2011年09月08日

ペンタゴン、外国人契約労働者の「奴隷」状態を黙認

戦争の民営化がイラクやアフガニスタンでもたらしている現実の一側面。
ペンタゴン、外国人契約労働者の「奴隷」状態を黙認
シャーウッド・ロス
ZNet原文
2011年9月2日(金)

6 月6日にサラ・スティルマンが『ニューヨーカー』誌に寄稿した「The Invisible Army」という記事によると、アフガニスタンやイラクで雇用されている7万人に及ぶ「第三国市民」(TCN)の多くが、「賃金を騙し取られ、怪我をしても補償を受けず、性的暴力の被害を受け、下請け会社のボスに年季奉公的状況で拘束されている」という。実際、このシステムは、現代の奴隷制度の歪んだ姿そのものである。

「こうした労働者は、多くが南アジアかアフリカの出身で、米軍基地の有刺鉄線で囲まれた場所に住み、不十分な食堂で食事を取る・・・」と彼女は書いている。「こうした労働者の多くは、目先の利益だけを追い求める下請け企業に雇われている。下請け企業の金の出所は、米国の納税者だが、こうした下請け企業の活動は法に違反している」。

米軍の侵略以来、イラクとアフガニスタンで、2000人以上の契約者が死亡し、5万1000人が負傷したことがわかっている。契約労働者の犠牲の増大は激しく、「今や、両戦争地域で、米軍兵士の犠牲者に近づいている」とスティルマンは書く。

オバマ大統領は、2009年、こうした契約労働者の処遇を改善するという選挙の公約を遂行すると述べたが、アフガニスタンにおけるTCNの数は50%近く増加して1万7500人に達しようとしており、改善は見られない。実際のところ、こうした契約労働者が雇用されている基地で置かれている嘆かわしい状況から、暴動も広まっている。

スティルマンの記事は、「米軍基地では、これまでは報じられていなかった労働者の暴動が、食料不足や賃金未払いなどを理由に起きている」と書いている。2010年5月1日、バグダード最大の軍事基地でPrime Projects Internationalが運営する労働キャンプ内で、1000人以上の下請け労働者----主としてインド人とネパール人だった----が、拳や石や木のバット、そして米軍警官の一人が言うように「手に入るあらゆるもの」を武器にして、蜂起した。

「労働者たちは、マネージャーたちに小石を投げ始めた。1メートル以上のベニア板がガラス窓を割り、食品庫のドアを破って中に押し入り、持てる限りの食料を持ち出した」。スティルマンはさらに、数週間後、下請け企業Gulf Catering Co.が運営する近くのキャンプで、労働者がそれに続いて放棄し、「石をボスに投げつけ、給料を十分払っていないと会社側を非難した」と述べる。

K.B.R. (ハリバートンの元子会社)が運営する別のキャンプのマネージャー、ジアド・アル・カラウィは、スティルマンに、暴動を誘発した労働条件について語っている。彼の監督下にあるインド人とスリランカ人約1000人は、混み合った床に寝ており、「鼠と蝿に攻撃された・・・・・・寝るためのベッドも、食事のテーブルもなかった・・・・・・通信機器も、テレビも、体を洗う石けんもなく、会社の人間もK.B.Rの人間の訪問もまったくなかった。・・・・・・労働者は抗議行動に出る以外なかった」。

スティルマンによると、 K.B.R.は、「ビジネス倫理と価値観」に基づき、職員と下請け労働者を「威厳と敬意をもって」扱っていると主張しているが、労働条件の調査以後も、「ほとんど何も変化はないようである」。さらに、米軍中央軍司令部の報道官は、司令部は「米軍基地の生活条件を監視する公式な役割は担っていない」ことを認めている。

TCNの多くは、民間のリクルート担当下請け企業に高賃金を約束されて雇われるが、約束された賃金のほんのわずかしか受け取らない。さらに、勤務地についても嘘を言われる。享楽的なデュバイで働くことになると言われて、砲火を浴びるイラクに実際に行かされる労働者もいる。

スティルマンは、「軍事(関係の仕事)の民営化により、外国への下請けチェーンが入り組んだ状態になり、しばしば費用超過と詐欺が起きる。戦時契約委員会は最近、「理解も組織体制も運用も環視も劣悪な下請け契約」をめぐる危険性について警告を出したが、その際、特に、軍が「米国政府の権限に対してまったく責任を追わない可能性のある外国の下請け労働者に大きく依存している」点を指摘している。

問題の始まりは、ペンタゴンが、年間150億ドルに及ぶ主要な兵站契約を、K.B.RやDynCorp International、Flourといった民間軍事企業にアウトソーシングし始めたことに始まる。スティルマンは次のように書いている。「こうした一次ベンダーは、次に、契約の大部分を世界中の何百という下請け企業に流す。その多くは、米国国務省の人身売買に関するコンプライアンスの欠如した国リストに名の挙げられている中東に拠点を置いている。最後に、こうした下請け企業は、第三世界にある何千もの人材エージェンシーに呼びかけて、労働者を雇用するのである」。

こうした雇用エージェンシーは仕事を探す人々が契約する際に少なくとも1000ドル以上払わせて、軍事基地に送り込み、料理人や掃除人、建設労働者、ファーストフードのスタッフ、電気工、美容師などなどとして働かせる。ケニア人は冷凍ステーキと膨張式テントをトラックで運び、ボスニア人は送電網の修理にあたり、インド人はアイス・モカ・ラテを配りといったかたちだとスティルマンは書く。

記事を書くにあたって数百人のTCNにインタビューしたスティルマンは、一つの典型的なストーリーとして、Taco Bellに雇われイラクの主要米軍基地の一つで働く、25歳の青年の話を挙げている。彼は、ネパールの職業紹介企業に4000ドルを支払ってイラクでの仕事を得たが、その際、すぐに4000ドルは稼げると言われた。2009年5月、この男性は、グリーンゾーンの米国大使館裏に置かれた運送用コンテナーで、他の25人の移民労働者と固いマットの上で寝る生活をすることとなった。「多くの移民労働者は、米兵向けの料理人やサービスに従事して稼げるのが1月 275ドルに過ぎないことに気づいた。これは、約束された給与のほんのわずかであり、米国の納税者がこうした労働のために支払った税金のごく一部であった」。

調査型記者であるスティルマンの記事がセンセーショナルに作られていると考えるならば、2006年にペンタゴン自身が、下請け労働者の労働条件について行った調査結果を読むとよい。政府の検査官は、労働者のパスポート没収、「雇用の際の嘘」、「過剰な額の雇用手数料」、「標準以下の労働者の生活条件」といった、虐待の「蔓延」を報告している。つまり、欲でのみ動く全体主義国家が個人を顧みないことが生み出す悲惨な状況のもう1例というわけである。1863年、リンカーン大統領は奴隷制を廃止したが、どうやら、ペンタゴンは、自らの目的を果たすために、奴隷制を再導入したようである。

シャーウッド・ロスはマイアミ在住のPRコンサルタントで、労働問題を中心とした元通信社のコラムニスト。sherwoodross10 アットマーク gmailドットcom。
posted by 益岡 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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