2006年12月26日

米軍はイラクから撤退しなくてはならないが、そうするとアメリカ合衆国はどうやって油田を支配し続ければよいのだろう?

イラク・スタディ・グループが出した報告書は、米軍のイラク撤退を主張したものとして(だけ)大きく取り上げられました。その報告書に含まれる傲慢な内容を、『ピーク・オイル』の著者リンダ・マクウェイグが論ずる。

米軍はイラクから撤退しなくてはならないが、そうするとアメリカ合衆国はどうやって油田を支配し続ければよいのだろう?
リンダ・マクウェイグ
2006年12月18日
ZNet 原文

イラクの大失敗にどう対処すればよいかブッシュ政権に助言するために作られた、超党派によるイラク・スタディ・グループの報告書は、ブッシュ大統領に、米国政府はイラクの石油を制圧しようとしていないことをはっきりさせるよう力説した。

この報告書は、そのように述べたあとで本来の仕事に取りかかり、まさに米国政府がどうやってイラクの石油を制圧すべきかについて説明している。

報告書は、イラクが「石油法」を採択すべきであるとしている。「石油法」は、アメリカ合衆国の助言のもとに起草されるべきであり、また、外国の石油企業に、イラクの巨大な、そしてあまり開発されていない石油資源の開発を認めるべきものであるという(報告書によると、イラクの石油資源は世界第二の規模を誇る)。

報告書を読んで腹を立てずにいるのは難しい。米国の中間選挙で共和党が惨敗した直後に公開されたこの報告書は、ジョージ・ブッシュの帝国主義的冒険をついに鋭く攻撃したものとして、また、両党の首脳たちがブッシュ大統領のふるまいに制限をかけるものとして、興奮を引き起こした。

実際にはそうではなく、この報告書は、帝国主義的思考が----民主党員にも共和党員にも共通して----どれだけ広まっているかを示しているもので、まさにこれが、アメリカ合衆国のイラクやその他の国々に対する対外政策の問題の核心にある。

確かに、報告書は、イラクでのひどい大失敗を認めており、米軍を撤退させる戦略について概略を示している。

けれども、それは本質的にブッシュ政権の戦略である。米国が支配するイラクという大枠の中で、治安を担当するに十分強力なイラク軍を創生すること。

ホワイトハウスとイラク・スタディ・グループの焦慮を報告書に感ずることができる。どうにもこうにも、侵略からもう4年近くもたつ! 有能な傀儡政府と傀儡軍が仕事をちゃんとやりはじめるのにどれだけかかるというんだ?

報告書は、イラクに対する米国の支配権を拡大するためのビジョンを示している。米国政府関係者をあらゆるところに組み込む。イラク軍内に米軍兵士たち、イラク警察には米国の訓練官、イラク内務省にはFBIのエージェント、諜報部門にはCIAのエージェント。

報告書はさらに、イラクの消費者たちは石油を買うのにもっと高い金を払わなくてはならないとさえ述べており、また、今月末までに、イラク中央銀行は利率を20パーセントに上げなくてはならないと指定してさえいる。

これらすべては、イラク人自身による実効力を持った政府という考えに対してブッシュ政権が持っている軽蔑と足並みを揃えている。ブッシュ政権のイラクに対する軽蔑は、バグダードにブッシュが10億ドルをつぎ込んで建設した巨大な米国大使館で、1000人の職員を擁しながら流暢にアラビア語が話せるのはたった6人であることにも現れている。わずか6人! おそらく、残りの994人は、お互いにおしゃべりしたりワシントンと話し合ったりしながらイラクに民主主義を持ち込むことに忙しいのだろう。

米軍をイラクから撤退させるのに躊躇しているのは、そうすればイラクが血の海に染まってしまうなどという主張とはまったく関係ない。すでにイラクは血の海と化しつつあるのだから。

まさに米国政府は、この血の海を作り出すことに貢献してきた。自ら暴力を振るうとともに、イラク軍内で活動する「死の部隊」に米国の傀儡政権に敵対する人々を殺させることによって。

米軍の駐留は事態を悪化させているだけである。米軍は撤退しなくてはならない。けれども、そうすると、アメリカ合衆国政府が支配のために4000億ドルもつぎ込んできた国の制圧を諦めなくてはならなくなる。そうなれば、アメリカ合衆国は、それらの石油をどうやって制圧すればよいのだろう?

リンダ・マクウェイグは評論家、It's the Crude, Dudeの著者。メールはlmcquaig[atatat]sympatico.ca.

C トロント・スター

「報告書はさらに、イラクの消費者たちは石油を買うのにもっと高い金を払わなくてはならないとさえ述べており、また、今月末までに、イラク中央銀行は利率を20パーセントに上げなくてはならないと指定してさえいる」。

日本のアメリカ合衆国大使館には、毎年、英語で日本への「要望」一覧が掲載されます。「郵政民営化」等々。これはもちろん、アメリカ合衆国の「帝国主義的思考が----民主党員にも共和党員にも共通して----どれだけ広まっているかを示しているもの」の一つですが、日本では、「まさにこれが、[日本]に対する対外政策の問題」にはなっていないところが、成功している傀儡政権というところでしょうか。

興味深いのは、この傀儡政権が、自分に都合の悪い「日本国憲法」や「教育基本法」については、「押しつけられた」とわめくこと。国際法に違反したイラク侵略行為には嬉々として同調するにもかかわらず。

なお「イラク内戦」と報ぜられる事態の少なくともかなりは、アメリカ合衆国軍は中立で、イラクの対立するグループが戦っているのではなく、「エルサルバドル内戦」や「グアテマラ内戦」のように、アメリカ合衆国軍は「死の部隊」を養成して内戦に積極的に関与しているはずです。たとえば、政府の「死の部隊」がバグダードを破壊しているエルサルバドル・オプションを改めてご覧下さい。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 20:22| Comment(1) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど・・・・・・・・

やっと本当に合点が行ったような気がします。

なんらかの表向きの理由で、イラク人同胞を拉致して恐るべき拷問にかけ、顔の皮をはぎ取る、目玉をえぐり取って死体を捨てる。
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/rasheed01.jpg
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/rasheed02.jpg
これをやった人たちの素性は、米軍に訓練されたイラク人部隊なのだと考えるのが最もありそうなことだと。

イラク人同士の対立を煽り、レジスタンスの矛先を米軍からそれさせる効果があるのはよく分かります。

イラク国民にこの地獄が何年続くか考えると恐ろしいですが、この地獄の実態を知って「日本政府はイラク国民に人道支援ではなく戦争加害を加えている」ことを認識するべきだと思ってます。
Posted by nora at 2006年12月26日 23:27
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