オルソン:イラク戦争に対して、知的・道徳的にどう反対しているのですか? 何にもとづいて反対していますか?
ワタダ:第一に、この戦争はイカサマの口実に基づいています。大統領がわれわれにサダムの大量破壊兵器を破壊するためにわれわれはイラクに行くのだと言いながら大量破壊兵器など一つもないとき、どうしてわれわれはイラクにいるのでしょうか? それから大統領はサダムガアルカーイダおよび9月11日の事件と関係していると言いました。 この主張もまた、偽りだったことが証明されました。それではどうしてわれわれはイラクに行くのでしょうか? 大統領は、われわれはイラクで民主主義を広め、イラクの人々を解放するのだと言いました。そんなことも起きていません。
第二に、イラク戦争は、国内法から見ても国際法から見ても不法です。この戦争は合衆国憲法に違反し、大統領が軍の最高司令官として都合の良いときに武力を行使することを制限する戦争権限法にも違反しています。国連憲章とジュネーブ条約、ニュルンベルク原則は、すべて、侵略戦争を禁じています。
最後に、占領そのものが不法です。陸戦法を規定する軍戦場マニュアル27−10を見ると、占領勢力の責任を述べています。占領勢力として、私たちはそれらの規定の多くに従っていません。われわれがどうしてイラクにいるのか、そこで何をしているのか、何一つ正当化できないのです。
オルソン:軍内の抵抗者に対する批判として多いものの一つに、同僚を見捨て、自分のかわりに他の人々を戦争で戦わせているというものがあります。これについてはどう応えますか?
ワタダ:司令官は私に「誰もが君のようにイラク行きを拒否したら、何が残るというのか?」と問いました。彼は、そうすれば軍人がいなくなってしまうだろうと言いたかったのだと思います。困ったことです。けれども、私は彼に次のように言いたかったのです。「そうなれば、戦争は止まるでしょう。戦う者が誰もいなくなるのですから」。
人々が、お前はチームプレイヤーじゃないな、とか仲間を見捨てている、というとき、私は、自分が今でも同僚のために闘い、支援していると言いたいのです。ただ、仲間を支援する良心的な方法は兵器を投下してさらなる破壊をもたらすことではなく、戦争に反対して、兵士が全員家に戻れるよう戦争を止めようとすることです。不法な命令に従わないこと、道徳的にとがめるべきことがらに参加しないことは、私の義務です。
オルソン:あなたの気持ちは軍の中で一般的なものですか?
ワタダ:軍内の人々の一般的な気持ちは、「この戦争にはちょいと嫌気がさし飽き飽きしている」というものです。最近のゾグビーの世論調査で軍の70%以上の人々が、今年末までに撤退したいと言っていることからもそれがわかります。公に意見を表明する機会を与えられていない軍の人々から出た、強力な見解です。
オルソン:今米国はイラクで何をすべきだと思いますか?
ワタダ:兵士を即時撤退させるべきだと思います。内戦は、われわれが侵略し戦争を始めたことでわれわれが引き起こしたものです。今、私たちが内戦を緩和できるとは思いません。
オルソン:裏切られたという気持ちについて、説明してもらえますか?
ワタダ:大統領は総司令官で、リーダーですが、強い信頼関係がなくてはいけません。強固で効果的な軍を持つためには、司令官と兵士のあいだに一定の信頼が必要なことは、軍にいる者なら誰でも知っています。信頼がなければ、事態は崩壊し始めます。
私は、命令に従い言われたことをするという契約に署名しました。それに疑問を呈することも、命令の合法性を判断することもできない時期もあります。ですから、最終的に司令官を信頼しなくてはなりません。大統領の言葉を信用し、正しいことをすると信頼しなくてはなりません。自分たちの命を、正当で道徳的な理由でのみ犠牲に捧げることについて大統領を信じなければ行けません。彼がゴマカシで持ち込んだ戦争にわれわれを引き出そうとしたことを知り、その信頼は崩れました。大統領が私の信頼を裏切ったのですから、私の側で彼がやれと言っていたことを評価するときがきたのです。私は、この戦争に行くことは悪しきことだと気づきました。
オルソン:この国の反戦気分の増大についてはどうお考えですか?
ワタダ:それが現れているとは言えません。イラクから帰国した兵士たちは、多くの人がここでは戦争が続いていることを知らないようだとの印象を受けると言っています。兵士の家族や友人たちでさえ、戦争よりもポップカルチャーとアメリカン・アイドルに熱中していると。人々は、毎週命を落としている何百人ものイラク人や数十人のアメリカ人には関心がないのです。
オルソン:イラクの人々についてはどうですか? 彼らの苦しみがあなたの派兵拒否に影響しましたか?
ワタダ:サダム・フセインは残忍な独裁者で抑圧的でした。拷問も使いました。けれども、われわれがイラクに行ってからも拷問と人殺しは止みません。私も含めこの国の誰であれ、それに参加すべきではありません。
戦争ではいずれの側も相手を非人間化します。米軍兵士はイラク人を、イラク人市民など自分たちにとって何者でもないというところまで非人間化しました。そうして、多くの残虐行為が起きたのです。アメリカ人の若い男女がたくさん、残虐行為を行い、考えもせずに罪のない民間人を多数殺しているのです。イラクの人々は、おそらく、われわれがイラクを侵略する前よりも酷い状態に置かれているでしょう。
オルソン:辞表を提出した今、次は何をしますか?
ワタダ:私は辞任の書類を提出しましたが、認められませんでした。司令官は、今でも気は変わらないかと聞き、私はむろん変わらないと応えました。今も6カ月前と同じ考えです。彼は、私が実際に命令に背くまでは告発できないと言いました。そして、私は6月下旬にイラクに赴任する命令を受けたのです。それを拒否すれば、司令系統は私を告発し、軍事法廷にかけるでしょう。
オルソン:人々があなたの話を知ったとき、あなたの行動とその理由について、人々の頭と心に特に置いておいて欲しいことがありますか?
ワタダ:憲法はわれわれ皆に自由を与えていると思いますが、とりわけ神がくれた最も重要な自由は選択の自由だと思います。もはや選択肢はないと言うときは、自由を失うときなのです。随一の自由を。みなさんに言いたいことは、とりわけこの戦争を疑う人々に言いたいことは、みなさんにはその自由があるということです。それは決して剥奪できないものです。彼らはみなさんを投獄するでしょう。厳しく処罰するでしょう。見せしめにしようとするでしょう。でも、選択の自由はあります。残りの一生を、そうして生きなくてはなりません。
※本記事はLeft Turn #21 に掲載予定。購読は http://www.leftturn.org/ まで。
なお、Imai Kyoheiさんが、ワタダ中尉の声明を日本語化しました。転送・転載歓迎とのことですので、転載致します。
声明
エレン・ワタダ中尉
2006年6月7日
家族、友人、信仰心篤い地域のみなさん、マスコミのみなさん、そしてすべてのアメリカ人同胞のみなさん。本日はおこしいただき、ありがとうございます。
私はエレン・ワタダと申します。アメリカ合衆国陸軍中尉であり、3年間服務しています。
合衆国陸軍の将校として、重大な不正義に対して声を上げることは自分の義務であると考えます。私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下す者に対して負うものではありません。きょう私がみなさんの前に立つのは、兵士たち、アメリカの民衆、そして声を上げることもできない罪なきイラクの人たちのために何かを行い、彼らを守ることは私の任務だと考えるからです。
米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなければなりません。
イラク戦争は、抑制と均衡というわが国の民主的システムを侵害しています。この戦争は、憲法の規定によってアメリカの国内法と同等とされる国際条約や国際的慣習に違反しています。ほとんど満足な説明もなされていないイラク民衆への大量殺戮と残虐行為は、道徳的に重大な誤りであるにとどまらず、陸上戦に関する軍事法そのものの違反行為でもあります。この戦争に参加すれば、私自身が戦争犯罪の片棒を担ぐことになるでしょう。
平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許されます。そうした時代は終わってしまいました。私は上官に対して、われわれの行動の意味するところを大局に立って判断するよう求めました。しかし、まっとうな回答は得られそうにありません。私は将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います。
ありがとうございます。
関係の情報が、http://www.thankyoult.org/にあります。
投稿者:益岡





