2009年09月27日

CIAは秘密暗殺作戦に傭兵企業ブラックウォーターを雇った

全米ベストセラー『ブラックウォーター』の著者ジェレミー・スケイヒルが、CIAの暗殺プログラムとチェイニーの役割、傭兵企業ブラックウォーターの関与について語る。関連する情報については、デモクラシーナウ! ジャパンをどうぞ。
CIAは秘密暗殺作戦に傭兵企業ブラックウォーターを雇った
ジェレミー・スケイヒル
ZNet原文
2009年8月21日

フアン・ゴンザレス:本日は、まず、民間軍事会社ブラックウォーターに関する新たな爆弾報告からはじめます。ニューヨーク・タイムズの報道では、2004年、CIAが、アルカーイダの上級工作員を見つけ出して暗殺することを目的とした秘密プログラムの一環として、ブラックウォーターの傭兵を雇ったというのです。

ブラックウォーターの経営陣は、計画と訓練、監視などでCIAを手助けしてきました。このプログラムにCIAは数百万ドルを投下しましたが、タイムズ紙によるとテロ容疑者を逮捕することも殺すこともできなかったといいます。一方、ワシントン・ポスト紙は、作戦上の決定権はブラックウォーターが有していたと報じています。

関係者によると、CIAはこの作戦でブラックウォーターと正式に契約を結んだわけではないとのこと。議員は今年に入ってようやくこれを知りましたが、すでに作戦は中止されていました。

エイミー・グッドマン:この問題についてより詳しくお話しするため、独立ジャーナリストのジェレミー・スケイヒルをお招きしています。彼はベストセラー「Blackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Army」の著者で、今回の問題が明かになって以来、問題を追求しています。CIAの作戦に関する彼の記事は本日のthenation.comに発表される予定です。

ジェレミー、この暴露についてコメントをお願いします。

ジェレミー・スケイヒル:はい。タイムズ紙が報じているのは----ポスト紙もそうですが ----ほんの一部に過ぎません。全容から見ると、ごくごく一部なのです。ブラックウォーターはずっと以前からCIAと関係してきました。これについては私の本で詳しく取り上げています。

ブラックウォーターとCIAの関係を象徴する人物が二人います。一人はアヴィン、あるいはバジー・クロンガードと呼ばれる人物で、もう一人はJ・コファー・ブラックという名の人物です。

バジー・クロンガードはCIAの幹部で、2002年にはCIAのナンバー・スリーでした。報道によれば彼はエリック・プリンスの父親エドガー・プリンスの友人か、少なくとも知人だったと言われています。二人が公式に面会したのは2002年のことで、このときバジー・クロンガードとエリック・プリンスは、ブラックウォーターとCIAの秘密契約を取り決め、ブラックウォーターはCIAに雇われて小チームをアフガニスタン内に派遣することになりました。これは500万ドルの契約でした。ブラックウォーターをアフガニスタンに派遣する表向きの理由は、米国が作戦を展開している初期段階で、アフガニスタンのCIA工作員を護衛する、というものでした。

そこでエリック・プリンス自ら----彼も元米国海軍特殊部隊員でした----も、ブラックウォーター要員の第一団に工作員の一人として加わり、シュキンに行ったのです。シュキンはアフタニスタンとパキスタンの国境にある町で、CIAはそこでアラモと呼ばれる泥の要塞を造っていました。プリンスはそこにしばらく滞在しました。このときプリンスに同行したブラックウォーターの役員と私は本を執筆する際に話しをしたのですが、エリック・プリンスは数日をシュキンで過ごしたのちカブールに行ってCIA以外の米国連邦政府組織からさらなるビジネスを得ようとしたようです。バジー・クロンガードとエリック・プリンスの関係、CIAとブラックウォーターの関係がこうして始まったのです。

興味深いことに、本を書いているとき電話でバジー・クロンガードと連絡を取ることができ、話をしたのですが、ブラックウォーターとCIAの関係について聞いてくる人間がいることにびっくりしたという感じでした。彼は次のように言いました。「どちらが先かわからない。鶏が先か、卵が先か」。つまり、ブラックウォーターがCIAに仕事の提案を持ってきたのか、CIAが話を持ちかけたのかわからないということです。何が真実なのか、何が嘘なのか、わかりません。

それから、ブラックウォーターは社内に一大治安作戦部門を発足させたのです。ブラックウォーターが傭兵派遣業を始めたのはほとんどそのときだと言えるでしょう。ですから、この契約以後、ブラックウォーターはアフガニスタン内の作戦について巨大な契約を手にすることになったのです。

タイムズ紙とポスト紙が報じていることは、2004年以来、ブラックウォーターはエリック・プリンスをはじめとする重役を通して非公式に----公式の契約はなかったのですから----仕事を請負うことになったということです。仕事の内容は、実際に暗殺チームの調整を行い、アフガニスタンそして恐らくはパキスタンにいるアルカーイダのトップ指導陣を駆り出すことでした。私は何週間か前にこの作戦について知り、それ以来、作戦を調べ上げて、情報を確認できる人々を探し出そうとしてきました。この作戦からはさらに多くのことが出てくると思います。重要なことがあります。昨夜、私は下院情報委員会の委員に連絡したのですが、その委員は私に、情報委員会としてはブラックウォーターと秘密暗殺作戦の関係について調査する予定だと言いました。どうやらディック・チェイニーが作戦を議会には秘密で、命令したと言われています。

フアン・ゴンザレス:ジェレミー、事実と比べてタイムズ紙の情報がひどく貧しいことに驚きました。おっしゃるように、書面による契約や協定はなく、すべてがプリンスとCIA高官たちの口約束に基づいていたとのことですが。レオン・パネッタが過去のCIAプログラムに関して疑問を呈し始めたとき、この問題について議員たちに概要を伝えていたのではないでしょうか?

ジェレミー・スケイヒル:私は情報委員会の委員と話しました。どの委員かについては言いませんが、ブラックウォーターがになっていた役割を議会が知っていたかどうかについては肯定も否定もできない、パネッタが要点説明の際にこれを説明していたかどうかについても言えない、と言いました。いくつかの情報筋から伺えることは、どうやらレオン・パネッタが米国議会に要点説明を行なった際に、実際のところどれだけ注意を喚起していたかについては、大げさに伝えられたように思えます。

思うに、最も重要な点は、これによって米国政府とブラックウォーターのエリック・プリンスの間は完全にツーカーなことがわかった、という点です。政権はプリンスが忠実な歩兵となることがわかっていたのでしょう。それに加えて、ブラックウォーターの元重役が言うように、エリック・プリンスは自身を十字軍の戦士と見なし、キリスト教を守る聖戦で「ムスリムとイスラムを世界から一掃」しようとしていたとするならば、プリンスが暗殺作戦に関与していたこと、進んで関与していたことの筋がはっきりと通ります。

フアン、さらに次のことを考えて下さい。現在、ブラックウォーター幹部の一人にコファー・ブラックという名の男がいますが、彼は28年間CIAに勤めてきた人物です。ブラックウォーターがCIAの仕事を引き受け始めた2002年にCIAで暗殺プログラムを率いていた人物です。コファー・ブラックはCIAの対テロ・センターの長官でした。CIAのジョーブレーカー・チームを指揮していた人物です:アフタニスタンに行って、オサマ・ビン=ラディンの頭を山刀で切り落とし、ドライアイス入りの箱に詰めて俺のところに持ってこい、俺はビン=ラディンの頭を大統領に届けると約束したんだから。その彼が、プリンスの私設CIAを率いているのです。ブラックウォーターがそうした関係を、CIAが進める最も大きな秘密作戦の三つを請け負っていないというのは、まったく、信じられません。

フアン・ゴンザレス:確かに、ブラックウォーターがCIAのもとで特殊部隊の役割を担っていることの影響が、ブラックウォーターの傭兵がイラクで関与した殺人に対する米国政府の対応にも現れているというのはありそうなことです。

ジェレミー・スケイヒル:まことしやかな否認というやつです。行政府と実際の暗殺との間に多くの障壁を作り上げるのです。暗殺は禁止されているのですから。米国でこのことは今や大問題になっています。これは、この取り決めは私的な取り決めに過ぎず、会社のトップがCIA内にいる一部の無法分子と交わしたにすぎないということができるならば、言い逃れができます。現在、ブラックウォーターを沈みつつある船と見る人も多いのです。

現在起きていることの一つは、政府が責任はすべてブラックウォーターにあるように仕立て上げようとしていることです。けれども、これが公式の政策だったことを示す証拠は多数あると思います。ディック・チェイニーが、仮に自らこの作戦を作り上げたのでないにせよ、議会からこの作戦を隠蔽するのに関与していたことを示す証拠はたくさんあるのです。昨夜、議員の一人が私に次のように話しました。「どうやらホワイトハウスは米国議会よりもエリック・プリンスを信頼しているようだ。彼はこの作戦を知っていたが、我々は知らなかったのだから」。ですから、つまり、ブラックウォーターがこの作戦に関与していたことを示す証拠はふんだんにあります。その役割を徹底的に追求する必要があります。けれども同時に、政治的現実として、チェイニー軍団が守備固めに入って、刑事責任を何としても逃れようとしていることも忘れてはなりません。

エイミー・グッドマン:ジェレミー・スケイヒル、名前について整理してもらえませんか? 現在、ブラックウォーターは何と呼ばれているのですか?

ジェレミー・スケイヒル:ブラックウォーターは、20もの異なる名前を使ってきており、いろいろな会社に分かれているのです。アフガニスタンでは現在、「米国訓練センター」という看板を掲げて国務省の仕事を請け負っています。国防省の仕事を「パラヴァント」という名で行なっています。航空部門ではプレシデンシャル・エアウェイズという名前で仕事を請け負っています。会社の公式名、つまり、米国政府と公の仕事をするときには、「米国訓練センター」を使っています。秘密作戦に使われる子会社は他にもあるでしょう。タイガースワンが秘密作戦のいくつかを行うために使われていた会社だということはわかっています。

エイミー・グッドマン:ニューヨーク・タイムズ紙はXeサービス、X−Eの名を使っています。

ジェレミー・スケイヒル:確かに、先週はそうでした。呼び名を変えたのです。毎週のようにくるくる変えています。

さらに言うと、ブラックウォーターは域外作戦も行なっています。古典的な大時代的な傭兵活動で、グレイストーンと呼ばれています。今でもイラクで活動しているはずです。

もう一つ覚えておきたいのは、ブラックウォーターは米国政府のために働いているだけではないことです。国際共和研究所にも仕えています。国際共和研究所はジョン・マケインが関わる組織で、世界中の国々で民主主義に介入し、不安定化工作を行なっています。最近ではパキスタンにいたとの報告があります。実際、ジャン・シャコウスキー下院議員は8月6日にヒラリー・クリントン国務長官に手紙を書き、ブラックウォーターがパキスタンで現在何らかの工作に関与していることに関する情報を求めています。ブラックウォーターは、米国政府のあらゆる層と秘密裏にあるいは公に仕事を続けているのです。

エイミー・グッドマン:ブラックウォーターとオバマ政権の関係について教えて下さい。ブラックウォーターが現在手にしている政府との取り引きについて。

ジェレミー・スケイヒル:さて、この一カ月、私はかなりの時間を使ってその点を追求してきました。ブラックウォーターはイラクで今も公の契約を一つ維持しています。米国国務省はブラックウォーターが依然としてイラクで武装していることを認めました。厳密に言うとブラックウォーターは航空サービス契約に従事していることになっているのですが、国務省が私に語ったところでは、ブラックウォーターの要員たちは武器の携行を認められ、イラク全土にいるとのことです。ブラックウォーター所有のリトルバード・ヘリコプターはイラクで米国政府関係者や占領当局高官などを輸送する要となっています。9月3日にこの契約は終わる予定でしたが、オバマ政権は7月末、契約金額を2000万ドルから1億8700万ドルに増額しました。結局、ブラックウォーターは、「外交治安活動」の名目で、イラクで10億ドル以上稼いだのです。「外交治安」という言葉が使われますが、ブラックウォーターが従事しているのはあたうる限り最も外交からは遠い活動だと言えるでしょう。この契約を維持しています。

現在、イラクでブラックウォーターが米国国務省との間に結んだ5年間の警備サービス契約の3年目です。ブラックウォーターは、米国の外交官がイラク周辺を移動する際の基本的な足の一つとなっているのです。例えば、ホルブロック大使がアフガニスタンに行ったとき、彼の護衛の一部は傭兵でした。自分が大統領になったらブラックウォーターを禁止すると述べたヒラリー・クリントンは、今やアフガニスタンでブラックウォーターを雇い入れています。国防省との関係では、ブラックウォーターはアフガニスタン軍の訓練に従事しています。ブラックウォーターがオバマ政権との間で維持しているこれらの契約は、大規模な、巨額に及ぶものです。

フアン・ゴンザレス:残り約30秒になりました。タイムズ紙の報道では、暗殺チームは実際のところ誰一人殺していないとのことですが、それについて解説してもらえますか? あなたもそう考えているのでしょうか?

ジェレミー・スケイヒル:それについては大いに異議があります。根拠もあります。ブラックウォーターがCIAの仕事をし始めてからまもなく、CIAの対テロセンター長だったコーファー・ブラックは、秘密プログラムの一環として暗殺チームは数千人を殺したと、数千人を殺したか拘束したと語っています。ブラックウォーターはCIAが進めた準軍組織方式の暗殺作戦のもとで活動していたと思われるのです。

こうした類の作戦は上手くいかないと宣言する宣伝合戦に乗り出す前に、極めて重要な事実を思い起こしておきましょう。彼らは海軍特殊部隊の出身です。米軍の中でも最も高度な技術を備え、厳しい訓練を受けた工作員たちなのです。エリック・プリンスを雇うことのメリットはここにあります。記録に残ることもなく、問題にもされないところで、誰にも知られないまま準軍組織の工作員を雇うことができ、もっともらしくそれを否定できるのです。しかも、工作員たちは米国秘密作戦の第一人者として、アフガニスタンとパキスタンで進められた「闇の作戦」に参加したのです。誰も殺されなかったという主張には重大な疑念を持っています。ブラックウォーターが関与しているのですから。

エイミー・グッドマン:ジェレミー・スケイヒル、今日はお越し下さってありがとう。彼の記事は本日、thenation.comに掲載されます。ベストセラー『Blackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Army』の著者で調査記者として賞も取っているジェレミー・スケイヒルでした。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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