イラク:大虐殺と汚職
サミ・ラマダニ
ZNet原文
2009年10月30日
米国の「撤退作戦」が明らかになる中、イラクの人々の苦しみは西洋で無視されている
痛ましいことに、イラクがメディアの見出しを飾るのは、大規模な爆発が起きて数百人が殺されたり怪我をするときだけである。昨日、バグダードで起きた虐殺は、この2カ月で二度めのもので、米国主導のイラク侵略と占領に対する代償をイラクの人々が血で払っていることを思い起こさせる、また一つの恐ろしい出来事だった。
避け難いことかも知れないが、メディアの見出しをイラクに代わってアフタニスタンが飾るようになった経緯について、道徳的に疑問が残る。イラクのニュースに代わって徐々にアフガニスタンのニュースが増えたのは、イラクで米軍の犠牲者数が減る一方、アフガニスタンでは米英軍の犠牲者が増え始めたときである。これにより、イラクの状況は如実に改善され、あらゆる点でイラクは全身しているという印象がかたちづくられた。6月、派手なお祭り騒ぎの中で、米軍部隊はイラクの諸都市から、イラク内各地の米軍基地に「撤退」した。
米軍にとって状況が改善したことは確かだろう。一方、英軍兵士はイラクの戦火の中からアフガニスタン戦争の火の手の中へと空輸された。「ゲリラ」との戦いにますます多くのイラク人兵士を投入することで米軍自身の犠牲者数を減らそうという米軍の対イラク戦略はこれまでのところ成功している----ちなみに、ここで言う「ゲリラ」は、イラクの中では「名誉ある愛国主義レジスタンス」と呼ばれ、嫌われ者のアルカーイダ・テロ攻撃と区別されている。
ところで、支配層に属していないイラクの人々に、米軍がイラクを占領してからイラクの状況が良くなったと言ってみるとよい。イラクの人々はあなたに、数えきれないほどの人々があるいは死に、あるいは負傷しただけでなく、100万人を越える孤児や寡婦が生まれ、200万人が国外に避難し、200万人が国内避難民となりそのほとんどが恐ろしく劣悪な状況で暮らすことを強いられていると指摘してくれるだろう。
彼らはまた、多くの都市で下水が路上に溢れていること、飲み水も燃料も電気もないこと、保健医療と教育サービスは悪化の一途をたどっていることを教えてくれるだろう。また、失業率は5割を越え、子どもたちは誘拐され、女性は自由に移動できず、薬物乱用と売春が急増していることを教えてくれるだろう。イラク当局の監獄でも米軍が運営する監獄でも何万人という拘留者に対して加えられている恐ろしい拷問方法について教えてくれるだろう。また、ブッシュ大統領に靴を投げつけたムンタダル・アル=ザイディのように「世界的に有名な愛国者」でさえヌーリ・アル=マリキ首相の警備隊から拷問を受けるのだから、一般の人々はどのような扱いを受けるか、教えてくれるだろう。
イラクの人々はさらに、「米軍の戦車に乗って」イラクにやってきた腐敗した指導者たちの存在を指摘してくれるだろう。各省庁や政府高官職が、米国と政治的な同盟する様々な宗派と民族の間で分配されていることを教えてくれるだろう。実際、汚職の規模は極めて深刻で、商務大臣とその兄弟は数百万ドルを盗んだとして「潔白委員会」に非難されているし、運輸副大臣はやはり巨大な賄賂の「第一回受取金」として10万ドルを受け取ったとして逮捕されている。
イラクとイラク人の苦しみは続いているが、西側メディアのほとんどはその苦しみを無視し、そんな中でオバマ大統領はブッシュ大統領の対イラク目標を依然として追求しつづけ、バグダードに米国と緊密な関係を持つ政府を維持しようとしている。この目標は、イラクに安定と平和、民主主義をもたらすこととは相容れない。イラクの人々はバグダードに親米政権を進んで受け入れることはなく、したがって「撤退作戦」が長期的な占領をもたらすことは避けられず、それによりさらなる犠牲と破壊がもたらされるだけだということを、米国の戦略立案家たちは依然として理解していないかのようである。
イラクの人々が、腐敗したセクト主義的親米政治家たちの寄せ集めを受け入れるなどと見込むことができるだろうか? 唯一現実的な撤退作戦として、まずは、米国の介入なしに、イラクの人々が自決を行使する権利から始めなくてはならない。
投稿者:益岡
2009年10月31日
イラク:大虐殺と汚職
イラクの現実。
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