2010年12月18日

戦争ログファイル:現在と今後(9)

WikiLeaksが公開したイラク関係文書をめぐって。クリス・スパノスによるマイケル・シュワルツへのインタビュー。第9回。
戦争ログファイル:現在と今後(9)
マイケル・シュワルツ&クリス・スパノス
ZNet原文
2010年11月4日

9. スパノス:これらのリークによって、米国の対外政策の不法性と米国の帝国主義的野望が国内的にも国際的にもいっそう明らかになり、 それによって米国が戦争犯罪を犯すこと、戦争犯罪を犯して平然としていることは難しくなるでしょうか? その場合、どのように? そうならないとすると、どうしてでしょうか?

シュワルツ:米国の外交政策は国際世論でも国内世論でも WikiLeaksのリークがあるよりずっと前から全面的に正当性を失っています。ブッシュ政権時代に十二分に示されていました。世論調査によると世界中での米国に対する(米国の指導者と政策の両方に対して)否定的意見は80%近かったのです。英国やドイツなど、欧州における米国の同盟国においてさえ、 50%を超えていました。米国内で戦争に反対する意見もまた極めて高く、ブッシュ政権が終わりに近づく頃には66%を超えていました。

オバマが大統領に選ばれた直後に見られた親米的意見の増加ははるか以前に消え去りました。とはいえ、オバマの人気はブッシュ二世に対する記録破りの否定的意見よりははるかにましですが。オバマに対する否定的評価は、アフガニスタンとパキスタンに対する侵略を続けていることを反映しています。つまり、米国の外交政策に人々は反対しているということです。

関連する問題として、この否定的な世論が、不人気な政策を背後で支える米国の帝国主義的意図を理解したことによるのかどうかという点があります。これについては、場所によって様々だと思います。例えば中東では、米国の侵略は中東地域を政治的・経済的に支配しようとする意図、そして石油を搾取しようという意図の表れと人々が見なしていることははっきりしています。世界の別のところでは、米国が自らの意思を様々な国や地域に押し付けようとしていると感じていると思いますが、必ずしもそれを長期的な帝国主義的企図とは見ていないかもしれません。一方、米国内では、戦争への反対は、オバマの政策は体系的なものではなく方向を誤っているとの理解に基づいていると思います。

こうしたことから、WikiLeaksの文書が、十分に広まったとして、世界(そしてとりわけ米国内)の世論が、背後にある帝国主義的意図をよりよく理解するようになるかという点は問うに値します。米国が様々な戦争を仕掛け、とりわけ(文書の内容を検討するなら)イラクに戦争を仕掛けたのは、この帝国主義的意図に基づく政策からなのですから。

この関係で、WikiLeaksの文書とペンタゴンペーパーズとで対照的な点は指摘しておくべきでしょう。ペンタゴンペーパーズには政策形成過程そのものの情報を含んでおり、政策立案を担当する立場の文民政府高官と軍高官の意見と行動に注意が向いていました。そのため、ペンタゴンペーパーズの明確な内容はベトナム戦争の目的と戦略に関するものでした。これに対してWikiLeaksの文書は戦場の報告で、現地の兵士たちにより作られたもので、自分たちが演じている背後の政策全体についてはほとんど知識なしに(さらには関心さえなく)作られたものです。その意味で、WikiLeaksの文書は兵士たちが従っている軍事戦略を導いた立案プロセスについて直接語っているわけでも、米国の対外政策を支える帝国主義的意図について書いてあるわけでもありません。

そうはいっても、WikiLeaksの文書の中には、こうした戦場の報告を書いた兵士たちが述べている行為の背後にある政策をめぐって世界と米国の世論にとってさらに有益な多くの証拠が含まれています。例えば、民間人犠牲者を出した米軍の攻撃に関する多くの報告書を読めば、民間人の死が事故ではなく、交戦規定の結果であることがわかります。交戦規定では(とりわけ)、ゲリラと疑った標的を殺すためには、民間人の死という「副次的被害」を伴ってもよいので、群衆に向かって発砲するよう指示しています。こうした政策は、「アルカーイダの支配からイラクの人々を救い出す」という米国政府の主張とは矛盾しますが、帝国主義国による「奴らを殴り倒して服従させよ」という政策とは完全に合致しているのです。

問題は、こうした教訓を帰納的に引き出す必要があるという点です。こうした帰納的結論は、真剣な調査型報道や研究者の著作に見られ、また、文書を手に入れ分析を始めた反戦活動家や研究者はすでに展開しているものです。

本当に重要な点は、こうした注意深くかつ鮮やかな分析がより広い範囲の人々に伝わって人々が学習できるかどうかです。ここでもまた、米国の目でリアが文書を分析しようとしないため、米国の人々は今ひとたび学習する機会を失ってしまいそうです。反戦活動(と代替的なメディア)を通しての学習という代替的な方法も、今のところ反戦活動が活発でないため制限されているようです。

状況は、米国以外でのほうが有望です。米国と最も近い同盟国である英国においてさえ、少なくともガーディアン紙が文書を分析して有益な結論を導いています(例えば、ガーディアン紙は、イランの大規模な軍事介入という主張には証拠がないことを報じており、米国政府の主張そしてニューヨークタイムズによるWikiLeaks 文書の貧弱な報道が与えた誤った印象に反論しています)。最近、英国の政治指導者たちが米国の戦争犯罪について公式の調査を行うよう求めましたが、このためには、こうした分析的な報道が重要な役割を果たしたと思います。

そんなわけで、海外のメディアによる注意深い報道と公式の政府調査(さらには訴追)をきっかけに、米国外交政策の性質と目的について人々が本当に学習することができるのではないかとある程度は期待できます。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 01:50| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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