2010年09月04日

過ぎ去らないこと。米国政府とメディアが忘れさせないこと(イラク)

米軍戦闘部隊のイラク撤退。「英雄」たちの帰国について、『アメリカの国家犯罪全書』(作品社)の著者で米国国務省への勤務経験を持つウィリアム・ブルムの記事。
過ぎ去らないこと。米国政府とメディアが忘れさせないこと
ウィリアム・ブルム
ZNet原文
2010年9月2日木曜日

イラク

「兵士たちは英雄としてイラクから撤退している。心に誇りを抱いて帰国してほしい」。イラクの米軍旅団長ジョン・ノリス大佐の言葉である [1]。

アメリカ人に涙させるに十分、感動で胸を詰まらせるに十分な出来事。

そして忘れさせるにも十分な演出。

けれども、イラクの人々が、イラクの社会が、破壊され、破滅させられ、破綻国家に追いやられたことを忘れることが許されるアメリカ人は一人もいない。アメリカ人は、1991年以来、次から次へと口実を使いながらイラクを12年間にわたって爆撃し、それから侵略し、占領し、政府を転覆し、無差別に人々を殺し、拷問を加えた・・・・・・イラクという不幸な土地に暮らす人々はすべてを失った----家も、学校も、電力も、飲水も、環境も、近所付合いも、モスクも、遺品も、仕事も、職業も、専門家も、国営企業も、心身の健康も、宗教的寛容も、安全も、治安も、子供たちも、親も、過去も、現在も、未来も、生活も。・・・・・・人口の半分以上が殺されたか、負傷したか、トラウマを受けたか、投獄されたか、国内避難民となったか、海外に亡命した・・・・・・。空も土も水も血も遺伝子も劣化ウランに汚染され、ひどい先天性欠損症に悩まされる。・・・・・・散乱した不発クラスター弾が子供たちを待ち受け・・・・・・若いイスラム教との青年たちがアメリカ人侵略者と戦うためにイラクに赴く。戦いでより過激に硬化した彼らは中東欧州、中央アジアに広がり・・・・・・ユーフラテス河とチグリス河とともに血の流れができ・・・・・・再びまとまることがないかもしれない国を流れる。

2007年5月のワシントン・ポスト紙は、「戦争で疲弊したイラクの人々の間では、2003年に米軍が侵略する前のほうが状況はよかったと誰もが口々に語る」と報じている。

どうでもいい。・・・・・・どうか景気良く太鼓の連打を。アメリカGIの英雄たちよ、勇ましく誇り高くあれ。謝罪することなど決して考えないよう。米国はイラクに対し、1990年のクウェート侵略の賠償を払うよう強いている。アメリカの英雄たちはイラクの人々にどれだけの賠償を支払うべきだろう?

「英雄のいない国は不幸だが・・・・・・

英雄を必要とする国はいっそう不幸だ。」

----ベルトルト・ブレヒト『ガリレオ・ガリレイの生涯』

「道徳的に戦争に匹敵するものを社会の領域に求めなくてはならない。戦争と同様に普遍的に人々に訴えることができる英雄的なもの、同時に、人々の精神と両立するもの。戦争は人々の精神とは両立しないのだから」。

----ウィリアム・ジェームズ『宗教体験』

もしかすると新しいヒロイズムの基盤はすでに存在しているのかもしれない・・・・・・。2003 年2月15日、米国がイラクを侵略する1カ月前、おそらく人類史上最大の抗議行動が行われた。世界約60カ国の800都市で、600万人から1000万人の人々が路上に出たのである。

イラク。愛さないものは去れ。

注:

1. Washington Post, August 19, 2010.

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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