2006年07月30日

レバノンは血を流し、イラクは燃え、人々は逃げる

アメリカ合衆国がイラクを「解放」するために侵略・占領して以来の、膨大な殺人と破壊。「私たちは、ただ、戦争のない場所に行きたいだけなのです。死と、苦しみと、破壊には、もう疲れ切ってしまいました」。

レバノンは血を流し、イラクは燃え、人々は逃げる
ダール・ジャマイル
2006年7月26日
ZNet原文

「ハビビ、今バグダードに暮らすことは、巨大な監獄に暮らすことだ」。最近、彼は私にこう語った。「家の中に居続けるだけ。外に出るのは、どうしても必要なときだけだ。毎日、とてもたくさんの人が殺されていて、ただ、今日が自分の番ではありませんようにと望むしかない」。

2週間近くにわたってダマスカスから報道している中で、バグダードから私に会いに来た通訳アブ・タラトと一緒に活動してきた。

こうして、彼は心配して、バグダードにいる家族と連絡をとり続けてきたため、私は、彼との会話そして彼がイラクに電話している様子を通して、「解放された」イラクでの、彼らの生活について直接、事情を知ることができた。

レバノンとイスラエルの間の惨事は破滅的で、400人以上の死者と1250人以上の負傷者を出したこの侵略戦争の酷さを軽視するわけではないが、それにもかかわらず、イラクの状況はそれ以上に酷いしかも、いつも以上に報道は少なくなっている。

今月18日、バグダードの南、クファにある黄金のドームを誇るモスク近くに、爆発物を積み込んだバンを運転する自爆爆弾者が突っ込んだ。クファは、シーア派の聖職者ムクタダ・アル・サドルが祈りを捧げている土地で、モスクの外で自爆者が自らとバンとを爆発させたとき、少なくとも59人が殺され130人以上が負傷するという大混乱に陥った。

このまえ2週間も過ぎていないときに、ムクタダ・アル=サドル民兵マフディ軍のメンバーが、彼らの特徴である全身黒の制服を着て、首都バグダードのスンニ派地区アル=ジハド地区に入り込んだ。民兵たちはそこで暴れ出し、少なくとも40人のスンニ派を、身元証明書をチェックした上で、殺した。

分派主義的暴力が制御不能になって以来、バグダードでは、一日平均一ダースの遺体がチグリス川の川岸に浮かぶ。イラクでは、報復による殺人が毎日どころか、毎時間起きている。今年2月、ランセット報告の共著者の一人であるレス・ロバーツは、イラク人死者を数万人という単位ではなく、10万人、20万人、30万人と数えなくてはならないと語った。

それが5カ月前のことである。今年6月、バグダードのモルグだけで1595人の遺体を受け入れた月よりも前のことである。そして、つい先週、国連が、イラク保健省(イラク内の病院の死者数を調査している)とバグダードのモルグのデータをもとに、今年3月には2378人、4月には2284人、5月には2669人、6月には3149人のイラク人が殺されたと報ずるよりも前のことである。

各組織が死亡証明書を発行しているため、イラク政府は、死者数を数える際に重複して数えている可能性はないと述べている。

国連の報告は、毎日平均して100人以上の民間人が、イラクで殺されていることを示している。バグダード侵略のときに殺された人々の数よりも多く、反戦と称するウェブサイトがこれまで発表してきた馬鹿げて小さな犠牲者数を吹き飛ばすデータである。

バグダードに暮らす人々、そして直接、大虐殺の酷さを目にしてきたジャーナリストたちにとって、これは驚きではないにもかかわらず、それでも、国連報告書の結果は恐るべきものである。今年の最初の6カ月に、死亡者は77%も急上昇し、合計で1万4338人の民間人が暴力的な死をとげた。

この大虐殺に対し、アメリカ合衆国の駐イラク大使ザルメイ・カリルザードこの人物は、目標の一つに中東石油の確保を掲げる「新たなアメリカの世紀のためのプロジェクト(アメリカ新世紀プロジェクト)」の文書作成者の一人としてこの戦争を促す手助けをした人物であるは、大胆にも、イラク傀儡政権の「指導者」たちに対し、「口先だけで責任を述べて和解を求めるだけでなく、それを実行するよう」呼びかけた。

時を同じくして、イラク副首相サラーム・アル=ズバイエは、暴力の大部分の責任はアメリカ合衆国にあると非難し、死者の半分について責任は連合軍にあるとした。彼は、その点を強調し、「我々が今日抱えている問題のすべては、彼ら[連合軍]のせいだ」と述べた。

そうした中、国を逃れることができる人々は誰もがそうしている。生きるために逃げ出しているのである。息子をバグダードから外に逃がす方法を懸命に探しているアブ・タラトは、数百万人と言わないまでも、そうした数十万人の一人である。彼の息子はヨルダンへの入国を許されない。というのも、「軍事年齢」だからである。ヨルダン当局が発布したこの新たな政令により、イラク人男性の非常に多くが、息の絶えつつあるイラクという国に閉じ込められている。

それでも彼の息子は脱出を試みたが、国境ですぐに押し返されてしまった。今、息子は、バグダードのダウンタウンのアパートに座り、外に出ることも出来ないでいる。悪いときに悪い場所つまりイラクにいた誤ったイスラムの宗派に属しているという理由で殺されないならば、それが続く。

それにもかかわらず、すでにヨルダンとシリアには何百万人ものイラク人が避難している。現在、ダマスカスは、イラクからの難民、そして今やレバノンからの難民で、溢れている。

インターネット・カフェに行く途中、私が通り過ぎたミドルイースト・エアラインの事務所では、レバノン国営航空でシリアからほかの場所へ逃れようと求める人々が群がって列をなしていた。

そこにいた何人かと話をした。レバノン人の多くは流暢に英語を話すので。泣き叫ぶ赤ん坊をかかえた妻とともにそこに立っていたある男性は、輪足に、「どこでもいい。ただ、戦争のない場所に行きたいだけなのです。私たちは、死と、苦しみと、破壊には、もう疲れ切ってしまいました。そして、今は、シリアにとどまることも恐いのです。というのも、いつシリアがこの狂気に加わることになるかわからないのですから」。

「ただ、戦争のない場所に行きたいだけなのです」。

中東では、そんな場所を見つけるのは、ますます難しくなっている。

「死と、苦しみと、破壊」を引き起こしたアメリカ合衆国に追従する日本。その日本でも、具体的な想像なしに、観念的な遊びのように、進んで「死と、苦しみと、破壊」を引き起こすことを求める人々が、政治家の中にますます増えています。

投稿者:益岡
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2006年07月29日

【8月22日 東京・千歳烏山】イラク戦争を考える連続講座第20回 私が見たイラク戦争

「イラク戦争を考える連続講座」の第20回(続いてますね!)のご案内をメールでいただきましたので転載します。

■イラク戦争を考える連続講座第20回 私が見たイラク戦争
玉本英子さんに聞くイラク最新事情〜イラク北部の状況を中心に〜


お話:玉本英子さん(ジャーナリスト)
日時:2006年8月22日(火)午後7時〜9時
会場:世田谷区烏山区民センター(3階)第4会議室(定員45名)   
=烏山区民センター=京王線千歳烏山駅下車徒歩1分 世田谷区南烏山6219
参加費:800円 申し込みは不要です。直接会場にお越し下さい。

玉本英子さんは、これまで主にイラク北部地域を中心に取材活動を続けてこられました。今回(6月〜8月)の取材では、イラク各地からの国内避難民の現状や、イラン、トルコ、イラク国境地域で活動するクルドゲリラなどを取材されています。8月半ばに帰国される玉本さんに、イラクの最新事情を伺います。

玉本英子(たまもと・えいこ)さん プロフィール
1966年、東京都出身。アジアプレス 大阪オフィス所属。
デザイン事務所を退職後、ビデオ取材を始める。クルディスタン、コソボ紛争、アフガニスタンの女性たちなど、ビデオを中心に取材、発表。
主な取材に、「明日起こる危機〜コソボ」(テレビ東京)、「伝統音楽に生きる〜トルコ」(NHK福岡)、「イスラムに生きる〜公開処刑されたアフガニスタン女性」(NHK総合)、「Lifting The Veil」(イギリス・Channel4ドキュメンタリー Dispatchesアフガニスタン取材)、イラク武装勢力「アンサール・スンナ軍」「イラクの聖戦アルカイダ機構」インタビュー(2005)、イラク軍従軍取材など、テレビ中継を含めた現地リポート(日本テレビ)など。
共著に『アジアのビデオジャーナリストたち』(はる書房)がある。

主催:今とこれからを考える一滴の会 0353131525
(留守がちですのでメッセージを残してください)
協力:世田谷市民運動いち 0337067204


会場の(←主催者さんではありません)「烏山区民センター」の住所・電話番号は:
東京都世田谷区南烏山6219
0333263511

会場の地図は世田谷区の地図……何だかちょっと薄くて見づらいかもしれませんので,Yahoo!地図情報も。

投稿者:いけだ
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2006年07月26日

被拘留者への拷問が日常的に行われている、と人権団体

2004年、スキャンダルを引き起こしたアブグレイブでの米軍による捕虜の拷問。同様の事態が続いていることを米国の人権団体ヒューマンライツ・ウォッチが調査で明らかにしました。

被拘留者への拷問が日常的に行われている、と人権団体
2006年7月24日
IRIN
Electronic Iraq 原文

バグダード発。ニューヨークに本部を置くヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)が、土曜日(22日)に発表した報告書の中で、アメリカ合州国軍の要員たちがイラク人被拘留者を尋問する際、拷問や虐待を繰り返していると述べたことを受け、イラク政府は、調査を求めた。

「我々は、米国政府に、HRWの報告書に書かれた批判について説明を求めると同時に、拷問を加えた者たちに厳しい処分を求めた」とイラク人権省の上級職員アフメド・アブデル=カリームは述べた。「2004年のアブグレイブ・スキャンダル以来、米軍は、拷問のようなやり方は止め、真剣な調査を進めていると主張している。けれども、今や、この問題は悪化していることがわかった」。

HRWの報告書2003年から2005年をカバーしているによると、イラクの被拘留者たちは、アメリカ合衆国軍兵士から尋問を受ける際、日常的に虐待を受けているという。53ページからなる同報告書の執筆を担当したHRWのテロリズム担当上級研究員ジョン・シフトンによると、イラクに駐留するアメリカ合衆国軍の司令部は、実はそうした方法を認めているという。「これらの証言や説明から、イラクでの拷問や虐待は認められておらず例外的な事態であるというアメリカ合州国政府の主張は反証された」とシフトンは言う。「それどころか、逆に、そうした行為は認められ、日常的に使われている」。

HRWは、バグダード国際空港に隣接するキャンプ・ナマの収容施設に調査の焦点を当てている。そこでは、最もひどい拷問が行われていると言われてきた。「私は拘留され、ゲリラ活動に参加したと非難されました」と、以前ナマ収容所に拘留されていたオマル・ハディは語る。「彼らは、私の指の爪を引き抜きました一日に一つずつ、20日にわたってです。それから、電気ショックを加えたのです」。さらにその後、彼を拘留した者たちは、ペンチを使って彼の前歯を二本引き抜いたとハディは言った。

他の犠牲者たちの中には、大きなオーブンの中に入れられ、皮膚がほとんど焼けるまでそこに入れられたままにされたと語る人々もいる。「私と一緒に収容されていた一人が監房に連れ戻されました・・・・・・彼の皮膚は焼けただれ、タバコのやけど傷と犬に噛まれた傷が体中にありました」とハディは語る。

バグダードのアメリカ合衆国報道担当室によると、虐待が行われたとされるケースについての調査は行うという。「というのも、拷問はアメリカ合衆国軍の行動の一貫ではないからだ」。ある職員は「真剣な対処」を行うと約束した。

バグダードを拠点とする「正義を求める被拘留者協会」のカリッド・ラビアー報道官は、収容されていた人々が、しょっちゅう、虐待を受けたと申告してくると語る。「HRWの報告は、何が起きているかについて、現実的に評価しているものである」とラビアーは言う。「差し当たり、政府は民主主義のイデオロギーを適用し、実行者を処罰するよう主張すべきである」。

本記事はIRIN(国連人道ニュース情報サービス)から皆さんのもとに届けられるが、必ずしも、国連や国連諸機関の見解を反映しているわけではない。IRINの資料はすべて、無料で再掲載や再印刷してよいが、利用条件については、IRINのコピーライトページを参照のこと。IRINは国連人道問題調整局のプロジェクトである。

ブッシュへの申し入れ署名、締め切りが7月末となっています。どうかできるだけ大きく広めて下さいますよう。

投稿者:益岡
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2006年07月23日

女性への隠れた戦争(II)

アメリカ合衆国軍がイラクを占領する中、女性に加えられている様々な犯罪。長いので二つに分けます。本日は、第二部、これで完結です。

女性への隠れた戦争(II)
ルス・ローゼン
2006年7月13日
ZNet 原文

路上での性的テロリズム

一方、戦争が引き起こしたカオスにより、監獄の壁の外でも、女性への誘拐と強姦が激増している。ヒューマンライツ・ウォッチは、2003年7月、強姦や拉致の犠牲者と目撃証人にインタビューし、また、イラク警察と保健専門家やアメリカ合衆国軍事警察や文民問題担当官僚とインタビューして、「恐怖の雰囲気:バグダードにおける女性と少女への性的暴力と拉致」という報告書を発表した。バグダードがアメリカ合衆国軍の手により陥落してから数カ月のうちに、すでに、イラク人女性が強姦および/あるいは拉致されたという信頼できる主張を25件以上も手に入れていた。同報告書は、「警察官は性的暴力や拉致の申し立てを重視せず、警察には十分な体制もなく、性的暴力の犠牲者たちは、イラクの法執行担当者たちから無関心や性的差別の目に晒された」と書いているが、それも驚くべきことではない。それ以来、カオスと暴力と流血沙汰がイラクでエスカレートしたため、事態は悪くなる一方だった。

アメリカ合衆国軍がイラクを侵略してから、バグダードでは地元のギャングたちが街を徘徊しはじめ、道を行く少女や女性を拉致しはじめた。人権を調査している人々のインタビューから、恐ろしい話がわかっている。9歳の「サバ・A」に起きたことは典型的である。彼女は、自分が住む建物の階段から拉致され、放置されて人の住まない建物に連れ込まれて強姦された。強姦された直後にサバ・Aを目撃した、家族の友人は、ヒューマンライツ・ウォッチに次のように語っている:

「彼女は、階段のここに座っていました。午後4時でした。どうやら、男は彼女の後頭部を銃で殴り、[近くの]建物に連れ込んだようです。彼女は15分後に戻ってきましたが、[女性器のところから]血を流していました。[2日後にも血が止まらなかったので]私たちは彼女を病院に連れていきました」。

サバ・Aの治療をしたアメリカ合衆国軍属医師による医療報告は「女性器周辺への殴打と、女性器後部裂傷、処女膜の破損があったと述べている」。

2005年、アムネスティ・インターナショナルも、拉致された女性たちにインタビューした。若いエンジニアである「アスマ」の身に起きたことは典型的なものだった。母親と妹、そして親戚の男と買い物をしていたとき、武装した6人の男たちが彼女を車に無理矢理連れ込み、郊外にある農家に連れ去った。男たちは繰り返し彼女を強姦した。翌日、そのうち一人が彼女を自宅のそばまで来るまで連れていって、車から投げ出した。

2006年6月になって、地元のNGO「女性の権利協会」の広報を担当しているマヤダ・ザーイルは、「この4カ月、特に首都で、性的な虐待を受けたり強姦される女性の数が増えていることがわかっています」と述べている。

拉致された女性の中で、戻ってくることのなかった女性がどのくらいいるかは誰にもわからない。イラク警察のある捜査員が証言するように、「ギャングの中には少女たちを拉致することを専門にしている者もいる。彼らは女性を湾岸諸国に売り飛ばす。戦争前にもそうしたことは起きたが、今の状況はもっとひどい。彼らはパスポートなしで国を出入りできる」。ヒューマンライツ・ウォッチのインタビューによると、そうした女性の売買は、アメリカ合衆国による侵略の前には起きていなかった語る人々もいる。

アメリカ合衆国国務省が2005年6月に出した女性売買に関する報告書によると、現在の混乱した状況ではイラクでのこの問題の規模を「はかることは難しい」としながら、数はわからないものの、女性たちが、性的搾取のためにイエメンやシリア、ヨルダン、ペルシャ湾岸諸国に送られたと述べている。

2006年5月、ブライアン・ベネットは『タイム』誌に、「バグダード北部にあるカダミヤ女性刑務所」を訪問して「すぐに拉致と遺棄の話をいくつか知った」と書いている。「とても美しい18歳のアムナという名で呼ばれる黒髪をポニーテールにして後ろで束ねた女性は、アメリカ合衆国軍による侵略直後に孤児院から武装ギャングにより連れ去られ、サマラ、シリア国境のアルカーイム、そして北部のモスルの売春宿に送られ、その後、カダミヤの聖職者事務所を爆破するために、自爆ベルトを付けられ薬を飲まされてバグダードに送り返されたが、彼女はそこで警察に出頭した。判事は彼女に禁固7年を言い渡したが、それはギャングから彼女を守るためでもあったと、刑務所の所長は述べている」。

ベネットは、「家族や裁判所は、普通、娘の失踪[そしておそらくなされるだろうとされる強姦]にとても恥じ入り、そうした拉致を報道しない。そして純血を傷つけられた結果、汚名を着せられるために、失踪した女性が再び姿を現したとしても、家族は彼女を受け入れようとしないこともある」。

女性を失踪させる

そうした危険を避けるため、数え切れないほど多くのイラク人女性が、自宅に閉じ込められる状況になっている。歴史家のマージョリー・サルキーは、女性反戦組織コードピンクの2006年報告書で、この状況を「包囲されたイラク人女性」と呼んでいる。戦争前は、教育を受けたイラク人女性の多くが、仕事に当たり前に従事し、公的な生活にも参加していたと彼女は指摘する。けれども今や、そうした女性たちの多くがほとんど外出しない。拉致と強姦を恐れてのことである。アメリカ合衆国軍とゲリラとの交戦に巻き込まれることを恐れ、セクト的な報復を恐れ、また「きちんと身を覆っていない」と脅迫したり殴ったりする戦闘的イスラムを恐れている。

「英国が占領している南部では、ムクタダ・アル=サドルのマフディ軍が大きな勢力を誇っているが、女性たちは、状況は最悪であると語る」と英インディペンデント紙でテリ・ジュッドは述べている。「ここでは女性たちは家の中で暮らすことを強いられ、外出できるのは、スカーフで顔を隠し、夫や父親の後ろに隠れながらでしかない。スボンをはくことさえ反抗的な行為と見なされ、死をもって処罰されるかも知れない」。

目に見えない女性イラクの原理主義イスラム指導者の一部にとって、これは夢が現実になったものであろう。たとえば、イラク内務省は、最近、女性だけで外出しないよう警告する布告を出した。「イラクはムスリム国家であり、女性の謙虚さに対する攻撃はすべて我々の宗教的信仰に対する攻撃でもある」と内務省上級官僚のサラ・アリは言う。スンニ派シーア派を問わず、モスクの宗教指導者たちは、礼拝の際、ほとんど男性からなる人々に向けて、女性は家で働かせるよう説得する。「女性が虐待される事件は、私たちが以前から言っていたことを証明しています」とバグダードのあるモスクのイマームであるサラ・ムジディン導師は語る。「仕事を探すのではなく、女性は家にいて、子どもたちと夫たちの世話をするのがイスラムでは女性の義務だということですとりわけ、現在のように安全がない状態では」。

1970年代前半、アメリカ合衆国のフェミニストたちは、強姦の概念を再検討し、強姦は性的欲望によりなされるのではなく、別の人に対する力を示す願望からなされるものだと述べた。彼女たちは、強姦を、すべての女性を公共権をめぐる権利から遠ざけておくためのテロリズム行為であると論じた。アメリカ合衆国がイラクを侵略して以来、イラクの女性たちに起きていることは、まさにこれである。性的テロリズムが宗教的熱狂とあいまって、女性が公共生活で自らの場所を主張する権限を奪い去ってしまった。

これは、無謀なイラク侵略が引き起こした、無用に引き起こされた苦しみの、隠された部分である。新聞に報じられる毎日の爆発や交戦のさなかに、性的テロリズムがうずまいている。その規模が正確にどのくらいでかは知る由もなく、ここアメリカ合衆国では誰も気づきさえしないが、この性的テロリズムもまた、ブッシュ政権が「民主主義」を輸出し、「対テロ戦争」を戦うという名目で解き放ったものなのである。

ルス・ローゼンは歴史家でジャーナリスト。米国カリフォルニア大学バークレー校で歴史と公共政策を教え、またロングビュー・インスティチュートの上級フェローでもある。彼女の新刊「 The World Split Open: How the Modern Women's Movement Changed America (Penguin, 2001)」の新版が、新たなあとがきを加えて2007年に刊行される予定。

本記事の初出はTomdispatch.com(「主流派メディアに対する定期的な解毒剤」)に掲載された。このサイトは、トム・エンゲルハートが運営するネーション・インスティチュートのブログで、トム・エンゲルハートは「アメリカン・エンパイア・プロジェクト」の共同設立者であるとともに、「The End of Victory Culture, a history of American triumphalism in the Cold War」の著者。

ブッシュへの申し入れ署名、締め切りが7月末となっています。どうかできるだけ大きく広めて下さいますよう。

投稿者:益岡
posted by いけだ at 11:43| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般

2006年07月22日

「宗派に基づいた暴力」とその影響について(20日、BBC)

BBCの20日の記事より、「宗派に基づいた暴力」に対する宗教指導者の発言、および、暴力の現状とその影響について。

シスタニ師、暴力の終結を呼びかけ
Sistani calls for end to violence
原文:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/5199162.stm

イラクで最も有力なシーア派宗教指導者、アリ・アル=シスタニ師が、宗派に基づいた「憎悪と暴力」の終結を呼びかけた。

大アヤトラは、暴力はイラクにおける米軍の駐留を長引かせるだけであると述べた。

米軍は、暴力のレベルは先月バグダードで大規模な取り締まりが行われてからもほとんど変化していない、ということを認めている。そのような中、シスタニ師のこの呼びかけが出されたのである。

木曜日(20日)にも、バグダードをはじめとする各地で新たに暴力が発生し、多くの人々が殺されている(死亡している)。

記者たちによれば、シスタニ師の今回のコメントは、この数ヶ月で宗派に基づいた暴力の問題について出された公的な声明のうちで、最も強いものである。

シスタニ師は、「イラクのすべての息子たちへ……自身の国の将来を脅かす危険に気づくよう、そして憎悪と暴力を拒否することによってその危険にみな一致団結して立ち向かうことを、求める」と述べている。

シスタニ師は、2月のサマラにおけるシーア派の聖廟の爆破が、「分別を失った暴力」を引き起こした、と述べた。

また、この暴力は、停止されない限りは、「人々の団結を害し、解放と独立への人々の希望を、ながきにわたって、阻害する」であろうと述べた。

水曜日(19日)に米軍は、再び、スンニ派にもシーア派にも民兵や死の部隊を根絶するよう、強く求めている。

しかし米軍は木曜日(20日)、アルカーイダ・イン・イラクのリーダーであるアブ・ムサブ・アル=ザルカウィの殺害のあとで行われた大規模な取り締まりは、暴力については「ほんの少し減少」させただけであるということを認めている。

この治安計画には、最大で5万人の警官および兵士がバグダードの街路に立ち、検問所を増やし、暴力的なエリアでの強制捜査を行う、といったことが含まれている。

米軍のコールドウェル少将は、「完璧な世界で人が望むような暴力の減少は、今のところ、認められていない」と述べている。

米国の話では、攻撃の数は、6月14日から7月13日までの間は1日に平均して24であったが、この5日間では1日にほぼ34に増加している。

宗派に基づいた暴力の脅威により、国内避難民の問題が発生している。

イラクの移民省は、今月だけで3万人以上が、避難民(難民)として登録し、これでサマラ爆破以降の難民の総数は16万2千人となった、と述べている。

・・・以下省略


BBCはシスタニ師の呼びかけ(「ファトワ」だと思いますが)をメインにすえていますが、この記事で最も重要な部分は:
1)取り締まり(security clampdown)は、期待された効果が出ていない
2)国内避難民が激増している
の2点であろうと思います。

国内避難民の激増については、「イラク情勢ニュース URUK News」さんの7月19日記事で国連人権レポートの内容が紹介されています(NTY経由)。

「イラク情勢ニュース」さんから、2箇所を引用:

・「2006年5月と6月の2ヶ月に、合計で5818人が殺されたといわれ、5762人以上が負傷した」

・2003年以降、少なくとも5万人の市民が殺され、約15万人が暴力ゆえに自宅を離れたことをイラク保健省が明らかにした


取り締まりについては、上で「期待された効果が出ていない」と書きましたが、実は微妙な表現です。より正確に書くなら、「かくかくしかじかの目的であると米軍およびイラク当局が述べているが、その目的は達成できていない」となるでしょうか。そこでいよいよ「ツルの一声」を持つ宗教指導者の出番となった、というのが上記のBBC記事の報道内容だと思います。

なお、6月のはじめに「ザルカウィ死亡」(過去記事)の報道があり、それについてイラク政府も米軍も「大成功」と言っていたのですが、私が見た限り、それによって状況が改善されるとの見方を示していた記事(報道、ブログなど)はありませんでした。シンボルを破壊することで「ダメダメじゃん」と思われていたのを逆転し、「やるじゃん」と思わせたいのだ、ということが、「大成功」という当局の見解にはにじみ出ているように、私には感じられました。

ザルカウィ死亡に続き、米軍が「この人物がザルカウィの後継者だ」と名指しし顔写真を公開したエジプト人の男性は、この7年間、エジプトで投獄されているのだといいます。(リンク先はBBCですが、ほかのメディアでも記事は多くあります。Ayyub alMasriで検索を。)

投稿者:いけだ
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2006年07月19日

女性への隠れた戦争

アメリカ合衆国軍がイラクを占領する中、女性に加えられている様々な犯罪。長いので二つに分けます。本日は、第一部をご紹介いたします。

女性への隠れた戦争
ルス・ローゼン
2006年7月13日
ZNet 原文

アブグレイブ、ハディーサ、グアンタナモ。我々の国(米国)が恥じ入るべき言葉である。今やそれに、バグダードの南20マイルにある町マフムディヤが追加された。伝えられるところでは、今年3月、そこで、米軍兵士5人の集団が、若いイラク人女性アベール・カシム・ハムザを強姦して殺害した。兵士たちは、それから、犯罪を隠蔽するために、彼女の遺体に火を付け、父と母と妹を殺した。この一人の女性に対する強姦は、事実ならば、おそらくは、単なる孤立した事件ではない。けれども、我々はどうすればそれを知ることができるだろうか? イラクでは、強姦について話すことはタブーである。強姦されたことに恥じ入ったこの少女の親戚たちは、公式の葬儀はおこなわず、どこに彼女を埋葬したかについても話したがらない。

他の場所に住む女性たちと同様、イラクの女性たちも、ずっと強姦の攻撃を受けかねない立場にいた。けれども、米国がイラクを侵略して以来、性的テロリズムについての事件報道は如実に増えている。しかも、それは、家族の不名誉を恐れて強姦をイラク人官僚にも占領軍にも報告したがらない女性がほとんどという実状の中で、そうなのである。地方部では、強姦の犠牲になった女性は、「名誉の殺人」として、家族の名誉を回復するために親戚の男性に殺される恐れもある。アムネスティ・インターナショナルは、2005年の報告書で、「性的犯罪について、しばしば実行犯ではなく犠牲者になすりつけられる不名誉のため、そうした虐待を伝えることが非常に難しくなっている」と報じている。

しかしながら、このイラク人女性に対する強姦は、今や、ブッシュ政権がイラクの名誉を傷つけるやり方のシンボルになりつつある。ヌーリ・アル=マリキ首相はすでにこの犯罪に対する審問を開始した。普段は謝罪の意味を知りさえしない米国政府の中で、駐イラク米国大使ザルメイ・カリルザードと駐イラク米軍トップのジョージ・W・ケーシー・ジュニア将軍が公式に謝罪した。イラクのムスリム法学者協会は、この犯罪を激しく批判し、次のように非難した。「占領軍兵士が犯したこの行為、少女を強姦して遺体を切り刻み、家族を殺したこの行為は、人類すべてを恥じ入らせるものだ」。

たしかに、恥である。けれども、それではまったく十分でない。結局のところ、現在、国際刑事裁判所は、強姦を戦争犯罪と見なしているのだから。

これまでずっとそうだったわけではない。はるか以前から、兵士たちは、文民指導者や軍指導者が批判したにもかかわらず、女性を戦利品とみなしていた。しかしながら、1990年代前半に、強姦について新たな国際的合意が形成された。活発な世界的女性運動に突き上げられて、国連総会は1993年、女性に対する暴力の撤廃に関する宣言(Declaration on the Elimination of Violence Against Women)を採択した。その後の、旧ユーゴ及びルワンダの国際戦犯法廷の規程、そして2002年7月の国際刑事裁判所ローマ規程は、いずれも、人道に対する罪としての強姦あるいは戦争犯罪としての強姦を定義している。

イラクの路上を我が物顔で走り回り、反対勢力に対する戦争の道具として女性を強姦する米軍を非難するものは誰もいない(けれども、まさにそうした行為により、3名のボスニア人兵士は、2001年、歴史上初めて、戦争犯罪としての強姦で訴追されるに至ったのである)。

イラク侵略と占領は、イラク人女性を侮辱し、危険に陥れ、弾圧している。けれども、主流はメディアでは、そうしたことについては広く報道されてはいない。米国人が運営する監獄に収容されると、彼女たちは性的虐待を受け、強姦される。文民としては、拉致され、強姦され、そしてときに売春のために売り払われる。そして女性として、とりわけアラブ世界でより解放された女性としては、ますます公的生活から姿を消しており、多くの人が自宅に閉じ込められている。

監獄内での強姦と性的侮辱

アブグレイブの被拘留者虐待スキャンダルでは、イラク人男性への拷問と性的虐待、侮辱に焦点が当てられた。様々な情報源から、女性捕虜も、強姦を含む同様の扱いを受けたことが示唆されている。

米国が運営するバググレイブ監獄には女性の被拘留者もいたことを知る米国人はおそらくほとんどいないだろう。被拘留者の一部は、政治的な理由でアメリカ人に拘束された人々であるバアシスト指導者の親戚であるとか、ゲリラの情報を男性の親戚に無理矢理言わせたり、降服させるための取引に女性たちを使えると占領軍が考えたといった理由である。

ヒューマンライツ・ウォッチの報告によると、女性の被拘留者を秘密が取り囲んでいるのは、「家族と占領軍とが共謀関係にあるからである」。家族は社会的な不名誉を恐れる一方、占領軍は人権団体からの非難や、女性をそのように扱うことは侵害の中でも特に酷いとみなすイラクの人々の怒りを恐れる。

それでも、匿名という条件で酷く怯えながらも、収容所から解放されたあと、人権活動家と話す女性の被拘留者たちもいた。殴打や拷問、独房に入れられることなどを彼女たちは話した。男性の被拘留者たちと同様、アメリカ合衆国が運営する監獄で最も恐ろしかったのは、性的な侮辱だったと言う。女性の被拘留者ほとんど全員が、強姦すると脅されたと述べている。女性たちの中には、裸で尋問を受け、アメリカ合衆国軍兵士たちのあざけりや屈辱的な言葉を投げかけられた人もいる。

英国のガーディアン紙は、ある女性被拘留者がアブグレイブからノートを持ち出すのに成功したことを報じている。彼女は、アメリカ合衆国の看守たちが監獄に拘留されている女性たちを強姦したと述べ、その中には現在妊娠している女性もいると語っている。絶望にかられた彼女は、イラク人レジスタンスに、女性たちがこれ以上の屈辱を味あわなくて済むよう、監獄を爆破するよう求めた。

拘束された女性たちの弁護をしようとしている7人の弁護士の一人アマル・カダム・スワディは、ガーディアン紙に、彼女が面会した女性の中で強姦について話す意志があるのはたった一人だと述べた。「彼女は泣いていました。強姦されたと私たちに言いました。数人のアメリカ合衆国軍兵士が彼女を強姦したのです。抵抗して追い払おうとしましたが、彼らは彼女の腕を傷つけました。縫い目を見せてくれました。『私たちには娘や夫がいます。どうか、誰にもこのことを話さないで下さい』。こう彼女は言ったのです」。

バグダード大学の政治学者フダ・シャケル教授もまた、ガーディアン紙に対し、アブグレイブに拘留された女性たちは性的な虐待を受け強姦されたと述べた。彼女は特に一人の女性をあげ、彼女がアメリカ合衆国軍事警察官に強姦され、妊娠し、その後に失踪したと述べた。

シャケル博士は次のように言う。「私の同僚のある女性は、拘束されてそこに連れて行かれました。解放されたあと彼女にアブグレイブで何が起きたか聞いたとき、彼女は泣き出しました。イラクの女性たちは、そうした話題を話すのを恐れ恥じ入っています。彼女たちは、大丈夫だったと言います。西洋の進歩的な社会ででさえ、強姦について話すのはとても難しいのです」。

シャケル自身も、アメリカ合衆国軍兵士の手でより酷くない性的虐待を受けている。検問で、あるアメリカ合衆国軍兵士が「[銃の]レーザーを彼女の胸に直接あて・・・・・・それから自分のペニスにあてたのです」と彼女は語る。「彼は私に、『ここに来い、売女! ヤッってやる』と言いました」。

バグダードで取材していたガーディアン紙のリューク・ハーディンは、アブグレイブで記者たちは女性の被拘留者に話すことを禁じられ、女性たちは窓のない小さな房に隔離されていたと報じている。しかしながら、ジャーナリストをアブグレイブ周辺に案内した上級アメリカ合衆国軍士官たちは、19人の「上等な」男性捕虜が拘留されているブロックで、女性が強姦されたことを認めた。現在、監獄の拘留施設を担当しているデーブ・クアントック大佐は、そうした虐待がどうして起きたか聞かれ、「知るもんか。指導者の問題だ。指導がなかったらしいんだ」と答えた。

男性と同様に女性の被拘留者もアブグレイブで性的虐待を受けていたことに誰も驚くべきではない。この監獄から持ち出され、私たちがすでに目にした写真のことを考えてみよう。そうした侮辱が男性の「抵抗力を弱める」ために使われるならば、女性の被拘留者に対して強姦が使われるのは想像できないことではまったくない。

けれども、どうすれば確実だと言えるだろうか? 2004年1月、イラク駐留アメリカ合衆国軍の上級司令官リカルド・サンチェス中将は、アントニオ・W・タグバ少将に、アブグレイブにおける人権侵害の疑いが続くことについて調査するよう命じた。タグバ報告は、少なくとも一度、アメリカ合衆国軍事警察官の一人が、女性被拘留者少なくとも一命を強姦し、また、守衛たちが裸の女性被拘留者たちをビデオと写真に撮影していたことを確認している。シーモア・ハーシュも、2004年、ニューヨーカー誌で、これらの秘密の写真やビデオそのほとんどはペンタゴンにより今も隠蔽されているは、アメリカ合衆国軍兵士たちが「イラク人女性捕虜とセックスしている」シーンを示していると述べている。さらにいくつかの写真は、AfterDowningStreet.orgsalon.comなどのウェブで発表された。ある写真では、ある女性がシャツをたくしあげ、胸を向きだしにしている。どうやらそうするよう命令されたようである。

写真やビデオがすべて手に入れば、さらに多くのことを示すことだろう。アブグレイブの写真とビデオを統べてみたアメリカ合衆国議会の議員たちは、自分たちが目にしたものに本当にショックを受け気分を悪くしたようである。上院の多数党院内総務ビル・フリスト(テネシー州・共和党)はそれらを「ぞっとする」と述べ、当時の少数党院内総務トム・ダッシュルはそれを「身の毛もよだつ」と述べた。2004年4月にスキャンダルが明るみに出て以来、人権団体と市民権団体は、すべての視覚資料を公開するよう求めて、国防省と法的闘争を行っている。それらの文書がすべて一般の人々の手に入るようになったときはじめて、私たちは、女性と男性の被拘留者たちいずれにも加えられた性的行為の記録についてはっきりとそして疑いなくもっと身の毛のよだつような記録を知ることができるだろう。

後半(路上での性的テロリズム/女性を失踪させる)に続きます。

ルス・ローゼンは歴史家でジャーナリスト。米国カリフォルニア大学バークレー校で歴史と公共政策を教え、またロングビュー・インスティチュートの上級フェローでもある。彼女の新刊「 The World Split Open: How the Modern Women's Movement Changed America (Penguin, 2001)」の新版が、新たなあとがきを加えて2007年に刊行される予定。

本記事の初出はTomdispatch.com(「主流派メディアに対する定期的な解毒剤」)に掲載された。このサイトは、トム・エンゲルハートが運営するネーション・インスティチュートのブログで、トム・エンゲルハートは「アメリカン・エンパイア・プロジェクト」の共同設立者であるとともに、「The End of Victory Culture, a history of American triumphalism in the Cold War」の著者。

ブッシュへの申し入れ署名、締め切りが7月末となっています。どうかできるだけ大きく広めて下さいますよう。

投稿者:益岡
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2006年07月15日

イラク撤退は今だ

戦争は答えではない。米国の視点から、イラク侵略占領を分析し、撤退を呼びかける。

イラク撤退は今だ
ジェイソン・ヴィック
2006年7月7日
ZNet原文

米国上院議員ビル・ファーストが、民主党はイラクから「尻尾を巻いて逃げ出そう」としていると述べたのに対し、ジョン・ケリー上院議員は、共和党は「何もせず/嘘をついて死ぬ」という無能な政策を採っていると批判した。ジョン・ケリーは雄弁に戦争を批判しているが、こうしたスローガンは、我々米国人が、イラクでの戦争をめぐって思慮深く正直な論争からどれだけ離れてしまっているかを如実に示している。

自由が戦争の灰燼から生まれることはほとんどない。我々が侵略したとき、イラクの人々を何千何万人と殺し、その後の残忍な占領では、イラクの人々のイスラムとしての感覚を侮辱した。ほとんどのイラク人がサダムの支配を嫌悪していたのは疑いないが、同様に、我々米国人の支配にも、当初から同じように反対している。こうした状況で、巨大な民族主義的ゲリラ活動が生まれるのは自然なことであり、それとともに、外国から来た人々を中心とするテロリストのグループがセクト的諍いと内戦を引き起こそうとする。米国の対応はそれ以上に醜悪であり、そのことは、ファルージャ侵略に典型的に示されている。ファルージャ委侵略の際、30万人近い市民が紛争を避けて家を逃げ出し、一方で病院は、ファルージャ市民が1000人以上、戦闘で殺されたかも知れないと述べている。

イラクの状況は劣悪で、100万人近いイラク人が、イラクの「自由」を逃れてシリアやヨルダンのイラクより安全なところに逃げている。アメリカ合州国の政治家たちが「自由の変革する力」を賞賛している中、何千人というスンニ派の人々が、宗教が違うと言うだけで数千人の人々を処刑した政府治安部隊と死の部隊、民兵の手から逃げている。一方、シーア派の市民は、自殺爆弾やスンニ派民兵の恐怖にいつも怯えて暮らしている。人々が思っているのとは逆に、米国の戦争はテロリスト勢力を力づけ拡大させており、減らしてはいない。さらに、米軍の空襲と地上部隊は、民間人を何十人という単位で殺し続けている。

犠牲者についての注意深い報告は、米国の侵略以来、少なくとも5万人のイラク人民間人が殺されたことを検証している。調査によっては、現在までに犠牲者の数は10万人をゆうに超えているだろうと述べている。そして、アメリカ人占領者、外国のテロリスト、シーア派治安部隊、スンニ派ゲリラ、内戦を激化させる分派的民兵の手で、数千人という人々が命を落とし続けている。不幸にして、そもそも、我々は、サダムの最も残忍な犯罪をまさに正確に複製しているのだから、戦争の理由付けなど完全に崩壊している。

ほとんど常に、独裁者が失墜したときその手先は狩り出されて処罰される。ときに超法規的に。けれども、イラク「民主」政権のテロはボルシェビキの規模に近づいている。毎日、何十人ものスンニ派の人々が、側溝の中、あるいは道ばたで埋められているのが見つかる。全員が、政府治安部隊に処刑された印後頭部に一発撃ち込まれた銃弾を示している。彼らが殺されたのは、サダムの戦争犯罪に協力したからではなく、たんにサダムと同じ宗教を信じているからである。この状況、そしてそれを悪化させる米国の侵略と占領のもとでは、イラク人のほとんど全員が、米国の駐留に反対しているのは不思議ではない。

そして、アメリカ合州国人は、最も基本的な事実から目を背けてはならない。イラクの民主主義が育つためには、つまり統治が人々の代表により行われるためには、忌み嫌われている占領部隊は撤退しなくてはならないことは言うまでもない。

さらに、ハディーサがある。残念ながら、この出来事について多くの人は偏った理解しかしていない。ハディーサが戦争犯罪なのではなく、戦争そのものが犯罪なのであり、戦争の問題がそうした途方もない非道な行為が生み出されるのであって、それは数人の血迷った兵士の野蛮行為なのではない。

誰の言うところでも、ニュルンベルクからジュネーブまであらゆる国際法の主な基準に照らして、イラク侵略と占領は不法である。不法な戦争においては、あらゆる行為が犯罪になる。政府が自国兵士を酷い血塗れの紛争に投入するならば、兵士たちが恐ろしい事態に直面するのは確実である。そうした恐ろしい事態がもたらす帰結もまた容易に理解できる。ハディーサの米軍兵士たちは怪物なのではない。友人が苦しみ死ぬのをしばらく見続けたら、人は自然に混乱する。そして、そうした状況の想像できない恐怖の中で、そうした兵士たちは、24人の武器を持たない民間人女性と子ども、父親と息子たち、小さな兄弟姉妹 を虐殺するに至った。これは、数人の怪物のような人間に限られた行為ではなく、怪物的な戦争の結果なのである。米軍の最初の説明(米軍はゲリラの爆弾が人々を殺したと述べた)から判断すると、こうした出来事は、イラクではあまりに日常的に起こっているに違いない。

それにもかかわらず、こうした憎むべき戦争を始めた指導者たちを処罰するかわりに、我々は、このグロテスクな状況で悲しむべき反応をした数人の兵士たちを処罰しようとしている。戦争に反対する声を挙げることで、米国の人々が政府を裏切るのではない。政府が人々と兵士を裏切って、この21世紀最大の犯罪を開始し、それを「自由のための行動」と呼んでいるのである。

「尻尾を巻いて逃げ出す」という言葉を、正直な民主的人々は恐れるべきではない。そうした言葉は専制君主とその手先の言葉であり、侵略と占領を続けるために議論を窒息させ、反対者の間に恐怖を引き起こすための言葉である。

尻尾を巻いて逃げ出すときがきている。憎まれている占領をやめ、我々が行っている残虐行為と暴力から逃げ出すときである。平和のために活動し始めるときである。それは、これまで我々が辿ってきた残虐行為への道から逃げ出すことである。朝鮮でも、ベトナムでも、グレナダでも、パナマでも、イラクでも他の多くの血塗られた冒険旅行でも、戦争は答えではなかった。イランに対しても、北朝鮮に対しても、シリアに対しても、中国に対しても、リビアに対しても、キューバでも、その他に我々が幻想として創り出すどんな「悪魔」に対しても、戦争は答えではない。戦争は決して答えにはならない。

いくつかの点で、この記事は興味深かったので訳出しました。第一は、記事の著者が立つ位置。米国の犯罪は「過ち」だったとか「本当は私たちはすばらしいんだ」という反戦論議は少なからずありますが、この記事も、米国の犯罪行為と「本当はすてきな米国」との間を微妙に行っているところがあります。第二に、「戦争は決して答えにはならない」こと。北朝鮮のミサイル発射以来、冷静さを欠いたまま様々な主張が飛び交っている日本で、改めて。

posted by いけだ at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ファルージャの状況

2006年07月11日

ハディタ虐殺 第三部 鉄は熱い

ハディタ(ハディーサ)虐殺について、『ファルージャ2004年4月』の著者の一人ラフール・マハジャンが分析する。

ハディタ虐殺 第三部 鉄は熱い
ラフール・マハジャン
2006年6月5日
EmpireNotes原文

氷が割れ始めた。ハディタ虐殺の報道が活気づいてきた。記者たちは事件を振り返り、犠牲者の家族にインタビューし、虐殺を映像におさめたジャーナリズム専攻の学生にインタビューし、海兵隊がこの出来事に何の対応も示さなかったことを重視し始めた海兵隊の士官たちは、事件の2日後には、犠牲者が爆発によってではなく銃で殺されたことを知っていたにもかかわらず、3月になるまで調査が行われなかったのである。

特に、エヴァン・トーマスとスコット・ジョンソンは『ニューズウィーク』誌に発表した長い秀逸な記事で、2004年11月のファルージャ攻撃にまでさかのぼり、そこでなされた「リベラルな」交戦規定と呼ばれるものを検討し彼らは記事で、ある司令官が(どうやら半分冗談で)語った「携帯電話を持っているやつを見たら、そのクソ頭を吹き飛ばせ」という言葉を引用しているそれを、ハディタ虐殺をはじめとする事件と結びつけている。この記事は、さらに進んで、この虐殺は少なくとも部分的には、米軍海兵隊が、ゲリラをかばうとどのような結果が待ち受けているかイラク人に示すためのみせしめとしてなされたのではないかという明らかな可能性に言及さえしている。

AP通信のチャールズ・ハンリーは、さらに、朝鮮戦争のときに起きた事件老斤里(ノグンリ)という場所で米軍兵士たちが400人もの民間人を虐殺した事件を掘り起こした。

ペンタゴンは、この事件3日にわたり続いたは「意図的な殺人」ではなく「不幸な悲劇」であると結論したが、今年の春に新たに出版された本には、駐韓米国大使が米国国務長官に送った手紙の中で、一定の状況で民間人を殺すことははっきりと決められた政策であることを詳しく述べていることが示されている。ハンリーたちは、そのほかにも、司令官が民間人の殺害を命令したり承認したりしたことを示す機密解除された文書を19件あげている。

調査に関わる人々は、米軍がイラク人民間人を殺しているという、他のイラク人からの告発も、真剣に考慮し始めている。残念ながら、イシャキの町で11人を殺したことが疑われる事件については、軍の調査団は合法的なものと判断した。実際には、米軍兵士による出来事の説明を反駁するビデオの証拠があったにもかかわらず、である。けれども、他の調査も進んでいる。たとえば、ハムダニアの事件で、米軍はここで、50歳台の障害のあるイラク人男性をしつこく追い回して協力者にさせようとし、結局彼が拒んだため、彼を家から引きずり出して殺し、彼の遺体にシャベルとAK47を持たせて、自分たちは彼が手製の爆発物を仕掛けようとしているところを捉えたのだと主張した。

右翼がアブグレイブ・ゲームのように、これは孤立した出来事だと主張することはますます難しくなってほとんど不可能になってきている。実際、彼らは逆の方針を採り、そうした出来事はずっと起きてきたことをみとめた。そこでの戦略は、そうした出来事を「良き戦争」である第二次世界大戦の中から見つけ出し、そうした事件があったにせよ、第二次世界大戦は善き大義にもとづくものだったから戦わなくてはならなかったと主張し、イラクも善き戦争なのだからそうしたことはしょうがないというものである。ビル・オッライリーは、さらに、ドイツ軍兵士が降伏した米軍捕虜を射殺したマルメディの事件をとりあげ、それを歪曲して、米軍兵士が降伏したドイツ軍兵士を射殺したものであるとさえ述べた。

海兵隊さえ、交戦規定の見直しを迫られ、法的および倫理的要件を今よりはるかに尊重する妥当な「戦士の文化」を訓練すると言い始めている。

こうした論議が増える中で、反戦運動と進歩的陣営は、不在ではないにせよ、どちらかというと静かだった。その一部は我々がコントロールできない理由による 我々は誰もがイラクのニュースを得るのに主流派メディアに依存している。けれども、他の部分は手に負えないわけではない。

ご存じのように、コミュニティ・ラジオで、我々は行動の呼びかけを行っていない。けれども、呼びかけを行うならば、反戦運動に、次のことを提案したい。

イラクに従軍したことのある他の元兵士たちおよびイラクの人々に、そうした戦争犯罪を目撃したならば申し出るようにと呼びかけさらに米軍にイラクで同様のことをするよう呼びかける。

ファルージャに対する第二の攻撃での従軍規則を明らかにするよう改めて努力する。このときには、ジュネーブ条約の一部があからさまに否定されたと信ずるに足る証拠がある。情報公開法による請求はなされたが、そのフォローアップはほとんどない。

再び行動に出る。兵士リクルート・センターでデモを行い、議員に圧力をかけ、事件を報道していない新聞に働きかける。ニューヨークやワシントンで次に予定されている大規模なデモが何とかしてくれるだろうと待っていてはいけない。

戦争に対する不満の増大を利用する、大きな機会である60%の米国人がこれは誤りだったと考えている。不満を戦争への倫理的な嫌悪に転ずることが、効率的な反対運動を作り出すための大切な一歩になる。それができるかどうかは、かなりの程度、私たちにかかっている。

ブッシュへの申し入れ署名案内もご覧下さい。

投稿者:益岡
posted by いけだ at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | イラク全般

2006年07月03日

ブッシュへの申し入れ署名案内

ハディーサでの虐殺、最近では米兵が女性を強姦したのち一家を惨殺した事件への調査が開始されるなど、イラクを侵略し不法な占領を進める米軍の非人道的犯罪は恐るべき状況になっています。こうした状況を受け、ブッシュ大統領に署名を付けて申し入れを送る計画が立ち上がりました。主張はただ一つ「殺すなかれ」とのこと。

申し入れの日本語は、イラク・ホープ・ダイアリー申し入れ日本語版にあります。

これをご確認の上、署名のサイトに行って、署名をお願いいたします。署名サイトにアクセスしましたら、

(1) 「Step 1. Enter your name:」にお名前を(ローマ字で)入れます。匿名希望の方は、その下の「Display in public list as 'Anonymous'にチェックを入れます。そして「Sign Now」をクリック。

(2) 情報を入力するページに移動します。左上の「Select」で「Mr, Ms, Mrs, Dr」のいずれかを選び、最低限、emailとState(米国外の方は「(nonUSA)」を選びます)、Postal Code(郵便番号)、Country(日本の方は「Japan」を選びます)を選びます。これだけでOKですが、Please add your comments here:の欄に「No more killings!」とか入れてもよいでしょう。そしたら「Preview」を押します。

(3) ページが変わります。よろしければ、「Add My Signature!」を押します。これで、署名がおしまいです。
posted by いけだ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(3) | 各種イベント・映画など