英軍、さらに20件のイラク人民間人に対する虐待ケース
ロバート・ヴァーカイク
2009年7月1日
インディペンデント紙原文
人権派弁護団が高等法院に提出した一連のケースにより、英軍はイラク人民間人に対して拷問と虐待を加えたという新たな訴え20件に直面することになる。
これらの新たな訴えから、侵略後の最初の4年間にイラクで捕虜に対して加えられた虐待は少数の「腐った林檎」的兵士によるものではなく体系的に行われたものだったという批判にさらに根拠が与えられたことになる。
来月、公式調査が始まり、バスラのホテルで働いていた26歳のバハ・ムーサ殺害の証拠をめぐる聴問会が行われる。ムーサは2003年、英軍兵士により蹴飛ばされ、殴り殺された。英国国防省はすでにムーサ氏の家族および同時期に拘留されていた虐待の犠牲者9人に対して300万ポンドを支払っている。
今回の新たなケースにより、英国政府は、人命の損失、人的侵害、虐待に対してそれと同じ規模の支払いを行うことになる可能性がある。訴えの一つは、2003年8月、英軍兵士達がある住宅を訪れ、8人のイラク人男性たちを「乱暴に殴りつけた」というものである。
その翌年、少年一人と父親が、英軍兵士の侵入捜査の際に兵士たちに撃たれて負傷たという。その後、息子は怪我がもとで死亡し、父親は片腕を失った。他の8人の息子達も「兵士達にあまりにひどく殴られたため、兄弟の少なくとも一人が意識を失った」と、彼らから証言を取った弁護団は言う。
2006年には、さらに3人のイラク人文民が、別々の出来事で拘留され激しく殴られたという。
2008年3月、元国防相デス・ブラウンは、バハ・ムーサ殺害においてヨーロッパ人権条約に対する「重大な違反」があったことを認めた。同年7月、国防省 はムーサの家族および他の9人に283億ポンドの賠償金支払いに合意した。
新たなケースはすべて人権派法律事務所「公益弁護団(PIL)」が提出したもので、同弁護団は審理においてバハ・ムーサの家族の代理を務めるほか、虐待を受けたとして英軍を訴える多くのイラク人の代理を務めている。
「公益弁護団」の声明によれば、「今年5月、PILの弁護団はベイルートを訪問し、虐待や恣意的拘留、さらに宗教的侮辱や静的虐待を英軍から受けたと主張する複数のイラク人から証言を収集した。記録されたケースは、2003年3月の戦闘開始時点から2007年にわたり、まだ記録されていないケースはさらに多くあるものと思われる」。
PILのフィル・シャイナーは次のように話す。「虐待や威圧的尋問技術(フードを被せる、ストレスを与える、食事や水を剥奪するなど)の詳しい記述はいずれもお馴染みのものです。繰り返し体系的に虐待が行われていたことを示す証拠がどんどん増えるにつれ、そうした残虐行為は少数の「腐った林檎」が引き起こしたものだという抗議の声はますます空疎に響きます」。
現在、シャイナー氏は広範な司法審理を行い、イラクとアフガニスタン侵略以降、イラクの人々を拉致し拘留するために用いた軍の行動と虐待を受けたという主張すべてに対する調査を求めたいと言う。
「2009年6月15日、首相はイラクにおける英国の関与について、待ち望まれていた調査を開始すると発表しました。それ以来、捕虜に対して公式に容認されたかたちで加えられた虐待と拷問を追求する必要があることについてはほとんど意見がありませんでした。けれども、この問題をうやむやにすることはできません。イラクをはじめとする各地で英軍と英国諜報部がやってきたことについて評価し、行動を改めさせ今後の侵害を阻止することが絶対に必要です」。
シャイナー氏は、バハ・ムーサのケースから、「軍の捜査機構と司法制度の欠陥」が明かになったと述べる。「兵士達の犯罪を別の兵士達が調査し、さらに別の兵士達の陪審の前で兵士達が検察として起訴するというやりかたは、責任を追求するための現代的基準を満たすには不十分です」と彼は言う。
バハ・ムーサが英軍の収容所で死亡したのは2003年9月のことで、死亡時、肋骨や鼻の骨折など、93箇所に怪我をしていた。
ムーサ氏の子供たちはムーサ氏死亡時に5歳と6歳だったが、母がムーサ氏が拘束される少し前に癌で死亡していたため、孤児となって残されることになった。英国国防省によると、責任を認め、また被害者とその家族に謝罪することで、この件は円満解決に至ったという。
協議の際、高級副官フレディ・ヴィガース准将は犠牲者の家族に対し、「英軍は皆さんが英軍の手により被った恐ろしい扱いについて謝罪する。英軍兵士のおぞましい行為には我々も嫌悪感を抱いている」と述べた。
国防省の報道官は昨夜次のように述べた。「12万人以上の英軍兵士がイラクで兵務に就いてきたがその大多数は最も厳格な基準に従って正しく振舞ってきた。虐待があったという訴えについてはすべて徹底的に調査し、証明された場合には責任者を処罰し告訴人に補償を行う。虐待を受けたという主張はそのまま事実であるわけではなく、先走った判断をせずに公式調査を行わせてほしい」。
投稿者:益岡





