2010年08月03日

ファルージャ包囲攻撃が残した毒の遺産

ネット上ではすでにいくつかの記事があります。ファルージャの先天性欠損症や癌についての新たな調査結果に関するまとめ。
ファルージャ包囲攻撃が残した毒の遺産:広島よりもひどいのだろうか?
パトリック・コックバーン
CounterPunch原文
2010年7月27日

2004年に米軍海兵隊による爆撃を受けたイラクの都市ファルージャで乳児死亡率と癌、白血病が劇的に増加している。新たな研究によると、これは、1945年に広島と長崎に原子爆弾が落とされたあとの生存者について報じられた状況を上回るという。

ファルージャで医療を行なうイラク人医師たちは2005年以来、重大な先天性欠損症----頭を二つ持つ少女から下肢の機能停滞まで----をもって生まれた新生児の数に圧倒されていると語ってきた。また、ファルージャで米軍兵士とレジスタンスが戦う前と比べてはるかに多くの癌を目にしているとも述べている。

最近の調査では、癌全般は4倍増加、14歳未満の小児癌は12倍増加していることがわかり、医師たちのこうした主張は裏付けられることとなった。ファルージャの乳児死亡率は隣国ヨルダンより4倍以上高く、クウェートと比べると8倍である。

アルスター大学客員教授でファルージャの4800人を対象にした調査の著者の一人であるクリス/バスビー博士は、癌と先天性欠損症の正確な原因を突き止めることは難しいと語る。彼は続けて、「こうした結果が出てくることから、2004年、ファルージャ攻撃がなされたときに何らか大規模な突然変異誘発性のものに人々が晒されたに違いないと思われる」と言う。

バグダードの西30マイルにあるファルージャを米軍海兵隊が最初に包囲爆撃したのは2004年4月、米国の傭兵企業ブラックウォーターの要員4人が殺され遺体が焼かれたあとだった。8カ月にわたり距離をおいたのち、海兵隊は11月に再びファルージャを襲撃し、レジスタンスに対して陸空から爆撃を加えた。米軍はのちに、白リン弾をはじめとする様々な兵器弾薬を用いたことを認めた。

攻撃の際、米軍司令官は、米軍の犠牲者を減らすために、ファルージャを基本的に無差別砲撃地帯とみなした。英軍士官たちは、米軍が民間人犠牲者に注意を払わないことに唖然としている。バグダードの米軍付きの英軍司令官ナイジェル・アイルウィン=フォスター陸軍准将は、当時を回想して、「2004年11月のファルージャ一掃作戦の事前工作として、ある夜、一晩で、ファルージャの小さな地区に米軍は155ミリ砲を40ラウンド以上も撃ち込んだ」と話す。

彼は続けて、この破壊的な砲撃を命じた米軍司令官は、米軍司令官に対する日報で言及する必要があるほど重大なことだと考えていなかったと言う。バスビー博士は、海兵隊がどんな武器を用いたか特定することはできないが、住民が被っている遺伝子損傷の深刻さから、何らかのウラニウムが使われたのではないかと思われると言う。「壁を突き破って中の人を殺すような武器を建物を標的に使ったのではないかと推測されます」。

調査は今年の1月と2月、11人の研究者からなるグループにより行なわれた。グループはファルージャで711件の家を訪ねた。質問紙を配り、世帯主に癌、出産結果、乳児死亡率を記入してもらった。これまでのところ、イラク政府は、軍事作戦により健康被害を受けたという民間人からの申し立てに対応しようとしてこなかった。

当初、地元住民は調査にあたった研究者たちに猜疑心を抱いていた。バグダードのテレビ局が、この調査を行なっているのはテロリストで、調査を行なったり質問に答えた者は全員逮捕されることになると報じたのでなおさらであった。調査グループはそこで、コミュニティの重鎮に付き添ってもらうよう手配し、疑念を軽減することに成功した。

「Cancer, Infant Mortality and Birth Sex-Ratio in Fallujah, Iraq 2005-2009」と題するこの研究はバスビー博士、マラク・ハムダン、エンテサル・アリアビによるもので、癌と先天性欠損症の急増を示す事例証拠は正しいと結論付けている。乳児死亡率は、エジプトで1000人あたり19人、ヨルダンで17人、クウェートで9.7人であるのに対し、ファルージャでは80 人である。報告書によると、癌のタイプは「広島の生存者で原爆の放射線とフォールアウト中のウラニウムに晒された人々のものと似ている」という。

調査団は、大人の間で白血病が38倍、女性の乳がんが10倍、リンパ腫と脳腫瘍のかなりの増加が見られるとしている。広島の原爆を生き延びた人々の中では白血病が17倍に増えたが、ファルージャで驚くべき事態は癌が広島での増加よりも大きいことだけではなく、発病のスピードにもあるとバスビー博士は言う。

特に重要な点の一つは、新生児の男女比率が変化したことである。通常は、女児1000人に対して男児1050人だが、2005年以来生まれた子どもでは男児の出生が18パーセント減少し、女児1000人に対して男児850人になったという。男女比は女児よりも男児に影響を与える遺伝子損傷の指標である。広島に原爆が落とされたあとも、同様の男女比変化が見られた。

民間人の怒りを受けて、米国は2007年以来、イラクでの兵器使用を減らした。しかしながら、2003年以来、それと平行してイラクでは医療と衛生状況が悪化している。ファルージャでは、2004年以後も長い間包囲封鎖されイラクの他の地域から社団されていたため、戦争が民間人に与える影響はイラクの他の地域と比べてもとりわけひどい。戦争の被害が修復される速度は遅々としており、バグダードに向かう道には軍の検問があるため、ファルージャの人々はバグダードの病院に行くことを恐れている。

パトリック・コックバーンは「Muqtada: Muqtada Al-Sadr, the Shia Revival, and the Struggle for Iraq」の著者。

訳注:「Cancer, Infant Mortality and Birth Sex-Ratio in Fallujah, Iraq 2005-2009」の全文が入手できます。BBCの映像「ファルージャの子供達が被る『遺伝子損傷』」は日本語の字幕がついたものが公開されています。
posted by 益岡 at 19:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ファルージャの状況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
恐らく酷いのでは?
理由は、広島の原爆では即死が多かった事と、一瞬の原爆一閃はバンカーバスターよりも放射性残留物が少なかった事から。
当然ながら死者が癌に悩まされる事は無いし、バンカーバスターは一発では到底済まなかった。
又、日本の原爆訴訟弾が逆に、内部被爆と言う概念に対してイラク戦争以降に「逆輸入」し、自公政権末期に僅かながら原爆被害認定条件の拡大を勝ち取った。
広島より酷いと言って、差支えがあるとは思えません。
Posted by 田仁 at 2010年08月05日 17:33
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