2009年11月16日

「私の子は目が見えない。食べることも話すこともできない。私は嘆く」

ファルージャで生まれた子どもたちについての記事2つめです。
「私の子は目が見えない。食べることも話すこともできない。私は嘆く」
マーティン・チューロフ
ガーディアン紙原文

「私の子は目が見えない。食べることも話すこともできない。私は嘆く」----ファルージャで激増する先天性欠損症に嘆く家族

イラク戦争の中で最も激しい戦闘が行われ、最も大量に兵器弾薬が使われた都市で子ともたちの異常が急増していると医師と親たちは話す。

ザイナブ・アブドゥル・ラティフは三人の子どもの間を疲れたように動き回り、子どもたちの額を拭き、手を回して車椅子の子どもを支えていた。「毎日、子どもたちには必死の看護が必要です」。29歳になるファルージャの母ザイナブはこう話す。二人の息子、5歳のアマルと3歳のムスタファ、そして6歳の娘マリアムは、全員、手足が使えない。話すのは「ママ、ババ」の二語だけで、全員おむつをしている。

ザイナブの生活は、戦闘後のファルージャが示す多様な顔の一つである。どうしても変えようがない負担に圧倒されている母親。「子どもたちは一人で食べることも飲むこともできません。毎日わたしはマリアムを病院に連れて行きます。娘はとても風邪をひきやすく、しょっちゅう下痢をはじめとする病気にかかっています。医師によると、子どもたちには知的障害があり、神経が麻痺しているのです。先天的なものだと言います。子どもたちの世話をこんな風に続けることはできません。助けが必要です」。

頼ることのできるわずかな一人がバッセム・アラー博士で、ファルージャの新生児を守る立場の中心にいる上級産科医である。彼が医学生だったころは、先天性欠損症の新生児の事例を研究するためにイラク中を探さなくてはならなかったという。「80年代には先天性欠損症はほとんどありえませんでした」と彼は言う。「今や、私の診療所でも病院でも、毎日、先天性異常や慢性腫瘍のケースが多数あります」。

ここで彼は言葉を止めた。言葉の重みに思考が中断されたかのようだった。それから次のように付け加えた。「今では、本当に、まるで広島に原爆が投下されたあとに、患者を扱っているかのようです」。

ファルージャのあらゆるところで、新生児病棟と身体障害者センターは5歳未満の乳幼児に見られる慢性形態異常の激増に直面しており、スペースも支援スタッフも急速に足りなくなりつつある。先天性欠損症が急増していることを示す事例証拠はこの2年の間に現れていたが、さらに正確なデータから、極めて憂慮すべき状況にあることが明らかになった。

ガーディアン紙は、ファルージャ総合病院の専門医サミラ・アブドゥル・ガーニ博士に、彼女が監督している新生児全員のデータを10月11日から3週間にわたって取るよう依頼した。彼女は重大な形態異常を37例報告したが、その多くは神経管欠損[脳と脊柱の先天性欠損症で、脊椎披裂と無脳症も含まれる]で、心臓障害も伴っていた。病院スタッフはまた、幼児の腫瘍数が激増していることも記録してきたが、腫瘍が現れるのは通常、生まれてから数カ月ないし数年なので、医師たちは調査結果を数値化したがらない傾向にある。

「2歳未満の小児科学的ケースに属する脳腫瘍の数が顕著に増えています」と病院の医師アイマン・カイス博士は言う。「多発性腫瘍の焦点領域となっています。中枢神経系の異常がかなり激しく増えています。とりわけ、神経管欠損です」。

2003年より前、彼は新生児の形態異常を散発的に見かけるだけだった。現在、見かける頻度は激増している。ほとんどは頭部と脊髄だが、下肢も多い。

ファルージャ総合病院では、新生児のケアにあたる医師たちは、誰も説明できないような現象に直面している。

2003年来、イラクで最も残忍で長引いた二つの戦闘がファルージャでなされた。多くの医学者たちが、2004年に最大二カ月にわたってファルージャの街に降り注いだ精密弾が残した潜在的に毒性の残留物の長期的な影響ではないかと思っているが、これまでのところ戦争が原因だと明言する医療関係者はあまりいない。

医師たちは、先天性欠損症を引き起こす可能性のある複数の要因をあげている:栄養不良、両親の心理的状態、薬物使用、化学物質、放射性物質などである。最もよく見られる欠損に対して予備的な処置をするためだけでも、命にかかわる手術が必要となる----多くの親にとって高すぎる代償である。

ファルージャの新総合病院でもファルージャ市内各地の身体障害者センターでも、証拠はあからさまになっている。11月2日だけで、新生児病棟で神経管欠損のケースが2件あった。同じ日、集中治療病棟と外来診療所でさらに数件があった。

「わかっているよりはるかに多くの両親が、長期入院を拒んでおり、現在まで、そうした両親の子供たちが欠損を持って生まれたかどうかについて記録を取っていません」とカイスは語る。「診断のあと、両親にシャント術が必要になると言います。それによって頭部が慢性的に肥大し頭蓋骨や脳の手術の必要性が出るので、両親のほとんどはそれをしたがりません」。

ファルージャの産科医は、先天性欠損症の診断が大幅に増えているのは、ファルージャの保険医療が改善されたことから説明できるものではないと言う。「戦争の前も、そうした患者の診断はしてきました」とカイスは言う。「ここで登録され治療のためにバグダードに送っていましたが、新生児の健康状況については把握していました」。

ファルージャのストーリーは病棟の臨床的冷静さから離れたところでも展開されている。ファルージャ各地の家々で、怪我で衰弱へ向かう子どもたちが必要とするケアは、家族が、社会福祉も利用できず、家庭の中以外ではほとんど支援なしに、行っている。

ザイナブの家から程遠くないところで、ウム・オマールは三カ月前に死んだ三歳の娘ファティマを悼んでいた。彼女は、首から突き出したもう一つの「頭部」を持って生まれ、双頭の娘として知られていた。

ファティマの治療にあたったアラーは、イラクで彼女の命を救う可能性はなかったと語る。「第二の『頭』は実は腫瘍で、一部は脳水腫が、一部は脳が占めていました。彼女を救うためには非常に特殊な器具が必要だったのですが、ここにはありません」。

ファティマの母は今もファティマの死を嘆いている。「娘はあらゆる困難に直面していましたが、でも娘の死は悲しいのです」と彼女は言う。「娘は目が見えず、食べることもできず、食道もなく、歩くことも話すこともできませんでした。末の子どもでした。他の子は全員、戦争前に生まれたのです」。

4人の子どもは全員、「ファルージャ障害者協会」に登録されている。ここは粗末な施設で、資金もほとんどなく、ますます増える障害者の家族に対して精神的サポートを与える以外ほとんどできることはない。

代表のフサイン・マトルードは、登録簿には300人の子どもがいると話す。さらに数千人の子どもたちが地域におり、両親や世話をする人たちは支援を拒否している。障害者センターで治療を受けている先天性欠損症の患者の中には、明らかに戦争より前に生まれた子どももいるが、登録されている子どもの大多数は6歳かそれ未満である。

「そうした子どもたちのほとんどは脳に損傷を負っており、ほとんど全員が8歳未満です」と彼は言う。「戦争前にはほとんどいませんでした。治療の支援を申し出ているアメリカ、インド、イギリスのNGOとはいつも連絡を取っていますが、現在、私たちにできるのは、名前と病状を記録することだけです」。

ムハンマドとラナ・マジッドには、4年前に生まれた娘がいる。娘は発達障害と診断され、それは妊娠しているときに始まったという。両親は米軍に苦情を申し立て、保証請求書を受け取った。記入して出したが、何の連絡もない。

米軍に苦情を申し立てた家族は他にもいくつかあるが、科学的な証拠がないため、苦情が認められる可能性は少ない。アラーは、ファルージャに何が起きたのか説明するためにそろそろ科学も役割を果たすべきだと考えている。

「私たちが目にしている形態異常の数は恐ろしいほど多く、誰も理由をはっきりと突き止めてはいません」とアラーは言う。「理由を明かにする科学がまだないのです。ここに来て、土壌サンプルを取ったり試験をする科学者はいません。イラク政府は、アメリカ政府が禁止されている兵器をファルージャで使ったことが明らかになることを望んでいないのだと思います。これだけ多くの先天性欠損症の原因が戦争にあることが科学的に証明されるならば、政府関係者たちにとっても問題となるでしょうから」。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 21:24| Comment(0) | TrackBack(1) | ファルージャの状況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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