イラクの農民たちが、作った作物を市場に出せないこともよくある。

暫定統治当局の元代表L・ポール・ブレマーが導入したイラク輸入関係法変更により、外国製品の輸入関税が引き下げられたため、イラクの農民は競争できなくなった。それにより、イラクでは、数え切れないほど多くの農民が破産した。

けれども、現在、輸入食料品の価格は急上昇している。また、イラクの市場に出回る食料のほとんどが輸入されたものであり、燃料価格が天井知らずの上昇を続け、政府の規制もないため、価格はさらに高くなる。今や、鶏肉や果物、野菜などの輸入品は、地元で栽培されたものより高くなっている。

「地元の農業生産はゼロに近いのです」とイラク農業省のマジド・アル=デュライミはIPSに語る。「ここイラクでは誰もが知っている理由から農業生産を維持することが不可能なため、農業省が農家や栽培者に提供する限られた額のローンは適切に使われません。現在、私企業がすべてを輸入しており、価格が高すぎて普通の人々には手が届かないほどです」。

イラク貿易省の役人は、貿易商は以前のようにイラクの人々に食糧配給を行おうと務めているが、状況からそれは難しいと述べる。

「治安上の問題に苦しめられていると同時に、ひどい品質の食料を提供する多くの会社との間で問題を抱えています」と彼はIPSに語る。

オーストラリアが昨年イラクに供給した小麦は、配られたとき、鉄くずが混じっていることがわかった。イラクの関係省庁が進める調査は、いまだにどの会社にも責任をとらせていない。

イラク人の大多数は、今も毎月の食料配給に依存している。このプログラムは、第一次湾岸戦争のあと、1990年代に経済制裁が加えられていた時期に開始されたものである。けれども、汚職や、分配の過程で特定のセクトを優先することが起きているため、毎月の配給を受けられない人々の数は増えている。

ワシントンのブルッキングズ・インスティチュートがまとめた2005年の統計によると、イラク人の60%近くが、毎月の食糧配給を継続して消費しており、25%にのぼる650万人が必要最低限の栄養をとるために配給に「大きく依存している」。

イラク貿易省のアブドゥル=ラティフによると、前政権が提供していた12種類の食料品のうち、現在配給されているのは砂糖と米、小麦粉、料理用油だけだという。レンズ豆を初めとする他の食料品は、2006年5月の予算削減のため、配給品リストから削除された。

「食糧配給? 何の話をしているんですか?」と、5児の母である35歳のウム・ジャミラはIPSに言った。「国全体が私たちから盗まれてしまいました。あと6カ月こんな状態が続けば、私たちは、他の飢餓に苦しむ国と同じになるでしょう」。

国際移住機関(IOM)が1月30日に発表した報告では、イラク国内避難民の150万人が、十分な食料や飲み水、衛生施設や保健施設や教育施設といった生活の基本必需品がない状態にある。

『家を追放されたイラク人レビュー2006年版』と題するこの報告書は、イラク国内避難民にとって何よりも緊急に必要なものとして食料をあげている。

「私は、給料が300ドルに上がったとき、とても幸せでした。けれども、今では、この占領前の給料30ドルのときに戻ることを願っています」と産業省のエンジニアであるカミル・ファッタは言う。「イラク市場のインフレにより、まともな食べ物を食べることが不可能になりました。以前は、ほとんど無料で、基本的な必要食料を手に入れることができたのです」。

世界食糧計画はイラクに援助を送っているが、関係者によると、このプログラムは困難に陥っている。

「食料が途中で盗まれたり、そうでなくても中立第三者が到着を確認することができない状況です」と世界食糧計画を運営する食糧農業機関の元スタッフはIPSに語る。「出荷ごとに第三者の検査が必要なのですが、治安状況が悪いため、そうした検査を行うのが困難なのです」。

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投稿者:益岡
posted by 益岡 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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