2009年09月27日

ブラックウォーターが殺人を犯すとき、疑問は禁じられている

2年前の2007年9月16日、米国の傭兵企業ブラックウォーター社の傭兵がバグダードのニソール広場でイラク人を虐殺しました。それから2年。この記事は、2007年10月30日のものです。
ブラックウォーターが殺人を犯すとき、疑問は禁じられている
アリ・アル=ファディリ
DahrJamailIraq.com原文
2007年10月30日

バグダード発。最近、ブラックウォーターUSAの傭兵たちがバグダードでイラク市民に攻撃を加えたが、これは初めてのものではまったくない。さらに、これが最後のものにもならないだろうと多くの人が考えている。

2007年9月16日、バグダード西部のニソール広場でブラックウォーターUSAの傭兵たちがイラクの人々に銃撃を加えた。17人が殺され、27人が負傷した。現場を目撃した数十人の証人たちは、ブラックウォーターの主張とは逆に、傭兵たちが攻撃を受けていた事実はないと語っている。

現場にいた数人のクルド人は、その間、誰も傭兵たちに発砲などしていなかったと述べており、これは法医学的証拠によっても裏付けられている。クルド人は、米国主導のイラク侵略と占領を指示しているイラクの民族集団である。これらクルド人の証人たちは、虐殺が起きたニソール広場をすぐ下に見下ろす建物にある政党の事務所で仕事をしていた。

「これは虐殺です」。クルディスタン愛国同盟の幹部、オマール・H・ワソはこう語る。「不法な行為です。まるでジャングルの法を使っているかのようです」。

「犠牲者の中にはイラク政府に近い人々もいました」と、ある目撃者は匿名を条件にIPS通信に語った。「内務省の調査官が現場に到着したとき、5、6人の遺体について騒動が起きたのを覚えています」。

西洋の傭兵企業----「契約警備企業」などと呼ばれることが多い----の記録を見ると、こうした事件に満ちている。

「奴らは近くに住む若者シナンを冷酷に殺しました」。イブラヒム・オベイディと名乗る32歳はIPSにこう語った。「傭兵たちは非常に多くのイラク人を殺して来ました。それにもかかわらず、誰一人、傭兵たちになぜ殺すのか尋ねることさえできないのです」。

「イラクのアンバル県(バグダードの西にある)では、これまでも、奇妙ななりをした部隊が冷血に人々を処刑してきたと言われてきました」とIPSに語るのは、アンバル県の県都ラマディ出身の弁護士アブドゥル=サッタル・アフメドである。「民間人の服を着ながら装甲車に乗り、ヘリコプターを使うこともあるその一団が、謎の処刑を行なって来たのです。人々を拘束することはほとんどなく、いつも殺して来ました」。

バグダードのNGO「イラク人権グループ」で働くサリー・アジズはIPSに、ブラックウォーターの車列----通常、大型の白いSUV数台から構成される----は、2003年3月にイラク占領が始まった当初から、イラクの民間人の命を狙ってきたと語る。

「米軍によるイラク占領が始まった当初から、バグダードの路上には、奇妙な一団の姿が見られました。黒いサングラスをかけて装甲車に乗り、近づいてくる人々は誰であれ殺す集団です」とアジズは言う。「イラク人がまず憎んだ相手でした」。

ブラックウォーターUSAが国際的な注目を浴びたのは、2004年3月31日にファルージャで同社の傭兵4人が殺されたときだった。この事件をきっかけに米国は二度にわたり、ファルージャに残忍な包囲攻撃を加えている。

2004年11月の包囲攻撃では、ファルージャの約70パーセントが破壊された。今日に至るまで、数万人の住民が難民となっている。

50歳になるバグダードのビジネスマン、マリク・ニザールはIPSに、「すべてビジネスと儲けのためです」と話す。「ブラックウォーターのCEOエリック・プリンスをはじめ、企業の幹部たちはイラクの治安契約で数十億ドルの儲けを手にしています。それを何としても手放そうとしないのです」。

独立ジャーナリストのジェレミー・スケイヒルはベストセラー『Blackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Army』の著者である。「私が手に入れた文書から、米国国務省と契約した武装警備業務だけで、ブラックウォーターの契約は約7億5000万ドルにのぼることが明らかになっています」。スケイヒルはIPSとの電話インタビューでこのように語った。

「ブラックウォーターが世界中で米国と交わした契約の規模はわかりません。ブラックウォーターは米国政府のために秘密の活動も行なっていますし、公の契約も秘密と官僚的保護の分厚い層に覆われているためです」。

スケイヒルによると、ブラックウォーターに対する調査の目は強くなっているが、その一方で米国政府からの巨額発注を受けつづけているという。

「ペンタゴンとの間で最近交わした中央アジアで航空便を運用する9200万ドルの契約、『対麻薬戦争』の名目で得た150億ドルという途方もない巨額契約の一部などもそうしたものです」とスケイヒルはIPSに語る。「イラクにおける公の契約を失ったとしても、ブラックウォーターは米国納税者の金を使って大儲けを続けるでしょう」。

先月バグダードで起きたこの虐殺事件は政治にも影響し、イラク政府は、ブラックウォーターの要員たちが殺害を犯したもので、彼らの行為は挑発への対応ではないという、イラク調査委員会の調査結果を受け入れた。

イラク調査団はブラックウォーターを国外追放処分にすべきであると述べ、各犠牲者の家族にそれぞれ800万ドルの賠償金を要求した。先週、政府は、元イラク占領統治当局の代表L・ポール・ブレマーが発した2004年の政令を廃止する手段を検討する委員会を発足させることに決めた。ブレマーが出した政令では、傭兵企業はイラク法の適用外とされ、処罰を受けないことになっているのである。

イラク人の多くは、ブラックウォーターが得ている特権に怒りを覚えている。

「2004年12月、バグダードで車を運転していたとき、発砲されました」とIPSに語るのはバグダードのNGO職員サード・モハンマド・サイードである。「攻撃してきた車両は傭兵企業のものでした。私の車は破壊されました。奇跡的に私自身は生き延びました。訴えを法廷に提出しにいったとき、法廷は、これらの傭兵たちを喚問することはできないと言ったのです」。この事件に関与していたのがブラックウォーターの傭兵かどうかは確認できないが、ブラックウォーターに対して人々は深い怒りを抱いている。

同様の事件は依然として続いている。先週、バグダードでイラク人女性が二人殺された。マロ・ブーゴスとジェンナ・ジャラルは、白のオールズモビルを運転していたとき、傭兵企業の傭兵たちに射殺されたのである。後部座席に乗っていた子供たち3人は生き延びた。

「ブッシュ(米大統領)でもアル=マリキ(イラク首相)でも誰か他の政治家でも、母親を殺したあとで、姉の子供たちの面倒を見るのだろうか?」 攻撃の現場にいたブーゴスの弟はこう言った。

(アリはバグダードにいる我々の特派員で、ダール・ジャマイルと協力関係にある。ジャマイルはイラク関係を専門とする米国在住の記者で、イラクを何度も訪問している。)

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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