2010年11月02日

イラク戦争ログ

Wikileaksが公開したイラク侵略関係資料について、「倫理的心理学連合」の創設者スティーブン・ソルズの記事。
イラク戦争ログ
スティーブン・ソルズ
CounterPunch原文
2010年10月26日

金曜日(10月22日)にWikileaksがイラク戦争の文書をリリースしたことは大きな注目を集めた。調査報道ジャーナリスト協会(米国のプロパブリカの英国版のようなものらしい)、アルジャジーラ、ガーディアンなど、英語でも優れた報道がなされている。ニューヨーク・タイムズも報道しており、有益な部分もあるが、タイムズお馴染みのパターンで、記事は米軍の公式見解にあまりに寄りすぎたものとなっている。

強い注目が集まったのは、イラク政府軍兵士と警察が行った1000件以上の拷問そして捕虜虐待に関する報告であり、これらは米軍兵士が目撃していたり、米軍に報告されたりしたものだった。米軍の兵士たちは、イラク政府軍や警察の拷問を調査したり阻止するのではなく、見ないふりをするよう命じられた。米軍は、イラク軍による拷問を無視するだけでなく、拷問を行うとわかっているあるいはそれが見込まれると知りながら、イラク軍部隊に捕虜を引き渡していた。拷問に関する国連特別報告者は米国にこれらの拷問に関する報告を調査するよう求めた。英国副首相ニック・クレッグも調査を要求している。

クレッグは次のように述べた:

「情報がリークされたことを嘆くことはできるが、そこで主張されていることは極めて重大だと思う。読むのは苦しいし、極めて重大だ。米国政府は自ら回答したいのではないかと思う。どうやればよいか我々が米国政府に告げる立場にはない」。

英軍の役割について調査が必要かどうか聞かれたクレッグは次のように答えている:

「基本的な戦争や紛争の法規、交戦規程が破られたこと、あるいはどのような状況であれ拷問が容認されたことを示すものはすべて極めて重大で、調査を要するものだと思う。

非常に、非常に重大な主張で、誰もが極めてショッキングだと思うようなものに対する答えを人々は聞きたがっている」。

戦争ログファイルにはまた、文民に対する残酷な攻撃が繰り返されたこと、降伏しようとしているゲリラを殺すといったジュネーブ条約違反の行為など、戦争犯罪を構成しうる行為が記録されている。

CBSニュースは資料を別のかたちで使っている。一週間の間にファムズフェルド国防長官と将軍たちが行った発言を、同じ週の現地報告と較べたのである。まったく驚くべきことに、高官たちが繰り返し繰り返し嘘をついていたことが示された。

ログファイルで報告された文民の死については色々言われてきた。ニューヨークタイムズはいつもながら、報告されている死の多くはイラク人がイラク人を攻撃したことによるものだという点を強調した。そうかもしれないが、ログファイルはそれに加えて、米軍兵士の手によって多くの文民が殺されたことが報告されなかったり、「ゲリラ」の死と偽って報告されたことを示す証拠も提示している。このため、例えば2004年10月のサマラにおける戦闘について、AP通信の記者は殺された中には女性23人と子ども18人が含まれていたと報じ、イラクボディカウント(IBC)は戦闘で48人の文民が死亡したとしているのに対し、ログには文民の死はあがっていない。さらに、2004年4月の残忍なファルージャ攻撃では、独立ジャーナリストたちが数百人の文民が殺されたと報じ、 IBCは600人の文民が殺されたと推定しているにもかかわらず、ログでは一人の文民の死も報告されていない。

二つの説明が可能である。ログが、文民の死を矮小化する意図的な政策の影響を受けていること。もう一つは、米軍兵士が実際に戦闘員と文民の区別を付けられなかったことである。いずれにしても、ぞっとする状況である【訳注:『ファルージャ2004年4月』に紹介されているように、現地に入った西側のジャーナリストやNGOメンバーが、米軍が救急車に向かって撃ったこと、白旗を掲げた老人を射殺したことなどを目撃し報じています。ここから、米軍が文民も無差別に殺す方針だったことが伺えます】。

ログファイルは驚くべき資料である。米軍兵士が実際に体験した戦争と政府高官が言っている戦争、イラクの人々が体験した戦争、独立オブザーバが目にした戦争、を体系的に比べることを可能にしている。これらを比較することで、イラク戦争についてだけでなく、占領下で進められる現代の対ゲリラ戦争の性格についても理解する一助となる。これらのログは、米国市民と世界の市民が現代戦の野蛮さを理解し、戦争に終止符を打つ助けになるかもしれない。

スティーブン・ソルズは精神分析医、心理学者、公衆衛生の研究者で、ボストン大学精神分析学大学院の教員。Psyche, Science and Societyブログを編集している。虐待的尋問に協力するという米国心理学会の方針を変えるために働きかけている組織の一つである「倫理的心理学連合」の創設者で、複数のグアンタナモ裁判で心理コンサルタントとして活動している。「社会的責任を求める心理学者」[PsySR]の会長で、「人権のための医師団」のコンサルタントを務めている。

【よくわかりませんが、米軍兵士たちが直接多数の拷問を加えていたのだから、イラク軍兵士や警察が行った拷問を止めなかったといったことが焦点になるのは不思議な気がします。そもそもそれについての文書がリークされたものの中に多かったのでしょうか。】

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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