米国はイラク駐留を延長しようとしている
アルジャジーラ原文
2011年2月2日
米国上院が新たに出した報告書は、今年末という撤退期限合意を越えて、大規模な米軍派遣部隊を、戦争で疲弊したイラクに駐留させ続けるべきだとしている。
火曜日(2月1日)に公開された米国上院外交委員会報告によると、米軍がイラクに残る5万人の兵士を撤退させれば米国の外交関係者の安全が保証できないとしている。
米国は、イラクにこれから数カ月のうちに1万7000人の外交職員と警備員の派遣準備を進めている。
そして、米国政府は、こうした米国の使節団を護衛するために、大規模な米軍の駐留を無期限に継続すべきだとしている。
イラクでの米軍駐留延長を可能にするために、外交委員会委員長のジョン・ケリー上院議員は1日、イラクにおける米国人文民と準軍事派遣団への複数年にわたる予算案を準備中であると述べた。
一方、イラク駐留米軍司令官ロイド・オースティン将軍と駐イラク米国大使ジェームズ・F・ジェフリーは議会に対し、数年来主張してきたことだが、この種のものとしては最大の大規模な米国人文民のイラク駐在に対して備えるべきだと述べている。
「我々は現在イラクで決定的な局面を迎えている。積極的に次の段階に取り組んで任務を終え犠牲の上に成果をあげるか、米国の国家安全保障を危険に晒し、アルカイーダをはじめとする危険な地域的勢力に明け渡すか、どちらかだ」とジェフリーは、民主党が多数派を占める上院のパネルで語っている。
一方、オースティンは、イラクに「安全を打ち立てる」ためには、米軍は「2012年まで」駐留を続けなくてはならないと強調した。
新たな計画は、イラク政府と米国政府が結んだ撤退協定、および2011年12月までに米軍兵士全員をイラクから撤退させるという米国大統領バラク・オバマの約束にあからさまに違反している。
専門家たちは、上院の報告書から、米国には近い将来イラクから撤退する意志はまったくないことがわかると述べている。
エグゼクティブ・インテリジェンス・レビューのカール・オスグッドは、プレスTVに対し、「こうした議論の背後にある意図は、何らかのかたちで長期にわたるイラク駐留を続けようという点にあると思う。これは、イラクが本当に主権国家なのかどうかについての疑問を引き起こす」と述べている。
これらすべては、イラク政府がイラクの人々の意向を受けて、12月の撤退期限を越えた米軍駐留は認めないと述べている中で出てきたものである。
圧倒的多数の米国人も、駐留延長には強く反対している。
2003年に米国を中心とした部隊がイラクを侵略して以来、約4440人の米軍兵士が命を落とし、3万1830人以上が負傷した。
この破滅的な戦争によりイラク人市民130万人が殺され、470万人が家を追われることとなった。
投稿者:益岡