2009年06月10日

レジスタンス、再び

最近のイラクの動向とその背景。
レジスタンス、再び
ダール・ジャマイル
DahrJamailIraq.com原文
2009年5月31日

5月に イラクで殺された米軍兵士の数は少なくとも20人、昨年9月以来、もっとも多い死者数となった。負傷者も50人を越えた。イラク人の犠牲者は、いつもながら、死者数も負傷者数も、少なくともその10倍におよぶ。

バグダードやファルージャなどの地域で、米軍に対する攻撃が再び激化している。これらの地域では、レジスタンス戦士の多くがサフワ(「イラクの息子達」、「覚醒評議会」の名で呼ばれることもある)に参加し、米軍から支払いを受ける代わりに占領者たちへの攻撃を止め、占領者とともにアルカーイダ・イン・イラクと戦うことに合意するまで、レジスタンスが最も激しい地域だった。4月の前半に、私はこのウェブサイトに掲載したコラムで、イラク政府と米軍がサフワに攻撃を加えており、また、サフワを政府の治安舞台に組み込むか文民官僚の仕事を与えるという約束を破ったために、サフワを脱退しレジスタンスに加わる人々が増える可能性があると述べた。

ゆっくりと、しかし確実に、事態はそのようになっている。米軍連絡担当ジェフリー・クルメイヤーはこのような見解、そして、米国の手駒であるヌーリ・アル=マリキ率いるイラク政府が多くのサフワ・メンバーに支払いを怠っていることについての論争を批判し、また、政府が続けるサフワ・メンバーを標的とした逮捕と攻撃が「誇張された」ものだとしても、現実は変わらない。ジャーナリスト、パトリック・コックバーンの父で自身も記者だったコード・コックバーンの重要な言葉をここで思い起こそう。「公式に否定されるまでは、何一つ信じるな」。

当然のことながら、クルメイヤーのコメントとはまったく逆に、サフワはイラク政府に対し、サフワの戦士たちに仕事と給与を提供するという約束を軽視しないよう警告した。5月28日、英国で発行されているサウジ資本の独立系新聞アル=ハヤットは次のように報じている。

「覚醒評議会の少なからぬ指導者たちはイラク政府に対し、覚醒評議会メンバーへの約束を尊重し、3カ月支払いが遅れている給与を支払うよう求めた。彼らは、サフワの兵士たちが求める正当な賃金支払いをイラク政府が無視しつづけるならば、反乱を起こし、治安状況は悪化することになると警告した。バグダードの北、ファラハト・アル=タジの覚醒委員会指導者の一人、シャイフ・マサリ・アル=デュライミは、民族和解プロセスを監督している委員会は、バグダードとその周辺の評議会指導者指導者たちに対し、給与は支払われること、また、部族間で、バグダードの治安を維持するためのある種の協力が合意されたことを指摘した」。


同紙によると、アル=デュライミ氏はまた、給与受け取りが遅れているために、多くの評議会戦士が地元地域を守るという仕事を放棄したことを指摘し、「評議会のメンバーが政府の約束に猜疑心を持っていることが理由でイラクの都市の状況がこれ以上悪化することは望まない」と語った。アル=ハヤット紙はさらに、バグダード南部のアル=ラティフィヤ地区の覚醒評議会指導者シャイフ・カレッド・ヤシン・アル=ジャナビが、「覚醒評議会の問題と要求を政府が無視しているため、治安状況は悪化する結果となるだろう」と警告したことを報じている。

同時に、イラクのレジスタンス運動は権利を剥奪されたサフワ・メンバーの参加に加え、様々なイラク人が加わって勢力を増している。イラク人がレジスタンスに加わるのはこれまでと同様の理由からである。すなわち、占領軍とイラク人協力者たちが同胞男女を拘束し、拷問を加え、強姦し、占領とともにインフラは破壊され苦しみは増す。他にも多くの理由がある(例えば、イラク人の4人に1人が貧困生活を送っているという事実もその一つである)。そしてこのレジスタンスは、少なくとも言葉の上では全面的な活動を再開すると述べている。

最近、ロサンゼルス・タイムズ紙は、イラク人レジスタンスの司令官----現在攻撃の対象となっているサフワのメンバーでもある----の次のような言葉を報じた。「アメリカ人が、我々を支援することはできないと言うならば・・・・・・6時間以内に我々はグループを作り腐敗した政府に対する戦いを開始する。バグダードで戦争が起こるだろう」。

サフワをイラクの政治体制に組み込む手助けをするという約束を実現すること、そしてマリキ政府の治安組織が加えている攻撃からサフワを保護すること、を米軍に求めてきた覚醒評議会は、次第に忍耐の限界に近づいている。

元イラク軍諜報部の将軍で、現在は「イラク解放軍」という名のレジスタンス・グループで司令官を務めサフワのメンバーでもある人物は、ロサンゼルス・タイムズ紙の同じ記事で、「米軍がバグダードから撤退したら、24時間以内に、街はレジスタンスと人々のものになるだろう。人々は沸騰寸前である」と述べている。

暴力は1月以来、激化している。4月はイラクのこの1年で最も死者の多い月となった。私たちは、毎日、サフワのメンバーが治安ポストを立ち去っている状況を目にしている。政府の攻撃と賃金未払いに抗議して、サフワのメンバーは、治安組織の一部として地元の安全を維持することをやめ、再びレジスタンスに参加している。同時に、サフワのメンバーは実質的にアルカーイダのイラクにおける活動を防止することを放棄した----もともと米国がサフワを創設したのはそのためだったのだが。したがって、アル=ジャナビが「覚醒評議会の問題と要求を政府が無視しているため、治安状況は悪化する結果となるだろう」と警告したとき、「治安状況は」二方面で「悪化する」ことが予測されたわけである。しかもそこには、これまで占領軍と同盟していた10万人の兵士が再び占領軍と全面対決することがもたらす今後の波及効果は考慮されていない。これまで述べてきたように、今日、私たちはそうした将来がどのようになるのか、ほんのわずかにそれを反映するような状況を理解しつつある。

占領下のイラクでは大量の血が流され続けている。5月25日、モスルで自爆攻撃者が爆発物を満載した車を米軍パトロールに突入させ、8人を殺害し26人を負傷させた。同じ日、バグダードの南60マイルに位置するヒラでは、検問所に詰めていたサフワ兵士一人を殺し屋が殺害した。

5月21日、二つの都市で自爆攻撃があり、米軍兵士3名と2ダース近いイラク人が殺された。この日を含む2日間に起きた暴力で、少なくとも66人の命が奪われた。同じ日、サフワはさらなる攻撃を受けた。イラク政府軍だけでなく、アルカーイダもサフワを攻撃しているのである。5月21日、キルクークで、給料を受け取るために軍基地で並んでいたサフワ兵士の7人が殺されている。

一方、米国とイラクの間の「協定」で米軍兵士は2012年までに全面撤退することになっているにもかかわらず、ペンタゴンは少なくとも10年間はイラクに戦闘部隊を残すつもりでいる。米軍参謀総長ジョージ・ケーシー将軍は最近、イラクでもアフガニスタンでもペンタゴンは米軍の戦闘平定作戦拡大を検討すべきだと発言し、「世界的傾向は間違った方向に向かっている」と述べた。「軍の活動は根本的に変わるだろう」、と。現時点で米国はイラクに13万9000人の兵士を維持していることに注意しよう。ジョージ・W・ブッシュが言うところの「兵士増派(大波)」以前にイラクに駐留していた兵士数よりも依然として多いのである。

こうした兵士の多く、そしてイラク占領という犯罪を何も考えずに支持しまた指示しつづける国粋主義的米国市民は、米帝国が採用している「力は正義」という戦略を神の命令だとして正当化している。米国で知名度の高い作家、マーク・トウェインを思い起こそう。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンで知られるトウェインは強い反戦思想の持ち主だった。彼の「戦いの祈り」を読むよう教わったことは一度もないが、その中には次のような皮肉な下りがある:

「主よ、我らが父よ、我らが若き愛国者たち、心のアイドルたちが戦争に行く、そのとき彼らの傍らにおらんことを! 彼らとともに、我らが心もまた、甘やかで平和な愛すべき炉辺を離れ、敵を打ちのめす。主よ、我らが父よ、敵の兵士を我らが砲弾で血まみれの肉片にすることを助けたまえ。銃声の轟きをかき消すほど、敵の負傷者たちが苦しみに悶えた叫びをもたらすことを助けたまえ。嵐のような火を持って敵の卑しい家々を荒廃させることを助けたまえ。無益な悲しみをもって無害な敵の寡婦たちのい心臓を絞り出すことを助けたまえ。寡婦たちが幼な子を連れ助けもないままに無人の荒野をぼろを着て彷徨い、飢渇に苦しんで、夏の太陽の炎と冬の凍てつく風に翻弄され、心砕け、苦痛に疲れ果てるようになることを手助けしたまえ。我ら、主を敬うもののために、墓という隠れ家から敵を追い出し、希望を砕き、命を枯らし、苦い人生の航路を長引かせ、足取りを重くさせ、行路を奴らの涙で濡れさせ、純白の雪に奴らの傷ついた足から流れる血の染みをつけさせたまえ! 愛を持って我らは愛の源たる主に、決して裏切らない庇護者たる主に、悩みすべての友たる主にそれを願う。また、謹んで悔いた心をもって主のご加護を願う。アーメン」


米国のイラク占領が引き起こしている大量殺人と人々の苦しみはまさにこのようなおのである。こうした死と苦しみがゆえに、イラク人レジスタンスが再び結成され、力をつけ、全面的な攻撃を再開する準備を整えつつあるのである。

投稿者:益岡


posted by 益岡 at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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