2010年09月08日

傭兵の軍隊:オバマは2011年以後の米軍イラク駐留を矮小化して見せようとしている

米国の対イラク政策をめぐる分析。
傭兵の軍隊:オバマは2011年以後の米軍イラク駐留を矮小化して見せようとしている
ガレス・ポーター
CounterPunch原文
2010年8月23日

バラク・オバマ政権が先週、国務省管轄下で即席の傭兵軍を作り上げて2011年末までにすべての米軍戦闘部隊にとってかえるという計画を明らかにしたとき、米軍司令部に関係する批判者たちはその移行計画を攻撃し、米国はイラクに戦闘部隊を無期限に駐留し続けべきでありそうすることができるべきであることを前提にする必要があると主張した。

しかしながら、米国のイラク長期駐留問題をめぐるオバマ政権と野党の対立は実質的なものではなくむしろ見掛け上のものにすぎない。

様々な情報から、オバマ政権は、イラクで新政府が成立し次第、イラク政府と安保協定を再交渉して 2011年以降も最大1万人の戦闘部隊駐留を可能にしようとしていることが伺える。

しかしながら、すでにオバマのアフガニスタン政策に愛想を尽かしている民主党の反戦有権者からのバックラッシュを恐れるオバマは、その可能性をごまかそうとしている。反対に、ホワイトハウスは、イラクにおける米国の軍事的役割は終わりを告げることになるとして、反戦有権者を安心させようとしている。

先週、イラクへの長期的駐留を望む政府高官が匿名でニューヨークタイムズ紙のマイケル・ゴードン特派員に対し、2011年以降のイラクに対する米軍戦闘部隊駐留計画に政府が明示的に言及しないのは、来るべき議会選挙を考慮し、また、イラクの新政権設立交渉が続いているため慎重になっているためであるとほのめかした。

月曜日(8月 23日?)に行われる予定で準備された講演の中でジョー・バイデン副大統領は、イラク治安部隊が「完全に失敗」すれば、米国は戦闘を再開することになるだろうと述べた。

オバマは8月2日の演説の中で、「過渡的兵力」と呼ぶものに言及し、「来年末までにイラクから全兵士を撤退させるまで」その兵力は駐留すると公約した。

彼はまた、イラクにおける米軍の「戦闘ミッション」は8月31日で終わると宣言した。けれども、ある政府高官はIPS通信に対し、戦闘は続くし、それは米国の要員に対する攻撃への自衛に限るものではないと語っている。

7月19日、省庁間会議の中で、政府は治安の管轄を軍から文民へと移す決定を下した。政府はまた、8月16日の国務省ニュースブリーフィング及び翌日のブリーフィングで、計画の大まかな概要を紹介したが、重要な点の詳細については確定していなかった。

中東問題担当国防副次官補コリン・カールと近東問題担当国務副次官補マイケル・コービンが、イラクにおける「軍から文民への移行」と呼ぶものに関する政府の計画を提示した。

この計画では、イラクにおける米軍の公式駐留を、国務省が統括するはるかに小規模な私企業傭兵部隊に置き換えるものであった。報道によると、その部隊は数千人規模で、ヘリコプター29台、IED防御装甲兵員輸送車60 台、装甲車1320を予定しているとのことである。

8月21日付けニューヨーク・タイムズ紙によると、傭兵部隊はまた、空襲を行ったりや偵察用無人機の飛行を行えるよう、レーダーを運用することになるという。

カールは、この移行はイラクの治安状況から正当化されると主張した。彼によると、アルカーイダは「かつてないほど弱体であり」、ムクタダ・アル=サドルのマフディ軍は「ほとんど解体しており」、政権に対する戦略的脅威は存在しない。

予想された通り、この発言に対して、イラクにおける米軍の今後に自分たちのキャリアがかかっている人々----イラクの運命に対して米国が巨大な発言権を有していると考え続ける人々----から批判の声があがった。

ブルッキングズ研究所のケネス・ポラック----デービッド・ペトレイアス将軍そしてその後を継いだレイ・オディエルノ将軍の招きで何度もイラクを訪問している----は、イラクにおける米軍の役割を国務省に引き継がせるという考えと、イラクの治安状況に対するカールの評価を楽観的に過ぎるものとして却下している。

政府高官の中には「まるで我々の5ヤードの線上にいるかのような」話をする。ポラックはクリスチャン・サイエンス・モニター紙にこう語る。「実際はむしろ40ヤード、おそらく我々の40なのだ」。

ポラックは、米国はイラクに巨大な影響力を持っており、それを使ってイラクの指導者にさまざまなことをするよう「説得」しなくてはならないと論ずる。2011年に米軍の駐留が終わるならば、米国の影響力も打撃を受けるだろうと彼は言う。

外交問題評議会のスティーブン・ビドルとブルッキングス研究所のマイケル・オハンロンも、この議論の変奏版を口に出している。二人とも、イラクの米軍司令部に繰り返し招かれ、イラク政策に関しては概ね軍の見解を遵守している人物である。

外交局を退任する前の2007年から2009年にペトレイアスとともにメディアのスポットライトを浴びまた議会で賞賛された元駐イラク大使ライアン・クロッカーは、イラクの将軍たちが政治に口を出さないようにするために、十分な米軍がイラクに駐留する必要があると語る。

しかしながら、この問題をめぐる米国政府の真の立場は、批判者たちの立場をそれほど変わるものではない。8月17日のブリーフィングで出た質問への答えとしてカールは、「我々はイラクを放棄しない。長期的に関与する」と述べているのである。

カールは続けて、「イラクは数万人規模の[米軍]部隊を必要としないだろう」との意見を述べた。この発言は、8月18日ニューヨーク・タイムズ紙が引用した政府高官の言葉で軍は5000人から1万人を求めているという数字と合致している。

別のときにカールは「イラク政府がどうするか見る必要がある」と述べ、さらに「イラクの政治アクターの圧倒的多数は米国との長期的連携を望んでいる」と付け加えた。

先月、元国家安全保障会議委員のブレット・H・マガークがニューヨーク・タイムズ紙に語ったように、米軍政府高官や外交官そして彼らと接触しているイラク政府高官の中では、イラク新政権結成の合意がなされたら直ちに長期的な米軍の駐留をめぐって交渉が始まることが前提とされている。

2月22日のペンタゴン記者会見でイラクの米軍総司令官オディエルノ将軍は、イラク政府がM1エイブラムスとヘリをはじめとする「大量の軍需品を米国から」購入することに言及した。

オディエルノは、そのため、イラク人に「訓練と助言を施す」ための「小派遣部隊」が必要になることと思われると語った。この計画は、暗黙裡に、「顧問支援」部隊という名目で米軍戦闘部隊駐留を続けることを見込むものである。

しかしながら、どうやら政府はオディエルノをはじめとする政府関係者に対し、2011年末までに米軍を撤退させるという政府の公式姿勢と矛盾することのないようはっきり伝えたようである。

オバマ政権の移行計画を採用した省庁間会議の際の7月21日、朝食会議の中でオディエルノは記者団に対し、2011年末までに駐留米軍数はゼロになる見込みであると語った。

一方、イラクのヌーリ・アル=マリキ政府は、米軍駐留延長を検討する可能性があることを公には認めていない。アル=マリキの報道官は8月12日、米軍のイラク駐留に対する代替案として、近隣諸国と「不侵略・不干渉協定」を結ぶといったことがありうると述べている。

ガレス・ポーターはインタープレスサービスに勤める調査型歴史家でジャーナリスト。米国安全保障政策を専門とする。新著『Perils of Dominance: Inbalance of Power and the Road to War in Vietnam』ペーパーバック版が2006年に出ている。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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