2008年10月28日

立ち去らないあなたをどうして寂しく思えるだろう?

イラクにおける米軍地位協定(SOFA)の内容が暴露されましたが(それについては別途時間があれば紹介したいと思います)、少し関連する記事。
立ち去らないあなたをどうして寂しく思えるだろう?
米国政府の傲慢とイラク
ロン・ジェイコブス
2008年10月24/25日
CounterPunch原文

もう慣れていてしかるべきだが、どうしても慣れない。米国の政治屋たちが世界に向けて、イラクは米国の手助けがなければ自らを守ることができないのだと語るとき、私はいまだに腹をたてるし、また、厚顔な傲慢さに唖然とする。つい最近、米国の政治指導者と将軍の何人かが、イラクと米国の人々に向けて、米軍兵士がイラクから撤退する適切な時期を知っているのは自分たちだけだとのたまった。さらに、イラク政界のほとんどあらゆるところが、米軍のイラク駐留継続に関して米国が押し付けようとしている合意を変更するよう求めているにもかかわらず、米国国務長官コンドリーザ・ライスは米国政府の声を代表して次のように語っている:イラクで我々がしたいことについて決めるのは我々であり、いつまで駐留するかも我々が決める、したがって合意案を飲むか拒否するかどちらかにせよ。拒否するならば、駐留のために別の方法を考えるし、そうすれば、これまで我々がお前たちの生活を惨めなものにしてきた以上に、さらに一層惨めなものにしてやろう。

ワシントンによるこのコミュニケーションを特別なものにしているのは、イラクの普通の人々にこれを言っているだけでなく、米国政府がイラクに据え付けた傀儡政権に対しても向けられたメッセージだという点である。もちろん、グリーン・ゾーンの議会が合意に対して要求を出したのは、ひとえに、イラクの人々がそうした要求を出すよう議員たちに圧力をかけたからである。当然、米国政府と米国メディアの中には、グリーンゾーン政府が出した要求を、感謝知らずの態度であり、反抗に近いと見なす者たちもいる。これらの者たちが、次のように語る声が聞こえてきそうである:イラクの民間人を殺す人々を訴追する権利を要求するとは、何てずうずうしく恩知らずな奴らだろう。我々が必要な手段を与えてやったからこそようやくイラクを支配できているイラクの政治家たちが、特定のときまでに米軍兵士をすべて撤退させるよう求めるなど、よくもできたものだ。さらに肝腎なことを言えば、ワシントンが作りだし維持してきたバグダードの政府が我々にイラクの主権とは何かを教えるなど何事だろう。 本来、現地人が何を治め、占領者が何を治めるか、それを決めるのは占領者たる我々だ。キップリングを読んだこともないのだろうか?

マイケル・シュワルツが出たばかりの著書「War Without End : The Iraq War in Context」で明確にしているように、米国政府がイラクを侵略したのは、イラクの資源と運命を支配するため、そして中東と南アジアをイラクを基地として制圧するためであった。シュワルツがはっきりさせているもう一つは、米国政府は制圧が確実なものになるまで撤退しないだろうという点である。むろん、この等式には予測不可能な変数が含まれている。イラクの人々が、米国政府のこの計画にしたがうことを拒否したらどうなるだろう? あるいは、我々のように自分の税金がこの戦争に使われている立場からはいっそう重要な点だが、我々がこの計画にしたがうことを拒否したらどうなるだろう?

シュワルツの本----米国の戦争と占領について書かれた本の中で断然最上とはいえないとしても最上のものの一つである----には、占領軍兵士が加えた殺人と破戒の繰り返し以上のものが含まれている。この本は、今回の戦争と占領が終始一貫して中東の制圧、中東の資源と運命の支配に関わっているという前提で、戦争と占領の紆余曲折に鋭利な分析を加えている。この本を読むと、その動機だけが、米国の振舞いを一環して説明できるものであることが理解できる。

米国政府とグリーンゾーンにいるイラク人の間で米軍の地位協定(SOFA)をめぐる議論が起こる中で、米国政府は米軍を撤退させると脅しをかけることが予想される。実際、米国の新聞に現れたニュース記事のいくつかは、2008年10月22日にそれを報じている。それらの報道によると、米国政府はグリーンゾーン政府のメンバーに対し、SOFAに署名しなければ米軍を撤退させると伝えたという。どうやら米国政府はそれが脅しになると考えており、グリーンゾーンのイラク人政治家たちは米軍に守ってもらわなくては生き延びられないことを恐れて言うことを聞くだろうとふんでいるらしい。イラクが置かれた現在の歴史的な岐路において、米国政府によるこの脅しは計算違いなのではないかとも思える。既に述べたように、ライスは、現在の構成ではグリーンゾーン政府には自らを防衛する力がないと発言したことが伝えられている。しかしながら、イラクの人々は(グリーンゾーン政府内にいる人々さえも含め)、現在のような政府を維持することには関心がないということはありえないだろうか? そうだとすると、米国政府が出した米軍を撤退させるぞという脅しは空疎な脅しであるだけでなく、イラクの人々による抜け目のない方略である可能性があり、また、イラクの人々にとって勝利となる可能性がある。これまでイラクの人々は、即席爆弾や投票、世論調査をはじめとするたくさんの手段で、米軍とその支援機構(契約要員、諜報サービス等々を含む)の撤退を望んでいること----それも早ければ早いほどよいこと----を明らかにしてきたのだから。

残念ながら、イラクの人々と米国の人々がどれだけ強く望んでも、米軍撤退がそう簡単に実現するとは思えない。もっとありそうなシナリオは、SOFAをめぐる議論が続き、そして2008年12月31日の期限までに合意に至らなければ、イラク全土に米軍を駐留させるために米国政府が一時的マンデートを作り出すことである。米国政府が合法的にイラクに米軍を駐留させることができなかったとしても、撤退しようとはしないだろう。そもそも、思い出してみれば、米軍兵士をイラクに送り込んだ2003年の侵略は法的に問題があるものだった。当時、それが違法だということは気にならなかったようである。2009年に、不法に米軍兵士をイラクに駐留させておくことも、それと大きな違いはないだろう。

ロン・ジェイコブズは「The Way the Wind Blew : a history of the Weather Underground」(Verso刊)の著者。ビッグ・ビル・ブルーンジーに関するロン・ジェイコブズのエッセイはCounterPunchの音楽・美術・セックス・コレクション「Serpents in the Garden」にフィーチャーされている。最初の小説「Short Order Frame Up」はMainstay Press刊。彼のメールアドレスは、r j a c o b s 3 6 2 5 @ charter . net。

日本では、米国を「守る」ためのミサイル防衛に1兆円(といってもミサイル防衛は技術的にも問題があって単なる軍事産業に設けさせるための方便ですが)、米国のいいなりの米軍再編費用に3兆円、基地内の米軍住宅建設一戸あたり5900万円をプレゼントし、一方で、社会保障費は「予算がない」としてこの5年間、毎年2200億円削減しています。そんな日本政府と比べると、イラク「傀儡」政府の忠誠度は低いようです。

投稿者:益岡
posted by 益岡 at 22:21| Comment(2) | TrackBack(0) | イラク全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オバマさんに期待はできるでしょうか
Posted by gesel at 2008年11月08日 11:08
関連する記事を紹介しました。
Posted by 益岡 at 2008年11月12日 22:27
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